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SAO<風を操る剣士>

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第一部 --SAO<ソードアート・オンライン>編--
第四章 クリスマスの夜に…
  第27話 温泉で○○!?(1)

 
前書き
多分今回、タグに書かれた R15? な回です。
よく基準が分からない……

※現在1話から順々に話の書き方を修正中です。
修正といっても話の内容を変えるわけではないのでそのまま読み進めても大丈夫です。
前書きに『■』←このマークがあれば修正完了で、『□』←このマークがある場合修正中、なければ修正前ということでよろしくお願いします。 

 



「お! ココか、アルゴの言ってた温泉は」
「そうらしいですね。上に湯気が見えますし」
「けど、あれって完璧に和風だよな……SAOの世界観、無視してないか?」
「……ダンジョンもあったんですから、あるんじゃないですか…」
「…そうだな」

 シュウさんの説明が終わってから、あたし達が森の奥に進んで日も暮れ始めてるくらいに、少し大きめの小屋が見えた。
 その小屋の奥の、丸い円を描くように3~4mの長い木の板で囲まれてる所の上から、湯気が見えた。
 多分だけど、あの小屋は脱衣所なんだと思う。
 …でもシュウさんが言ったように、このアルゴさんが教えてくれた温泉の小屋などの形は、和のデザインだと思う。
 だって、あたしがたまに見ていたテレビの旅番組などで、旅館の木の仕切りが付いている露天風呂がこんな感じだったと思う。
 よく見てみるとこの小屋の周りも、なんとなくだけど少し日本をイメージした感じになっている事に気付いた。
 SAO開始から約一年、なんだかこういう感じの景色は懐かしく感じる。

 そんな事を感じながら、シュウさんと一緒に脱衣所だと思われる入り口の前に着くと、シュウさんが先に入ろうとして扉を掴んでから、そこで動きを止めた。
「どうしたんですか、シュウさん? 入らないんですか?」
「いや、その……入る前に言うのもなんだけど……もしかしての話なんだけどさ~…」
「なんですか?」
 シュウさんは何かが気になって、入り口を開けるのを躊躇(ためら)ってるらしい…
 本当にどうしたんだろう?

 するとシュウさんが言いにくそうに、あたしに呟くような声の大きさでに聞いてきた。
「……この温泉……混浴……じゃない、よな?」
「………はい?」
 混浴? そんなはずは……だって、温泉は一つしか………一つ?
 ……あれ? テレビなんかでも、こういう一つしかない温泉は……混浴……だった…かな?
「そ、そそそんな訳ないじゃないですか! し、し、仕切りか何かで別になってますよ、きっと!///」
「そ、そうだよな! 別々だよな! 何考えてるんだろうな、俺! あはは…///」
 あたしはシュウさんに、必死に今浮かんだ考えを否定する可能性を、自分にも言い聞かせるように口にする。
 そう、まだ混浴だと決まった訳じゃない……でもでも、もし混浴だったらどうしよう!? もう日も暮れ始めてるし、シュウさんに後で入らせるな訳には……なら、あたしがあとに……でもシュウさんが遠慮しそうだし……本当にどうしたら!!
「…よ、よし! 開けるぞ!!」
 あたしが悩んでる中、シュウさんが覚悟を決めたように扉を開けると、少し狭めの靴置き場みたいな空間があった。そして、あたし達のすぐ先には……

 ……よく温泉にある、男湯と女湯を()ける赤色と青色が見えた…

「……はは、そうだよな。…別々だよな、やっぱり…」
「……そ、そうですよね。…別々ですよね、やっぱり…」
 それを見て、シュウさんとあたしは同時に声を出す。
 なんだろう……この嬉しいような、悲しいような気持ちは…

「そ、それじゃあ、ココに集合ってことで…」
「は、はい、分かりました…」
 そんな気持ちになりながらも、シュウさんが気分だか分からないけど靴をウィンドウを出し、脱いでからあがったので、あたしも脱いでからあがり、シュウさんと話してから女湯の入り口を入った。
 あとシュウさんも、あたしと同じように声が少し落ち込んでるように聞こえたのは気のせいだよね…



==================



 あたしは脱衣所で装備、衣服、下着の順にウィンドウのボタンを押して脱いで、外に出る。
「うわ~、懐かし~」
 するとそこには小さな(まつ)の木などがあり、和のデザインが押し込まれていた。
 SAOにフルダイブする前も親が仕事で忙しかった為か、旅行や旅館に泊まった記憶なんか無いのだけど、それどもやっぱり懐かしく感じてしまう。

