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その時流れが変わった

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第一章

                その時流れが変わった
 二〇二三年令和五年の日本シリーズは関西球団同士の対決だった、カードは阪神対オリックスだった。
 どちらが勝つか、議論は白熱した。阪神と言う人がいればオリックスと言う人がいた。そこはまさに真っ二つに分かれていた。
 その中で阪神は第一試合勝ったが。
「まだ一勝やな」
「山本由伸攻略したのは大きいけど」
「一勝や」
「あと三勝せなあかん」
「まだまだ気が抜けんわ」
「嬉しいけどな」
 阪神ファン達はこう話した、そして実際にだった。
 二戦目は負けた、彼等はその試合を観て話した。
「やっぱりなあ」
「オリックスも強いわ」
「敵もさるものや」
「中々勝たせてくれんわ」
「今度は滅多打ちに遭って」
「完封されたわ」
「第一戦と真逆や」
「こら負けるかもな」
「二十一世紀のこれまでのシリーズみたいにな」
「流れや」
 ある老輩のファンがこう言った。
「シリーズみたいな短期決戦で大事なんは」
「そうやな」
「クライマックス流れうちにあってな」
「サヨナラで掴んで勝ったしな」
「ほんま単金決戦は流れやな」
「流れをどう掴むか」
「それが大事やな」
「前の日本一の時も」
 一九八五年昭和六十年のというのだ。
「第五戦で打ったから勝った」
「掛布も岡田も打ってな」
「それでやな」
「流れが一気に阪神に傾いて」
「それでやったな」
「ほんまな」
 まさにというのだ。
「それ次第でや」
「勝つか負けるか」
「それが決まるな」
「一瞬のことで」
「それでな」
「ほんま一瞬の采配かミスかアクシデントで」
 何らかのことでというのだ。
「シリーズは流れが変わってな」
「それで決まるな」
「どっちが勝つか」
「そうしたもんやな」
「どっちもまだ決まってへん」
 老輩のファン即ち老人は言った。
「ほんまこれからや」
「どうした手が出るか」
「それ次第やな」
「何が起こるか」
「ほんまや、こっちのミスがや」
 老人はこのことは険しい顔で述べた。
「オリックスの決め手にもなれば」
「こっちの思わぬことがやな」
「阪神を日本一にも導く」
「そうもしてくな」
「そや、これからどうなるかや」
 老人は他のファン達に言った、京セラドームでの勝負は一勝一敗となり第三戦目以降は阪神の本拠地甲子園でとなった。
「京セラでもそやったが」
「関西でやるさかいな」
「ほんま阪神ファン多いな」
「っていうか阪神ファンばかりやな」
「甲子園やし特にな」
「物凄い応援やな」
「滅多にないからな」 
 老人は甲子園の一塁側で笑って言った。 
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