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母が三日いないと

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第二章

「服畳んでないし」
「洗って乾燥させたぞ」
「ちゃんとね」
「皺も伸ばして」
 そしてというのだ。
「畳まないと。それに食器も」
「汚してないぞ」
「コンビニ弁当やカップ麺食べてたからさ」
 二人は何でもないといった声で答えた。
「あとポテトチップスとか」
「お握りとかパン買って食べてたからね」
「けれど容器とかカップ洗わずに」
 それでというのだ。
「台所やテーブルにほったらかしだし」
「何か問題あるか?」
「悪いかな」
「ゴミはゴミ箱に突っ込んだままで」
 今度はこちらの話をした。
「捨ててないし」
「何が悪いんだ」
「一体」
「全部よ、予想通りだったわ」 
 家の中で溜息混じりに述べた。
「こうなるのはね」
「いや、そう言われてもな」
「何処か問題かな」
「何が悪いんだ?」
「何もだよね」
「悪くないけれど困ってるから、これから私の言う通りに片付けて」
 夫と息子に告げた。
「いいわね」
「よくわからないがわかったよ」
「お母さんがそう言うならね」
「一段落してから休むから」
 旅行が終わってほっとしたい、だがそれでもとだ。
 妻は言って二人にやるべきことを伝えて動いてもらった、そして家の中を奇麗にしてからようやく落ち着いたのだった。
 そしてこのことは旅行に行く度にましになっていったとはいえ常だった、それで彼女は言うのだった。
「家のことってね」
「旦那とか息子とかね」
「わからないのよね」
「私達のところもよ」
「そうなのよね」
 こう周りに言うのだった、それを否定する者はおらず旅行の後のちょっとした困りごとであり続けたのだった。


母が三日いないと   完


                    2023・9・22 
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