| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

天国と地獄

 
前書き
本当はもっと激しくシリルのハーレムタイムをしたかったが文才が足りなかった。
本当はシェリアも入れたかったけど、あとでレオンが怖いのでやめておきました|ョω・`)シンジャウカラネ 

 
遡ること少し前・・・

「水着ってことは・・・」

チャパティさんからの声が聞こえた瞬間俺とジュビアさんの目があった。それはお互いに何が言いたいのか分かり合っている証拠なのかもしれない。

「俺たちの出番ですね!!」
「えぇ!!間違いないです!!」

俺もジュビアさんもこの二日間で勝てていないこともあり取り返したい気持ちがあった。それがまさかこんなに早く・・・しかも自分たちに有利であろうフィールドでできるとは思ってなかった。

「水着ってことは水に関係してきそうだしね」
「えぇ。うちならシリルとジュビアがいるから」
「これは安泰かもしれないわね」

カナさんたちも俺たちの参加に異論はないらしくすんなりと決まる。ただ、ウェンディだけはなぜか心配そうな顔をしていた。

「どうしたの?ウェンディ」

ここまでで何か心配するようなことはなかったと思うけど、なぜそんなことをしているのか気になった俺は尋ねてみることにした。

「本当に大丈夫?シリル」
「え?何が?」

何を言いたいのかわからず首を傾げる。するとウェンディは思っているままの言葉を口にした。

「昨日のこともあるし無理しなくても・・・」

昨日のバトルパートでのダメージのことを心配してくれているようでそんな顔をしているみたい。でも、当たりどころが悪くて倒されちゃっただけなのでそこまでの影響はない。

「大丈夫大丈夫!!任せておいてよ!!」
「ならいいけど・・・」

まだ何か言いたげなウェンディに有無を言わさず参加者の決定を伝える。正直このゲームは俺たちの独壇場になるだろうと自信たっぷりな俺たちは各々の水着へと着替えるために更衣室へと向かった。

「なんだかイヤな予感がするけど・・・」

そんな俺たちの背中から何やら少女の声が聞こえてきたけど、それを気にするとこなくその場から離れるのだった。



















そしてこれから、競技パートのルール説明が始まろうとしていたのだが・・・

「あの・・・ジェニーさん?ミネルバさん?」
「ん?どうしたの?」
「何かあったか?」

身体をこれでもかと寄せてくる二人だったが、彼女たちは気にした素振りも見せずガッチリと腕を掴んでいる。そのせいで彼女たちの女性の象徴が当たっているのだが、なんだか恥ずかしくて伝えるに伝えられない。

『それではこれよりルール説明を行います!!これから闘技場にステージを用意します。そちらのフィールドは水中となり、皆さんにはそこに入ってもらいます!!』

頭の中が混乱しているけどここはひとまず置いておいてルール説明に集中しよう。そう思いながら聞いていると、案の定水中の中で行うゲームらしい。ただ、それだと以前の海戦(ナバルバトル)と何ら変わらなくなってしまうため、そこは違うものになっているようだ。

『こちらのフィールドからは失格以外では出ることはできません。そのため仮に接触などで押し出されそうになっても魔力の壁に阻まれる形になります』

今回は押し出すのではなくまた別要素があるらしい。まぁ二人参加しているわけだし、押し相撲になったら有力な魔導士をどちらかが捨て身で体当たりして退場させることも考えられるだろう。そうなったらさすがに面白くないという考えなのかもしれない。

『今回皆さんにはあるものを奪い合ってもらいます。それは・・・』

それと同時に魔水晶(ラクリマ)ビジョンへと映し出されるあるもの。それは咥えるところが付いている小型の魔水晶(ラクリマ)のように見えた。

『空気です』

















レオンside

ルール説明の声にざわつく会場。無理もない、俺たちだったこれには驚きを禁じ得ないのだから。

「空気を奪い合う?」
「それも水中でか?」

通常水の中では呼吸ができない。そのため海戦(ナバルバトル)の時は特殊な水を使って全員が通常通り息ができるようにしていた。だが、今回奪い合うのは恐らく今ビジョンに映っている酸素魔水晶(ラクリマ)。つまりあれがないと息ができなくなってしまう通常の水中と同じ状況ということになる。