「シリカ~、そっちのデザインどうなってるー?」
 あたしがお湯の周りを見ていると、木の仕切りで半分に区切られた向こうからシュウさんの声が聞こえた。
 この仕切りでは、ドアのようにシステムで声が聞こえない、ということが無いらしい。
 声を聞いた後、あたしはシュウさんに聞こえるように少し大きめの声で返事を返す。
「テレビとかでよく見る旅館の温泉みたいですー」
「じゃあ男湯と同じだなー」
「そうなんですかー」
「まぁ、お互いゆっくり湯に浸かろー」
「そうですねー」
 その会話から、本当にシュウさんはゆっくりしだしたのか、声が来なくなった。

 あたしも今更ながら、周りを見ていてお湯に入ってなかったことに気が付く。
「う~、寒いよ~」
 一応、このSAOにも四季があり12月の寒い時期、しかもほとんど日が落ちて寒くなってきた時間帯に数分間、裸でお湯の外にいたら寒いのは当たり前だよね。
 ゲームの中で体を洗う必要もないので、あたしは急いでお湯に入る。
「………ふあぁ……気持ちぃ~………」
 冷え切った体が暖まっていくると、久しぶりのお風呂という事もあり、気の緩んだ声が止まらない。
 現実と違って違和感のあるお風呂にも、ダンジョンに入る前に何回か入ってる内に、少しずつだけど馴れていった。
 この温泉の事を教えてくれたアルゴさんには、今度お礼をしないと。
 他にも色々とダンジョンの事とかでお世話になってるし、お礼は何がいいかな?
「……そういえば、アルゴさんに……」
 アルゴさんに対するお礼を考えていたら、ダンジョンに行く前にアルゴさんに言われた言葉を思い出した。
『シュー助には、もっとダイレクトに伝えないと……気持ち、伝わらないヨ』
 ……ごめんなさい、アルゴさん。半年くらい経った今でも、まだ実行が出来てません…

 そりゃ、何度だって気持ちを伝えようとした。
 でもダイレクトに言う為のシチュエーションなんて、ダンジョンでなんてまったく起きなかった。
「シチュエーションなんて気にしてるからダメなのかな~……タイミングもどうすればいいか分からないし……」
 シチュエーションといえば、小学校に通ってる時に男の子に何度か告白された事があったような…
 あっ、でもあの時は告白でお決まりの屋上や校舎の裏とかでされたから、SAOでは参考にできない。

「…………」
 今考えると、あたしが告白を断った男の子に対して
『ごめんなさい』
 と断っていたけど本当は、小学生の内から『付き合いたい』なんて思うのかな、って思っていた。
 でも、本当なら小学校を卒業して一年も経っていないのに、今あたしは告白の事で悩んでいる。

 それに、教室に保健室か帰ってきて話していた、偶然聞こえた男子の
『○○が寝てたんだけど、寝顔がめっちゃ可愛いぞ!!』
 という会話が聞こえて来て、寝顔を見るだけで何でそんなにテンションが上がるのか不思議だった。
 でも、今はたまに夜のシュウさんの寝顔を見るだけで、込上(こみあ)げて来る何かの気持ちを必死に抑えるあたしがいる。

「……アルゴさんなら、もしあたしが『こんな事に悩んでます』って言ったら、どうやって言葉を返してくれるかな…」
 …多分『仕方ない、それが恋ダ。それにタイミングやシチュエーションが無かったら、自分から作っちゃエ!』とか、恥かしくて無茶なこと言ってくるんだろうな~。



==================



 そうやって(しばら)く考えて、そろそろ上がろうかな~、って思ってお湯から立ち上がると、シュウさんのいる男湯の方が騒がしい事に気が付いた。
 …何やってるんだろ、シュウさん? 何か暴れているような気が……
 と思って、仕切りの方を上の方を見ようとしたら……

「させるかーーッ!!」
 とそんな声が聞こえてすぐ、あたしの前2mくらいの場所に、何かが叩き付けられたように落ちてきて、水しぶきをあげる。
 あたしは本能的に、上を向こうとしていた顔を正面に向けて、両腕で顔を水から守る。
 そして何かが落ちてきた場所から、モンスターが消滅する音が聞こえた。
 そして数秒ほどで、またあたしの前に……しかもさっきより近くで、あたしの前1mくらいの所に何かが落ちてきた。

