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X ーthe another storyー

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第四十四話 地絆その四

「そうなって欲しいから」
「だからこそ」
「今はね」
 まさにというのだ。
「降って欲しいし私達はね」
「その雨の中で」
「お墓参りをしてね」
「あの人を偲んで」
「冥福を祈るのよ」
 彼のそれをというのだ。
「いいわね」
「ええ」
 颯姫は庚の言葉に頷いた。
「本当にね」
「そうでしょ。ではね」
「今から」
「あの人のお墓に行きましょう」
「そうですね、あの人のお墓に行って」
 そしてとだ、封真も言ってきた。
「これから」
「手を合わせてお供えもしてね」
「偲んで冥福を祈る」
「そうしましょう」
 庚は封真にも言った。
「私達でね」
「そうですね、友達として」
「そうしましょう」
 是非にと言うのだった、封真にも。
「彼は殆どの人に知られなかったわ」
「裏の社会にいたので」
「裏の裏。陰陽道のそうした世界にいてね」
「桜塚護として」
「そして戸籍上もね」
 この時もというのだ。
「桜塚星史郎として死んでも」
「身寄りもですね」
「誰もいないわ、だからね」
「俺達はですね」
「彼の仲間、お友達としてね」  
 その立場でというのだ。
「せめてね」
「俺達はですね」
「お墓参りもしてそして」
 そのうえでというのだ。
「ずっと覚えておくことよ」
「あの人のことを」
「それが友達としてね」
「俺達が出来ることですね」
「覚えておくことも」
 このこともというのだ。
「人は大事よ」
「友達のことを」
「そう、覚えてもらったら」
「人は嬉しいですね」
「だからね」
 それ故にというのだ。
「私達はね」
「星史郎さんのことを覚えておく」
「そして年に一度でも」 
 それでもというのだ。
「こうしてね」
「皆で集まって」
「そのうえでね」
「お墓参りをしますね」
「そうしていきましょう。他の人が知らなくて忘れていても」
 そうであってもというのだ。
「私達はね」
「同じ地の龍、仲間として」
「そうだから」
「覚えておくことですね」
「ずっとね、いいわね」
「はい」
 封真は確かな声で答えた。
「そうしていきましょう」
「今からね」
 こうしたことを話してだった。
 地の龍の者達は青山墓地にある桜塚家の墓星史郎も入ったその前に行った。そうして手分けして掃除をしてそこに花を捧げてだった。 
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