「あの酸素魔水晶(ラクリマ)を奪い合うのか?」
『そうなるカボ!!』
「それだとあれが取られたら危なくない?」

エルザさんとシェリアの問い。それはまさしく的を射ていた。息ができない中で酸素が奪われたら人は死んでしまう。こんなお祭りでそんなことが許されるのかと思っていたが、今回はそれがルールの鍵になるらしい。

『そこは問題ないカボ。酸素魔水晶(ラクリマ)が口から10秒間離れた場合自動的に失格となるから溺れたりはしないようになってるカボ』

それを聞いてひと安心。でもよくよく考えれば酸素を奪い合うんだから、それを取られた時点で負けになるのは当たり前かと納得する。

「つまり空気を奪い合うだけのゲームってことか」
「昨日までが複雑だったからね、それくらいシンプルな方が---」
『次の注意点は今回の競技の制限時間は30分ですが、こちらの酸素魔水晶(ラクリマ)には通常時であれば15分の活動ができる酸素しか入っていないカボ』

単純なゲームかと思っていたけど、そうは問屋が卸さないようだった。

「つまり誰か一人からは空気を奪わないと行けないということか?」
「いや・・・」

空気が二つあれば安全圏・・・と言いたいところだけど、そう簡単にはいかないはず。なぜなら・・・

「酸素は一人一つしか持っていないのか?」
『はい。フィールド内にあるのは皆さんの持つ酸素魔水晶(ラクリマ)のみとなりますカボ。追加やどこかに隠されているなどの対応はしていないカボ』

つまり全員が最初から酸素を消費していくことになるため、誰かのを奪った時にはそれはフル充電されたものではないということになる。つまり三つ以上・・・奪った時間によってはそれ以上酸素がないと最後まで持たない可能性がある。

「残りの酸素量も気にしないといけないのか」
「しかも通常時でだからな」

通常時がどのような状態かは推測ではないが、恐らく普通に水中を動く分にはってことなんだろう。そうなると戦闘に入ったりすると一気に酸素を使ってしまう可能性があり、15分は持たない場合もありそうだ。

「魔法で空気を生み出すのはいいのか?」
『それだとゲーム性が落ちてしまうカボ!!空気はあくまでこの酸素魔水晶(ラクリマ)のみとなるカボ』

ここで質問したのはミネルバさんだったが、これはいい判断だろう。シリルとジュビア姉では空気を生成しかねない。それだと他の面々よりも長く動けるようになってしまい、ますます有利になってしまうからだ。

『また、酸素が尽きた場合は30秒以内に新しい魔水晶(ラクリマ)に付け替えないと失格になるカボ。魔水晶(ラクリマ)はこちらのボタンを押せば簡単に付け替えられるから安心してカボ』

口に付けておくマウスピース部分についているボタンで酸素が貯められている魔水晶(ラクリマ)の付け替えはできるらしい。つまり奪った後は魔水晶(ラクリマ)部分だけを持っていればいいから重りとなってしまう量も減りそうだ。

『最後まで生き残っている選手がいるギルドの勝利カボ。二人とも退場した時点で失格、順位が確定するカボ。もし制限時間まで残っている選手が複数いる場合はより残っている選手が多いギルド、人数も同じ場合は酸素の残量が多いギルドの勝利カボ』

最低限生き残るだけではダメ、かといって酸素の残量を大きく削る戦闘はなるべく避けたいが今回の参加者を見るにそれは厳しいか。

「思ったより頭も使うな」
「でも頭使うと余計に酸素消耗するよね」
「かといって無闇やたらに行動すればそれもまた酸素を無駄に消費する」
「厄介だな、このゲーム」
「オオーン」

どう立ち回るのが正解なのかを考えようにも酸素の量が鍵を握るとなればそれを考えるのも制限される。よくもまぁここまで面倒なゲームを考えたものだ。

「どう立ち回れば・・・ん?」

無策で挑むのは困難だが、今回はチーム戦になっている。シェリアとサクラはどう動くのかと彼女たちの方へと視線を向けようとしたところ、何やら違和感に気が付いた。

「何やってるんだ?あの人たちは」

まだ競技の説明段階なのに明らかに人が密集しているポイントがある。その中心にいる華奢な身体の水髪の人物はその非常事態に顔を真っ赤にし、俯いていた。

「まさか・・・これが狙いなのか?」

少年のその姿を見て勝ち誇っている女性たち。それを見たことでなぜこのメンバーたちがこの競技に集まったのか、俺たちはようやく理解できたのだった。

















第三者side

「ねぇ」
「何?カナ」

ここは妖精の尻尾(フェアリーテイル)のBチームに当たるガールズチームの待機場所。そこにいる面々は今、競技のルールよりもその説明を聞いていなければならないはずの選手たちに意識を持っていかれていた。

