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ドリトル先生の落語

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第十二幕その一

                第十二幕  これからも落語を
 先生が動物の皆と一緒に大阪に行って寄席で春琴さんの落語を聞こうとしますとここで皆が言ってきました。
「こうして寄席に行くのもね」
「何か風情があるわね」
「日本の中に入る」
「その文化の中にね」
「そうだね、落語もまた日本文化だからね」
 先生はいつもの正装で応えます。
「風情があるね」
「日本のね」
「昔ながらの」
「このこともまたよしだね」
「落語は」
「僕もそう思うよ、じゃあ楽しませてもらおうね」
 皆にこう応えてでした。
 先生はその皆と一緒に春琴さんの落語を聞きました、今回の落語は古典落語で大坂の町人さん達のお話でした。
 そのお話を聞いてです、先生は言いました。
「やっぱりね」
「やっぱり?」
「やっぱりていうと?」
「いや、大坂はね」 
 この街はというのです。
「町人さんの街だね」
「ああ、お侍さんがね」
「全く出ないね」
「春琴さんの今日の落語には」
「他の人の江戸時代の落語もね」
「本当にお侍さん出ないね」
「刀すらね」
 お侍つまり武士の人達が持っているです。
「出ないね」
「そうだね」
「お話を聞いていても」
「刀のかもないね」
「全くね」
「やっぱりお侍さんを見たことがない」 
 そこまでというのです。
「そんな人がいた位だからね」
「名字帯刀っていうけれど」
「そういうのとは無縁で」
「大阪は本当に町人さん達の街だったんだね」
「それが大坂だね」
「そうだね、ここまでお侍さんと縁がない街もないよ」 
 そうはというのです。
「江戸はかなり多かったけれど」
「人口の半分がお侍で」
「何かあったらすぐに見掛ける」
「そんな街だったわね」
「それで他の藩の町も」 
 そちらもというのです。
「やっぱりね」
「お侍さんいたね」
「そうだったわね」
「しっかりと」
「そうだったよ、村にもね」 
 そちらにもというのです。
「郷士さん達がいたし」
「身分が低いとされたお侍さん達だね」
「普段は農業をしたりしている」
「そうした人達がいて」
「村でもお会い出来たわね」
「けれど大坂はね」  
 あらためてこの街のことをお話するのでした。
「そうじゃなくてね」
「兎に角町人さんが多くて」
「お侍さんが少ない」
「だから落語でもだね」
「出て来ないのね」
「そうだよ、だからね」 
 それでというのです。 
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