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頑張るお母さん猫

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第一章

                頑張るお母さん猫
イスタンブールのあるスーパーでだ。 
 一匹の白い毛で耳と目の当たりが茶色い雌猫が鶏肉をパックごと取っていった。
「万引きか?」
「これはよくないな」
「ちょっと怒るか」
 そうしようとだ。 
 人々は思ったが猫が必死にパック自分の体格と比べるとかなりの大きさと重さであるそれを必死に加えて持って行っているのを見てだった。
 ふと思いなおしてだ、こう話した。
「何かあるみたいだな」
「訳ありだな」
「どうも」
「これが」
「ああ、この娘リリーっていって」
 客の一人が周りに話した。
「近くの地域猫だよ、子猫が四匹いるよ」
「へえ、お母さんか」
「そうだったんだな」
「どんな猫かって思ったら」
「そうだったんだな」
「子猫の為だな」
 その客、優しい顔の老人は話した。
「パックを必死に運んでるのは」
「そういうことか」
「じゃあ仕方ないか」
「今回は見逃してやるか」
「盗んだにしてもな」
「イスラムの教えもあるよな」
 老人は笑顔で話した。
「猫は大事に」
「そうだよな」
「俺達はムスリムだ」
「そうだとな」
「そこはちゃんとしないとな」
「だからな」
 それでというのだ。
「ここは子猫達に免じてな」
「見逃してやるか」
「お母さんの必死の行いだしな」
「盗んだのは悪いにしても」
「それでもな」
「代金はわしが払うから」
 老人はこうも言った。
「だからな」
「そうしてくれるならな」
 スーパーの店員が応えた。
「いいよ、ただ今度からは」
「駄目だよな」
「流石に」
「そうだよな」
「欲しいならやるよ」 
 こう言うのだった。 
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