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ドリトル先生の落語

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第七幕その九

「黒くてね」
「味も辛いのよね」
「それで昆布も使っていないなら」
 それならと言う老馬でした。
「おつゆの味が違うのも当然だよ」
「そうよね、あんなおつゆでいいのかって」
 かなり本気で、でした。ポリネシアは言いました。
「思ったわね」
「おうどんがああだと」
 しみじみと言うジップでした。
「他も違うのかもって自然に思えるけれど」
「実際に違うんだよね」
 チーチーも言いました。
「これが」
「おうどんの麺の具合も違っていて」
 トートーはさらに言いました。
「かけうどんだとお葱も入っていなかったりするし」
「油揚げもあまり使わないね」
「こっちはきつねうどんの本場だけれど」
 オシツオサレツはそちらのお話をしました。
「むしろおうどんじゃなくてね」
「おそばって感じだね」
「そうだよ、あっちはお蕎麦だよ」
 実際にとです、先生は皆に答えました。
「江戸つまり東京だとね」
「やっぱりそうだね」
「それもお蕎麦は噛まない」
「喉越しを味わって」
「量も少ないね」
「主食じゃなくて軽食だからね」
 お蕎麦はというのです。
「量も少なくてね、あと噛まないのも」
「おつゆが辛い」
「そのせいね」
「だからだね」
「それと職人さん達は食べてすぐにまた働いたから」
 そうした風だったからだというのです。
「噛まずにすぐにね」
「飲み込む」
「それでお腹に入れる」
「そうしていたんだ」
「あとお風呂の入り方もかな」
 こちらのこともお話する先生でした。
「熱いお湯にさっと入るのもね」
「あちらだよね」
「江戸、東京だね」
「よく言われるね」
「それもかな」
 こう言うのでした。
「すぐにというね」
「成程ね」
「同じ日本でも随分違うね」
「食文化にしても」
「人口配分にしてよ」
「そうだよ、いやこうしたことを学ぶと」
 それならと言う先生でした。
「面白いよ」
「全くだね」
「日本の地域ごとの文化の違いも」
「そうしたことを学ぶこともね」
「楽しいね」
「そうだよ、だからね」
 それ故にというのです。
「落語一つ取ってもね」
「学問だね」
「日本を学べる」
「お笑いであって」
「そうでもあるんだね」
「そうだよ、だから僕も論文に書いているんだ」
 そうしているというのです。 
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