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DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)

作者:あちゃ
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プライド

今私達は『ドラゴン』と『マントゴーア』と言う2匹のモンスターと戦っている。
2匹のウチ1匹は、ルビスの塔で戦ったドラゴンであり、お兄ちゃんは簡単に倒していた(お父さんに至っては倒すシーンすら拝めなかった)が、やっぱつえーモンはつえー!

マントゴーアに至っては、マホカンタを使いやがるから私は戦力外になっちゃうし…
良く考えたら、お父さんとお兄ちゃんが非常識に強いのであって、アレをスタンダードに物事を捉える事自体が間違っているのだ。
私達は常識の範囲内で達人クラスだと思う!

マヂしんどかったが、敵を倒し先へ進む。
本当に手伝わないお父さんに殺意を憶える今日この頃だ。
お兄ちゃんくらいは手伝ってくれても良さそうじゃない?




暫く進むとトラップルームへ到着。
何処にも説明書などは無いが、この部屋を進むと出入り口を塞がれ、ずらっと並ぶ巨大な石像が『大魔神』になり不意を突いて攻撃してくるお部屋だ。

お父さんを始め誰もがこの異様な空間に進む事を躊躇していると、何やら上の空なアルルさんが気にすることなく進んで行きます。
おい、このねーちゃん何考えてんだ?

(ガラガラガラ…ガシャン!)
案の定、背後の入口に丈夫そうな鉄格子が下りてきて、先にある出口にも同じ様な鉄格子がかかってます。
どうすんだよ、罠を作動させやがって!

「ど、どうしよう…閉じこめられてしまったわ!?」
しかも一番取り乱してるし…
大丈夫なのか、リーダーがこの状態で?

こうなると迂闊に石像へは近付けない。
誰も言わないが、誰もが石像の危険性に気が付いている様子。
警戒して一歩も動く事が出来ない。
だけどお父さんだけは別ッス!
スタスタと1体の石像へと近付くと、ドラゴンの杖で勢い良く石像を殴りつける!

(ドガ!)(グワァァッァァ!!)
私は分かっていた事だが、石像は『大魔神』であり、壊した途端くたばった。
でも凄いよね。不意を突いたと言っても、大魔神を一撃で倒しちゃうんだから。
もっと戦えよ!!

さて…残りの石像群も一斉に大魔神になり、襲いかかってきます。
『もっと強くなりたい!』と、サイヤ人みたいな事を言ってるハツキさんと、根っからの戦士であるラン君は即座に対応出来たご様子。
一撃とはいかないが、最も近くにいた大魔神をそれぞれ1体ずつ相手してます。

お次に反応したのはマイダーリン♥
カンダタ・モニカさんに拳を振り下ろそうとしている1体に向かって、勢い良くイオラを放ち手助けをします。
流石ですぅ!

おっと、私も見とれているワケにもいきませんね。
非戦闘員であるアメリアさんやルビスちゃんに攻撃を仕掛ける不届き者を、威力を押さえたメラミで焼き滅ぼしますわ。
本当はイオナズンでド派手に吹き飛ばしたいのだけど、建物内だし側にはアメリアさんとルビスちゃんも居るから、自重を致します。


「ぐはぁ!」
何やら苦悶の悲鳴が聞こえたので、声のする方を見ると…
何とお兄ちゃんが大魔神の1体に吹き飛ばされてます!

どうやらビックリ仰天で動けなかったアルルさんを助ける為、自らの身を盾に彼女を守ったようです!
あの(アマ)、何ボケッとしてやがりますか!?
リーダーで勇者だったら、しっかりして欲しいですね!

「ティ、ティミー!!……こんのぉ~!!」
彼氏が吹っ飛ばされて、やっと我に返った勇者様…
怒りに任せて大魔神を一刀両断!!
すげ…剣のお陰?彼女の実力?

「大丈夫ティミー!?」
1体を倒したところで慌てて彼氏の下へ走り出すアルルさん…
おい!(怒)
彼氏が心配なのは分かるが、まだ終わってないのだから、そっちの心配をしていただきたいわね!

「だ、大丈夫…僕は大丈夫だから、アルルはみんなを助けてあげて」
お兄ちゃんに言われる前に、リーダーとしてパーティー全体の心配をしなさいよ!
何時までも色ボケしてんじゃないわよ!!




