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スコットランド語は知らない

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第三章

「それぞれ違うってね」
「同じ国でもな」
「四つの国から成り立っててな」
「それぞれ違うんだよな」
「独立性強いんだな」
「先生はスコットランド生まれなのよ」 
 笑顔のままでだ、先生は話した。
「エジンベアでね、それでね」
「スコットランド語もですか」
「喋られるのよ、今はスコットランドでもお話出来る人少ないけれど」
「それでもですか」
「先生はお話出来るの、ちょっと驚かせようと思って」
 それでというのだ。
「喋ってみたのよ」
「実際驚きました」
 まさにとだ、林田は答えた。
「イギリスの人だから英語と思っていたら」
「そうは限らないわ、じゃああらためて宜しくね」
 笑顔のままで言うのだった。
「これからも」
「は、はい」
「宜しくお願いします」
「これからも」
 林田達も応えた、そしてだった。
 彼等は先生と仲よくなった、だがいきなりスコットランド語で話されたことで主導権を握られ以後先生のペースで教師と生徒の関係は絶対に崩れず。 
 大学生になってだ、林田は小学校の同窓会で当時のクラスメイト達に話した。
「スコットランド語で話されて」
「それでな」
「完全に先生に主導権握られて」
「それでだよな」
「先生と生徒のままでな」
「そこから教えてあげるなんて」
 林田はあからさまな本音を出した、当時考えていたことを。
「ブロンドスタイル抜群の女教師に」
「タイトミニでな」
「最高だったよな」
「俺達も思ってたよ」
「期待していたよ」
「それをさせなかったね、いや英語と思ったら」
 それで返されると思っていたらというのだ。
「スコットランド語なんてね」
「あの先生やれる人だったな」
「今でもあの学校で先生やってるらしいけれどな」
「相変わらず美人で」
「思わなかったよ、イギリスは英語だけじゃない」 
 その言語はというのだ。
「あらためて知ったよ」
「そうだよな」
「俺達もだよ」
「英語の国でもな」
「英語だけじゃないな」
「そういう国でもあるよ」 
 こう言って酒を飲んだ、飲んだ酒はウイスキーのロックだった。イギリスのその酒は美味く彼も好きだった。


スコットランド語は知らない   完


                  2023・10・20 
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