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限界まで我慢

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第二章

「こうしてね」
「サウナもですか」
「入るのよ、そしてね」
 そのうえでというのだ。
「最後の汗をかくのよ」
「サウナってスタイル維持にもいいって知ってますけれど」
 実は暑さに弱い明日香は困った顔で言った。
「かなり入ってますよね」
「そう、かなり入ってね」
 真冬も汗だくなりつつ応えた。
「そしてよ」
「最後の汗をかいて」
「身体の悪いものを出してね」
 サウナのこの効用も活用してというのだ。
「スタイルもね」
「維持されますか」
「そうなのよ」
「先輩のスタイルの秘密がわかりました」
 明日香は死にそうな顔で言った。
「ただ私には無理です」
「いやいや、私は我慢の限界まで入ってるけれど」
 それでもとだ、明日香に言うのだった。
「西田さんは西田さんの限界まででね」
「いいですか」
「そこは人それぞれだから」
 それでというのだ。
「限界になったら出てね」
「水風呂に入っていいですか」
「そうよ、それぞれの限界まで我慢する」
「そうすればいいですか」
「そうよ、私がどうかじゃなくて」
「私自身がどうかですか」
「そうよ、お手本にしてもらって嬉しいけれど」
 真冬はこうも言った。
「お仕事でもね」
「気付いておられました?」
「ええ、ただそれでもね」
「私自身がですか」
「人それぞれだから。そこも弁えて」
 そうしてというのだ。
「何でもたっていってね」
「わかりました、じゃあ一旦出ます」
 明日香はそれならと答えてだった。
 サウナを出た、そして水風呂で徹底的に冷やしてからだった。
 サウナに戻った、すると真冬は微笑んで言った。
「入れ替わりになるけれど」
「水風呂行かれますか」
「ええ、私の限界にきたからね」
「わかりました、それじゃあ」
「ええ、また戻るわね」
「わかりました」
 明日香は笑顔で応えた、そしてこの日からだった。
 真冬を手本にしつつも自分自身も見て仕事もトレーニングもしていった。すると彼女も後輩に慕われる様になった。だが彼女も後輩達に真冬と同じことを言ったのだった。自分自身も見てそのうえでやっていく様にと。


限界まで我慢   完


                    2023・8・18 
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