 そして、落ちてきた所から
「ぶはぁー」
 という声をあげて、シュウさんが顔を出した。
「シュ、シュウ……さん?」
「へ!? シ、シリ……カ…………」
 シュウさんは、あたしが確認の為の声に振り返ると、あたしの方を見て言葉を失っていた。
 まるで、目が離せない物があるかのような顔で…

 あたしはシュウさんの視線をたどって、何を見ているのか確認した。
 シュウさんが見ている先には………『下着まで脱いでる』あたしの体があった。
 しかもあたしは、水から顔を守るためにあげてた腕の隙間から周りを確認していたから、腕は体を何一つ隠さず、さらにお湯からあがろうと思い立ち上がっていた。
 つまり、その……シュウさんに全部見られ……

「ッーーーーー!!!!」
「ハッ! ご、ごめん!!」
 あたしが恥かしさのあまり声もあげられずに、腕で体を隠すようにしながらお湯に再び肩まで入ると、シュウさんも気が付いたように後ろを向く。

「ご、ごめん、シリカ! でも、湯気で……って、この距離だと湯気も意味がなったか……だから……その……ごめんなさい、見ました……」
 シュウさんは、あたしの気が少しでも楽になるようにと言おうとしたらしい。
 けど、ごめんなさい。それ逆効果です。



==================



 あれから何分経っただろう……時間の進みがよく分からない。
 シュウさんが、なんで落ちてきたかの説明をしてくれている内に、少し気持ちが治まってきた。
 このSAOのアバターはナーブギアの、初回のセットアップで行なうキャリブレーションという動作で、あたしが自分の全身のあちこちを触って測定されたデータから作られているので、現実のあたしとそんなに代わりが無い。
 そんなアバターの体を男の人に見られて、こんな速く落ち着いてきた原因は、見られたのがシュウさんだったかもしれない。
 ……でもシュウさんも、見るにしたって12歳の頃から成長しない、あたしのアバターの体なんて見ても…

「ご、ごめんなさい。見るんだったら、もう少し大人の女の人がいいですよね…////」
「そ、そんな事ないぞ! それにシリカは俺と2つしか違わないんだ。そんなに子供じゃないよ////」
「………そんな事無いですよ……」
 あたしの考えていた事とは反対の答えが返ってきたので、シュウさんの言葉を嬉しく感じてしまう。
 今の言葉は、シュウさんはあたしをちゃんと『異性』と感じてもらっている気がする。
 …気のせいかもしれないけど、そう思ってしまう。

「…………」
「え~と、シリカ? ……そ、その、これで許してとは言わないけど、今度シリカの何でも聞いてあげるよ。俺のできる範囲で! だから……その……黙ってるのはちょっと……流石にこの空気で、後ろで黙られると……」
「………ごめんなさい」
「い、いや、俺が悪かったから良いんだけどさ……」
「……シュウさん、『なんでもする』って本当ですか?」
「へっ!? あ、ああ、俺のできる範囲ならな」

 ………ダメですよ。こんなシュウさんの言葉で気持ちが高ぶってるあたしにそんな事言っちゃ……

「……ならあたし、シュウさんに聞いて欲しいことがあるんです。……それを聞いてくれたら、今の事はいいです……」
「本当か!? じゃあ、聞かせてもらうよ」
「……なら、言いますね」
 あたしはウィンドウで下着だけ出し、振り返ってシュウさんに近づいていく。

 あとから考えると、この時のあたしは凄くヘンだった。
 アルゴさんの言葉の事をついさっきまで考えていて、裸を見られて、さらにシュウさんの言葉を聞いて………必死に抑えてた気持ちが治まらなくなっていた。

 だからだと思う。
 あたしはシュウさんに、『あること』を聞いてもらう為に近づいて、シュウさんの肩に手を乗せる。
「ど、どうしたんだ、シリ……んっ…!!?」
 そして目を閉じて、あたしは振り返ったシュウさんに………キスをした。

「……んっ……」
 どちらの声だか分からない声が漏れる。
 何十秒か経ってからあたしは唇を離し……シュウさんが何が起こったのか分からない顔をしている。

 そしてあたしは、
「シュウさん……あたしは、シュウさんの事が好きです! あたしと付き合ってください!//////」

 生まれて初めてのキスをしてから……生まれて初めての告白をした。






 
 

 
後書き
シュウがなんで落ちてきたかは、次回分かります。
あと○○に入る言葉は『告白』や『キス』と、沢山あります。 
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