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貰った心臓

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第一章

                貰った心臓
 とある大手新聞社に勤務している譽田活市はまともに取材しない偏向報道それも意図的な捏造の常習犯である。
 その為世間特にインターネット上で常に凄まじい批判を受けているが。
 サングラスと鬘で変装してだ、こう言うのだった。
「こうしておけば誰もわからないからな」
「大丈夫ですか」
「素顔で街歩いても」
「それでもですか」
「俺が変装しているのは僅かだ」
 ごく親しい者達に言うのだった。
「だから幾ら書いてもな」
「平気ですか」
「刺されたりしないですか」
「身の危険はないですか」
「変装してる時はボディーガード付けてるしな」
 身の安全も計っているというのだ。
「だからな」
「偏向だと捏造だの言われても」
「意図的とか批判されても」
「平気ですか」
「そうだよ」
 こう言ってだった。
 彼はそうした記事を書き続けていた、その中で彼は何気なくだった。
 臓器移植の許可を出していた、それはどうしてかというと。
「宣伝だよ、宣伝」
「それで、ですか」
「移植を認めるとされたんですか」
「何かあったら」
「こうしたことをしておくと皆宣伝してくれるんだよ」
 周りがというのだ。
「いい人だってな」
「ネットでどれだけ騒いでる奴がいても」
「それでもですか」
「こうしたことをする人だって」
「宣伝してくれるからですね」
「登録したさ、けれど実際はな」
 素顔で言う、見れば実に下卑た笑顔である。
「そんなことにはならないだろうな」
「心臓とか移植することはですか」
「ないですか」
「誰にも」
「ないな、じゃあ今夜は市民団体の幹部の人達と会ってな」
 そうしてというのだ、譽田は所謂極左の活動家達と懇意で彼等の主張をそのまま意図的な捏造までして報道しているのだ。他には自称共産主義の世襲の独裁国家とも深いつながりがありそこから色々言われているのだ。
「報道するな」
「その人たちの主張をですね」
「そうされますね」
「今度は」
「ああ、歴史を見つめろ」
 こう言うのだった。
「正しいな」
「沖縄ですね」
「その迫害と弾圧の歴史をですね」
「それを書きますね」
「基地のこともな」
 これもというのだ。
「知事さんからのインタヴューもするしな」
「譽田さん知事さんとも懇意ですしね」
「いい記事が書けますね」
「絶対に」
「ああ、書くな」
 下卑た笑みはそのままでこう言ってだった。
 彼は偏向と捏造に満ちた生地を書き続けた、だが。
 ある日彼は急にだった。
 暴走している自動車八十過ぎの元学校教師が運転しているそれに撥ねられた、そうしてで即死した。
 するとだ、医師は彼の免許証を見て言った。
「これはよかった、この人は臓器移植出来るぞ」
「それに登録していますか」
「そうしていますか」
「ああ、何処かで聞いた名前だが」
 今は素顔の譽田、死んだ彼を見て言うのだった。
「しかしな」
「それ以上にですね」
「今はすぐにですね」
「臓器移植に使わせてもらいますか」
「内臓を」
「アイバンクにも登録しているな」
 見ればそうだった。 
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