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アイヌラックル

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第二章

「今も歩いてなのね」
「ああ、待っているんだ」
 火のカムイは確かな声で答えた。
「閃きが出るのをね」
「人間を生み出す為の」
「それをね、それでだよ」
「地上に降りてなのね」
「あの場で言った通りね」
「私達が生み出したもを見て回って」
「そうしてね」
「閃きを待っているのね」
「そして君は」
「いえ、お父さんに言ってね」
 木のカムイにというのだ。
「それで地上に降りて遊んでいるの」
「君は遊んでいるんだ」
「ええ、従兄も一緒よ」
「従兄?」
「イチイのカムイよ」
「君は兄弟姉妹それに親戚が多いからね」
 火のカムイはハリニレのカムイの言葉に笑って応えた。
「僕達が生み出した木の種類が多いだけに」
「そうよね、色々な木を生み出したわね」
「それで君はね」
「本当に血のつながっているカムイが多いわ」
「それぞれの木を司っているカムイがね」
「そうよ」
「じゃあイチイのカムイも近くにいるのかな」
 ふと思ってだ、火のカムイはハリニレのカムイに尋ねた。
「ひょっとして」
「そうよ。呼んだら来てくれるわ」
「それじゃあ今から呼んでくれるかな」
「いいわよ」
 ハルニレのカムイはにこりと笑って答えてだった。
 彼の名を呼んだ、すると。
 すぐに自分より少し年上な感じの緑の短い髪の優しい顔立ちの少年が来た、少年即ちイチイのカムイは火のカムイを見るとすぐに挨拶をして言った。
「ここでお会いするなんて」
「思わなかったね」
「はい、それで人間をですね」
「どう生み出すか」
「それの閃きをですね」
「求めているよ」
「そうですね」
「けれどね」 
 それでもというのだった。
「今もね」
「出ないですか」
「閃きはいつも急に出るね」
「はい、何かをしていたら」
「それを待っているよ」
「今もですね」
「うん、しかしね」
 ここでだ、火のカムイは。
 まだ少年少女の木々のカムイ達を見てだ、こう言った。
 
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