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富士山は簡単には登れない

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第二章

「本当にしっかりとです」
「摂ってですね」
「身体を労わって」
「そうして進むことですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「絶対に」
「わかりました」
「実際空気徐々に薄くなってきていて」
「気温も下がってますしね」
「気を付けていきます」
「そうしていきましょう」 
 かく言う国府自身辛くなってきていた、富士山の環境に。だが自分はガイドだからと弱音を言わないで。
 そのうえで進んでいった、そのうえで六合目七合目と脱落者なく進んでいき。
 遂に踏破した、登山客達は皆喜んだがそれは国府も同じで。
「やりましたね」
「はい、本当に」
「やりました」
「踏破出来ました」
「おめでとうございます、まだ下山がありますが」
 国府はそれでもと話した。
「頂上には到達しました」
「そうですね」
「本当によかったです」
「踏破出来て」
「皆さん今大変ですね」
 国府はここで彼等の顔を見て言った。
「本当にこれがです」
「富士山ですね」
「そうなんですね」
「この山なんですね」
「生半可な気持ちでは」
 それこそというのだ。
「登れません、そのことがわかりましたね」
「はい、踏破して」
「実際にそれが出来て」
「よくわかりました」
「そうです、また登られる時も」
 その時もというのだ。
「用心して下さい」
「そうします」
「本当に凄い場所だってわかりましたから」
「そうします」
「そのことをお願いします、では下山に入りましょう」
 国府は下山の時も無理はしない様にした、そしてだった。 
 全員無事に下山した、そこで無事に終わったが。
 彼はそれからも登山特に富士山のそれを甘く見ることはなかった、そのうえで店で働きガイドをしていった、彼は常にこう言っていた。
「山は甘く見ないで下さい」
「決してですね」
「それで登山すべきですね」
「そうして下さい」
 こう言うのだった、そして真面目に安全に働いていったのだった。


富士山は簡単には登れない   完


                   2023・9・24 
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