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美形兄の現在

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第二章

「嬉しいことに」
「あの、お兄ちゃんお家にいる時は何してます?」 
 優は義姉に尋ねた、二人の仲はよく親しく話している。
「身体動かしてます?」
「出航していなくてもずっとお仕事で」
 義姉はすぐに答えた。
「寝転がって休んで疲れを癒してるわ」
「そうなんですか、だったら」
 義姉の話を聞いてあらためて兄を見て話した。
「余計に太りますね」
「そこで僕見るんだ」
「お家のこともわかったから、しかもお酒好きよね」
「ビールがね、おつまみはソーセージとかだね」
「尚更ね、若い頃のことはもう過去のことね」
 このことを思い知って言うのだった、そのうえで兄に今度はあまりにも太り過ぎると健康に悪いと注意した。
 そんな風だったが兄は潜水艦から地上勤務になりそこの部隊の司令の方針で太っている者は健康の為そして肥満対策で毎日プールで泳ぐ様になってだった。
 程なくして体型はいささか戻った、妹はまた実家で兄を見て言った。
「よかったわ、じゃあこれからもね」
「毎日泳げっていうんだ」
「海上自衛隊は何処でもプールあるのよね」
「泳ぐのは基本だからね」
「だったらね」
 それならというのだ。
「これからもね」
「泳ぐことだね」
「そうしてね」
「少なくとも今の部隊だとそうさせられるし」
 司令の命令でというのだ、言うまでもなく自衛隊では命令は絶対である。特に幹部間ではそうである。
「やっていくよ」
「ええ、そうしてね」
 妹は嬉しそうに話した。
「そうしたら昔のお兄ちゃんみたいにね」
「痩せるんだ」
「だからね」
 それでというのだ。
「これからもね」
「泳いで」
「昔のお兄ちゃんになって」
「痩せていて美形の僕の方がいいかな」
「当たり前でしょ、身内にそうした人がいたら」
 外見が整ったというのだ。
「嬉しいものよ、自然とね」
「そうなるんだ」
「だからね」
 それでというのだ。
「理想は学生時代」
「そこまでだね」
「痩せてね」
「努力するよ」
 兄も妹が言うならと応えた、そしてだった。
 部隊では毎日泳いだ、するとさらに痩せた。だが部隊が変わると今度の司令は肥満に厳しくなくまた戻った、それで妹は昔に戻ることは難しいと思ったのだった。


美形兄の現在   完


                   2023・10・17 
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