「あれって・・・」
「まさか・・・ね」

カナとルーシィは互いに言葉を濁しているが、何を言いたいのかはおおよそ理解しているようだった。そしてその理由は中央にいる人物にあった。






















「あの・・・」
「どうしたの?シリル」
「当たっているんですが・・・」

顔を真っ赤にして俯いている水色の髪をした少年。それを言われたジェニーは離れるどころかますます身体を密着させていた。

「当たってるんじゃなくて、あ・て・て・る・の♥️」
「な・・・なんで・・・」

なぜ彼女がそのような行動に出ているのか理解ができずに目を白黒させている少年。すると、女性は彼の耳元に優しく話しかける。

「最近シリル、カッコよくなったからね」
「ふぇ!?」

予想外の言葉にさらに顔が紅潮するシリル。すると、その逆サイドにいたミネルバも身体を寄せてきていた。

「悪いがジェニー、妾もシリル狙いでな」
「あら?じゃあライバルになるのかしら?」

そう言った二人はまるで敵意がないような笑みを浮かべている。いつものシリルなら気付くであろうその違和感に、混乱している彼は気付くことができない。

「シリルならきっと、うちに来てもお客さんがいっぱい付きますわ」
「いえ、シリル様の力があれば私たちと一緒の方がいいはずです」

そこに加わってくるのはシェリーとユキノ。その際ユキノは恥ずかしがっているのか顔が少年に負けないほどに赤くなっているが、これにも彼は気付くことはない。
すると、ここにさらに加わってくるものが三人。彼女たちは明らかに邪なオーラを放っている女性陣から少年は中心へと抱き寄せる。

「悪いがシリルは私たちのものだ」
「そうよ!!これは譲れないわ」
「そうです!!絶対に渡せません!!」

その三人とはこの競技に参加している妖精の尻尾(フェアリーテイル)の三人。その際仲間であるエルザとリサーナはミネルバたちと視線を交わらせ作戦が上手く行っていることに喜んでいるようだが、本当に少年を渡すまいとしているジュビアにそれを悟られないようにとすぐに目付きを変える。

「いやいや、人魚の踵(うち)だって負けてないよ」
「男でもシリルなら別かもね」

そこに割り込むように身体を寄せてくるのはソフィアとスリム型に体型を変えているリズリー。二人も身体を寄せてはいるが、ソフィアはいつものようなボディタッチをシリルにしていない。もっとも、ソフィアは相当我慢しているのかかなり身体が震えており、いつ暴発してもおかしくないようには見えているが。

「これ、自分たちも入った方がいいんですか?」
「ど・・・どうしよっか?」

そこに割り込んでいくか迷っているのはサクラとシェリアの蛇姫コンビ。彼女たちも他チームの狙いには気が付いていたが完全に出遅れたのか、どうすればいいのか迷っているようで輪に入れずにいた。


























「まずいわね、これは」

その様子を見て表情を曇らせるのはカナ。ただ、彼女の不安の要因がルーシィたちにはわからなかった。

「でも、あれでシリルが困惑するの?」
「確かに。私たちの裸も何回も見てるし耐性はあるはずよね?」

なかなかとんでもないことを言っていることに気が付いていないルーシィとミラジェーンだったが、カナは自身の心配がそこではないことを伝えるために首を振る。

「確かに色仕掛けだけだったら大丈夫だったかもね」
「だけって?」
「他に何かある?」

彼女たちの目に映っているのはどう見ても自分たちの魅力を存分に使って目の前の少年を誘惑し、平常心を断ち切ろうとしている姿。必要以上のボディタッチを繰り出すその表情は少年が自分たちの手中に落ちようとしている様を楽しんでいるように見えているが、彼女たちが色仕掛け以外の何をしているのかはルーシィたちからはわからない。

「シリルたちは私たちと一緒にいるからね、多少のボディタッチも露出への耐性もあるよ。ただ、それは私たちがあいつを女の子扱いしてるからなんだよ」
「え?それって・・・」