戦闘が終わり、皆さんお兄ちゃんの側に集まります。
「大丈夫ですかティミーさん?まともに大魔神の攻撃を受けてましたが…」
お父さんの元愛人…ハツキさんが、汗をかき色っぽい状態でお兄ちゃんを心配して身体を触ってきます。

「だ、大丈夫です!ホント、大丈夫ですから…」
アルルさん以外の女には、まだ馴れないのか恥ずかしそうに距離を置く…
恥ずかしさで顔は赤いが、まだまだ青い様だ。

「ただ…剣が折れてしまいました…ごめんなさい…戦力ダウンです」
謝る事なんか無いのに…
私もみんなも、お兄ちゃんが無事だっただけで大満足なんだから。

「そんな…戦力なんてどうでもいいの!貴方が無事だっただけで…」
“お前の所為だ!”とアルルさんに言ってやろうかと思いましたが、泣きながらお兄ちゃんに抱き付く姿を見たら言えませんでした…

だって、大魔神の攻撃を受けた箇所が痛むらしく、力強くアルルさんに抱き付かれ、苦悶の表情を浮かべるお兄ちゃんが面白いんだもん。
男のプライドなのか、声を押し殺し我慢するお兄ちゃん。涙目だよ(笑)

「アルル…何を悩んでいるのかは分からないけど、ここは敵の本拠地だ。常に集中して身構えていないと、取り返しのつかない事が起きるかもしれない。もし話せる悩みだったら、今すぐでも相談に乗るし、そうでなくても僕は何時も君の側にいる!だから今は大魔王討伐に集中しよう。大丈夫…君は強いんだ。その剣のお陰だけでなく、勇者アルルは強いんだ!自信を持って突き進もう!」
何とか体裁を取り繕って、アルルさんに語りかける…

でもどうやら本当に何かを悩んでいたらしく、心配してくれたお兄ちゃんに再度抱き付くアルルさん。
感極まって泣き出しましたわ。
したがって力加減が出来ません…

(ぽきゃ)
小さいが何かが折れる音が聞こえました…
これって一体………?

「あ…肋骨折れたな…」
ですよねぇ~…
自分の世界に浸っちゃってるアルルさんには聞こえてないのかもね。

お兄ちゃん、凄く苦しそうですわ。
う~ん…笑えるぅ(大笑)






さてさて…
骨を折っちゃった所為によりホイミで直す事が出来なくなったお兄ちゃん。
息するだけで痛いのだろうけど、それを見せない男気に感心します。

更に不幸が訪れますの…
回転床トラップにより、5度も落下しております我がパーティー。
落ちる度に格好良く着地しますけど、アレって凄く痛いんでしょうね。ご愁傷様(笑)

「あ゙~もー!ムカつくんだよコレ!!」
遂に我慢出来なくなったお父さんが、ドラゴンの杖を使って回転床をぶっ壊します。
おいおい…エニックスが一生懸命考えたトラップなのだから、力業で解決するなよ…

「力業かよ…開発者が可哀想だ…」
無意識で呟いてしまった様で「マリー『開発者』って?」と、お兄ちゃんに聞かれました。
「ん、何の事?」と、惚けたけど………大丈夫かな?








「うわ~…綺麗な所ですね…」
地底湖に到着。
天井部分に大量の光苔が敷き詰められている様で、湖面をキラキラ輝かせます。

「しかし大魔王の居城という事を忘れてはいけません!禍々しい気は、そこら中に蔓延しております」
アメリアさんのマッタリした口調が気に入らないのか、ルビスちゃんが厳しい口調で注意を促します。
荷物持ちすらしないお前が偉そうに言うな!!

「…遠くで誰かが戦闘している音が聞こえる…」
非戦闘員2人の口論を遮る様にお父さんが発言します。
この完璧超人は何かを察知したご様子です。

「「「「……………」」」」
だけど何も聞こえません。
女の口論を遮っただけかしら?

「…何も聞こ「本当だ!モンスターの雄叫び…男性の息づかい…剣を振るう金属音…」
小うるさい女…アルルさんが、何も聞こえない事に文句を言おうとした途端、お兄ちゃんがお父さんの発言に沿う様に、聞こえてくる(らしい)物音を解説します。

それでも凡人ズの私達には聞こえてきません。
でもお兄ちゃんの意見という事で、アルルさんは文句を言いません。
マイパパの言う事は疑って、彼氏の言う事は100%信用するらしい…

「も、もしかして…オルテガさんかな…?」
「そ、そんな…お父さんは1人でこんな強力な敵が蔓延るダンジョンで戦っている!?無茶よ…は、早く助けなくっちゃ!」
簡単な方程式を使いお兄ちゃんにより導き出された答えで、血相を変える勇者アルル。
無警戒&無鉄砲に走り出す!

「あ!1人じゃ危険だよ…待ってアルル!」
そしてアルルさんが危機になれば黙ってないのがお兄ちゃん。
痛いであろう胸を気にも留めず追いかけて行っちゃいました…

私達も大急ぎで追いかけますわ!
でも………あの二人………ものっそい早いの!
お、追いつけません…
オルテガさんを助けたいのに!!



 
 

 
後書き
出るぞオルテガ!
次回、ダンディー勇者オルテガ大暴れの巻! 
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