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仮面ライダー電王 約束の場所

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第十七章

「全てがスサノオとの戦いなのだ」
「スサノオとの。それは何かわかっていました」
 良太郎が答える。
「この前。何かカイがスサノオの分身の一つだってわかって」
「だが問題は何を狙っているかだ」
 天道が言うのはそこだった。
「スサノオの本体を解放させるのはわかっているが」
「他に何かあるんですか?」
「おそらくは。それだけではない」
 天道はそう察しをつけていた。
「過去を狙っている筈だ」
「過去をですか」
「そうだ。問題はその過去が何かだ」
 天道は既にそこまで考えていた。その鋭利な頭脳が言葉の裏で動いていた。
「そう簡単にはわからないだろうな」
「そうですか。じゃあやっぱり」
「カイも牙王も全然見当たらないのよ」
 コハナがまた言う。
「あいつ等がいないことには」
「どうしたものかしらね」
 ハナも自分の肘をそれぞれの手で持って考える顔になっていた。
「肝心のカイと牙王がいないとね。どうにもこうにも」
「それならだ」
 また天道が言ってきた。
「一つ方法がある」
「方法が?」
「そうだ。鳴かぬなら鳴かせてやろう不如帰」
 この言葉を出してきた。
「出て来ないのなら出て来させるようにすればいい」
「誘い出すんですか」
「その通りだ」
 良太郎のその問いに頷いてみせた。
「どちらかが出れば必ずもう一方も出て来る。どうするかだ」
「どうするんだよ、それで」
 桜井もまたそこを考えていた。彼もどうするべきかわからなかった。
「あの連中をおびき出すっていっても。どうするんだ」
「既に考えがある」
 天道は冷静に答えてみせる。
「乗るか?」
「乗らないと駄目ですよね」
 良太郎は天道を覗き込むようにして問うた。
「やっぱり」
「乗るか乗らないかは御前の自由だが解決できるのは俺に全てかかっている」
「さっきから思っていたけれどこの人って」
「そうね」
 ハナがコハナの言葉に頷く。
「物凄い自信家よね」
「良太郎と全然違ってね」
「それも当然だ」
 天道ははっきりと言ってみせる。こう言われても全く臆することはない。
「俺の名は天道総司」
「天道総司」
「天の道を往き」
 また右手を天を指差してみせる。
「総てを司る者だ。ならば俺が総てを終わらせるのも道理だ」
「うん、凄く頼りになるな」
「何でそう思えるんだよ」
 桜井がデネブに突っ込みを入れる。
「いや、野上や侑斗を見てるとあそこまで自信たっぷりだと」
「安心できるっていうのかよ」
「そうだ。侑斗もだな、あと少しでいいから自信を」
「俺が自信ないってわけねえだろ」
「けれどあそこまではないだろ」
「唯我独尊でいいのかよ、それじゃあ」
 いい加減腹が立ってデネブに問う。
「俺や野上がよ。それで」
「それは大いに困る」
 少し考えてから正直に述べる。
「やっぱりそれは」
「だったらいいだろ。あまり変なのの影響ばかり受けるんじゃねえよ」
「ううむ」
「それでだ」
 天道は桜井とデネブのやり取りが終わったところでまた語りはじめた。
「俺の策はだ」
「どうするんですか?」
 話はそこに至る。戦いは今からはじまろうとしていた。
 良太郎が一人で自転車をこいでいる。行く先はアリーナの前だった。そこに一人で向かうのだった。
 自転車から降りるとそこにいたのは。彼だった。
「よお野上」
「カイ、生きているとは聞いていたけれどやっぱり」
「会えてすっごい腹が立ってきたよ」
 こうは言いながらも顔はにやにやと笑っている。
 
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