| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

犬と時間

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第二章

「これからもな」
「ふわりと一緒にいることね」
「ああ、ふわりは子供だけれどな」
「私達のね」
「俺達よりもな」
「年上になっていくのね」
「犬の時間だとな」 
 即ち歳の取り方ならというのだ。
「そうなるんだよ」
「じゃあ犬の年齢を考えて」
「散歩とか遊び方とかな」
「変えていって」
「ドッグフードもな」
 ご飯もというのだ。
「変えていかないとな」
「歳を取ったらシニアのに変えるのね」
「ああ、そうしていこうな」
「わかったわ」
 妻は夫の言葉に頷いた、ここでだった。
 ふわりは目を覚ました、そうして起き上がって身体を思いきり伸ばした後でだった。
 夫婦今の自分の両親のところに来た、そうして尻尾を振って目をキラキラどさせて一声鳴いてきた。
「ワンッ」
「ああ、遊んで欲しいんだな」
「ワンワン」 
 文太の顔を見上げてまた鳴いた、それを受けてだった。
 彼はふわりのおもちゃを出した、それで彼女と遊びだしたが。
 それを見てだ、百合子は文太に言った。
「今はふわりは若いから」
「若い犬の遊びでな」
「一緒に遊べばいいわね」
「こうしてな」
「そうよね、それで歳を取ったら」
「その時の遊び方だ」
「そうよね、犬の時間も頭に入れないとね」
 夫婦で話してだ、百合子もその中に入った。三歳人間で言うと二十代頃と言っていい彼女は本当に元気だった。


犬と時間   完


                 2023・8・23 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