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悪い子じゃないと

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第二章

「とてもいい子ですね」
「仕草の一つ一つが大人しくて人懐っこくて」
 サレンコフも言ってきた。
「愛嬌もあって」
「この子ならと思いまして」
「家族に迎えたいと思ってお伺いさせてもらいました」
「そうですか、では一度彼と直接会って下さい」 
 微笑んでだ、ノーラはカップルに答えた。
「そしてです」
「そのうえで、ですね」
「あの子をですね」
「家族に迎えて下さい」
 こうカップルに話してだった。
 カップルは実際にラッシュと会った、すると。
「ワンワンッ」
「本当にいい子ですね」
「人懐っこいですね」
「怖さなんかないですね」
「全く」
「人に牙を剥いたり唸ったりなんて絶対にしないです」
 一緒にいるノーラはラッシュと遊んで彼の性格を見ているカップルに話した。
「ですから」
「それで、ですね」
「この子とはですね」
「誰でも仲良くやっていけます、ですがお二人が家族に迎えられたいなら」
 それならというのだ。
「お願いします」
「はい、それでは」
「家族に迎えさせてもらいます」
 カップルは笑顔で応えてだった。
 そのうえでラッシュを家族に迎えて彼を家に連れて行った、その後で新入りの職員はノーラに言った。
「あの、本当に」
「ピットブルでもでしょ」
「その子それぞれですね」
「気が荒いと言われてね」
「怖いとか思われていて」
「何かと言われるけれど」
 そうした犬種だがというのだ。
「本当にそこはね」
「それぞれですね」
「その子のね、このことをね」
「覚えておくことですね」
「そうよ、いいわね」
「はい」
 新入りの職員は今は確かな顔で頷いた。
「そのことが完全にです」
「わかったわね」
「僕も」
「それは何よりよ、ではね」
「これからもですね」
「ここでお願いね」
「頑張らさせてもらいます」
 ノーラに誓った、そしてだった。
 彼は働いていった、そのうえで多くの生きものを幸せにしていったのだった。


悪い子じゃないと   完


                  2023・9・17 
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