義弟が握った寿司

　遠藤は松本と一緒に色々握ってもらって食べた、すると。
「美味しいですね」
「そうだね」
　遠藤は松本の言葉に頷いた。
「これはね」
「本物ですね」
「ネタもよくて」
「シャリも完璧で」
「いや、何もかもがね」
「最高ですね」
「まさかこんなに凄いなんて」　
　義弟の握った寿司がというのだ。
「思わなかったよ」
「遠藤さんもですか」
「寿司職人でここでお店持ってるのは知ってたよ」
　このことはというのだ。
「親御さんの跡を継いで」
「それで、ですね」
「けれどここまで美味しいとは」
　それはというのだ。
「思わなかったよ」
「腕まではですか」
「考えたこともなかったよ」
　そうだったというのだ。
「本当に。けれど」
「来てよかったですね」
「うん、これはね」
「そう言ってくれると何よりです」
　速水も笑顔で応えた。
「じゃあどんどん握っていきますね」
「うちの人のお勧めでいくわね」　
　妹も兄に言ってきた。
「それでいい？」
「任せるよ」
　遠藤もこう答えた、そしてだった。
　二人で速水に任せて食べていった、そして食べ終えると満足して勘定を払った。その時に速水は義兄に笑って言った。
「また来て下さいね」
「いいことがあったらね」
　これが義兄の返事だった。
「そうさせてもらうよ」
「いつもじゃないですか」
「美味しいけれどこうしたお店はね」
「やっぱり高いですか」
「だからいつもは無理だよ」
　笑って言うのだった。
「だからね」
「はい、じゃあお義兄さんの幸福を願います」
「そうしてね、じゃあまた」
「はい、また」
　義兄弟で笑顔で言葉を交えさせた、そして店を出てから彼は松本に言った。
「じゃあまたいいことがあれば」
「来させてもらいますか」
「そうしよう、じゃあ今日は」
「これで、ですね」
「帰ろう」
　こう話してだった。
　二人それぞれ家に帰った、それから暫く二人は寿司は回転寿司だった。だがまた大きな仕事をやり遂げると速水の店に行った。そして彼が握った美味い寿司を食べたのだった。


義弟が握った寿司　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０２３・９・２１