何が言いたいのかようやくわかったミラジェーンは青ざめた顔をしている。いまだに何がなんだかわからないルーシィは二人の顔を交互に見ていることしかできない。

「シリルは今あいつらにされてるみたいな、男扱いに慣れてないんだよ」
「うわ!!何その悲しい弱点!?」

少年の容姿が引き起こしたあまりにも悲しい事実に突っ込みを入れずにはいられない。ただ、少年は生まれて初めてといってもいいほどの男扱いとそれと平行して行われる色仕掛けに茹でダコのようになっている。

「てかウェンディ、静かだけど大丈夫?」
「ダメよ、ルーシィ。もう遅いわ」
「??」

この様子を見ても何もリアクションがない少年の恋人である少女。なぜそのような状況になっているのかとルーシィは少女の方に視線を向けたが、ミラジェーンの意味深な言葉に困惑したものの、すぐに何が言いたいのかを理解した。

「ちょっと。なんかどす黒いもの見えてるわよ」コソコソ
「知らないよ、私たちじゃどうしようもないもん」コソコソ
「そうね、ここは突っ込まずにおきましょう」コソコソ

少女は怒りのあまり近くにいる三人が声をかけられないほどのオーラを放っていたのだ。そのあまりの圧に年上であるはずのルーシィたちすら恐れを抱いており、距離を置いている。

「私がいるのに・・・シリル・・・」

今少年に集まっている女性陣にはあり、彼女にはないものへと手を伸ばし唇を噛み締めている少女。その目は殺し屋と遜色ないほどのものへとなっている。

「これは終わったわね」
「勝っても地獄・・・」
「負けても地獄ね」

この後行われるであろう制裁を想像し鳥肌が立つ三人。彼女たちはその火の粉が自身へと振りかからないようにと少女から視線を逸らしていた。
























競技開始前から始まっている駆け引き。それにようやく気が付いた観客たちだったが、その姿がただの女性たちによりイチャつきにしか見えず大歓声・・・いや、男性陣の歓喜の声が響き渡っていた。

「なるほど、これがあいつの攻略法か」

完全に手のひらで踊らされている少年を見ながら真顔で一言を放ったのは、素顔を隠しているセレーネ。彼女は面白がっているようだが、隣にいるディマリアはあえてそちらを見ないようにしている。

「どうした?私たちも行った方がいいんじゃないか?」
「断る。誰があんなこと・・・」

完全にタイプが真逆の二人は意見が噛み合っていない様子。しかし、セレーネは彼女に身を寄せると耳元で囁くように話しかける。

「お前の気持ちはわかるが、今は作戦の成功を最優先するべきじゃないのか?」
「それはそうだが・・・」
「もししないなら、あの子は私がもらうわよ」
「わ!!わかったわよ!!」

竜王祭(ラグナログ)の際になす統べなく敗戦したことを気にしていたディマリアはシリルとの再戦を待ち望んでいた。そのため、彼女も他のギルドに協力するために少年のすぐ横に入り込み、身体を寄せる。

「あら?あなたみたいに強い子はうちが一番いいんじゃない?」
「「「「「!!」」」」」

まさかこの作戦に狩猟豹の頭(チーターヘッド)までも加わってくるとは思っていなかったらしく全員が面を喰らっていた。そしてその間にセレーネもシリルに歩み寄っている。

「そうね。ほら」

彼女は少年の手を掴むと、あろうことかそれを自身の胸へと押し当てた。

「こういうのが好きなんでしょ?」

その問いに少年は答えることはなかった。なぜなら彼はあまりにも大きな衝撃オーバーヒートしてしまったのか、鼻血を吹き出して倒れてしまったのだから。

「きゃああああ!!シリル!!大丈夫!?」
「師匠!!大丈夫ですか!?」
「あとでウェンディに怒られそう・・・」

これにはさすがにジェニーたちも驚いたようで慌てて二人を引き離しつつも時すでに遅し。シリルはジュビアとこの駆け引きに参加しなかったサクラとシェリアに揺すられながら、仰向けになっていた。

「あの~・・ルールは大丈夫ですか?カボ」

完全に意識が他へと向いていた面々を見ながら声をかけるマトーくん。ただ、その声も参加者たちには届いていないのか、しばらく忙しない喧騒が巻き起こるのだった。






 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
実は前々からやりたかったシリルのスーパーハーレムタイムです。これのためにこの競技をやっていると言っても過言ではない|ョω・`)カゴンデアッテクレ
次からは競技に入ります。何話くらいかかるかなぁ・・・(  ̄- ̄) 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