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猿の涙

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第一章

                猿の涙
 インドのウッタル=ブラデーシュ州アムロハ地区の農夫ラム=ワンクール=シンは心臓発作で世を去った、そうしてだった。
 彼の葬式が行われたがここでだった。
「あれっ、あの猿は」
「シンさんがいつも可愛がってる」
「畑の傍に来たらご飯をあげていつも一緒にいる」
「その猿じゃないか」
「キィ・・・・・・」
 見ればその猿はとても悲しそうだった、そして。
 シンの棺の傍まで来るとだった。
「・・・・・・・・・」
「泣いているな」
「そうね」
「凄く悲しそうに」
「亡くなったことを悲しんでいるのか」
「シンさんが」
 シンの家族も近所の人達もだった。
 項垂れ涙を流している猿を見てわかった、それで言うのだった。
「いつも一緒にいたから」
「シンさんに優しくしてもらっていたから」
「親しみを持っていて」
「それでか」
「それなら」
 葬儀に参列している者達はそれならと応えた。
「このままいてもらおう」
「この場に」
「葬儀に参列してもらおう」
「この子も一緒に」
「キィ・・・・・・」
 猿はそのままだった。
 シンの葬儀に最後までいた、そしてシンの家族は彼をその日は家に迎えた。猿は雄で家族はシンがマハータと名付けていたと誰かから聞いてだった。
 彼を家に入れた、だが彼はずっと塞ぎ込んでいて。
 次の日朝になると森に帰った、そして。
 毎日シンがいた畑に来る様になった、そうして暫く畑を見てそのうえで森に戻る様になった。その彼を知る者は誰も見守るばかりだった。 
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