| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

私の 辛かった気持ちもわかってよー

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

12-5

 高校総体予選の1週間前になって、ようやく新しいコーチが私達が練習で飛ぶことを解禁してくれていた。予選が始まって、個人戦では、私は、準々決勝でサナサとの姉妹対決を制した多々良カンナと準決勝で当たって、8-5で勝って決勝に進んでいた。みく美は、都大付属の花井碧を破ってきた学館の小野寺鏡と準々決勝で当たったけど、8-4で退けて、だけど準決勝で麗香と・・・8-3で決勝に進んできていた。又、私達二人の決勝だったのだ。今回はどちらも譲らず、ラリーも続いていたけど、最後はみく美が12-10で勝利したのだ。みく美のほうが執念が強かったみたい。でも、私は、悔しくなかった。きっと、みく美の方が努力してたんだと感じていたから・・。

 試合が終わった後、私のもとに 一人の女の子が・・・ 京都国際のジャージを着ているのだけども・・・ あの矢田花音だ!。私は、なんでー っと 声も出なかったのだけど

「先輩 ごめんなさい ウチ・・ あの時は・・ 先輩のこと逆恨みしてしまってー あの時、ウチ 寂しかっただけなんです でも、山村留学してわかったんです みんなが素朴で お互いが助け合う生活で・・ 自分が恥ずかしくなって・・ 反省しているです 本当にごめんなさい いけないことしてしまったと・・」と、私に向かって頭を下げたまま言ってきたのだ。

「花音ちゃん・・ 元気だった? ウチ・・ もう いいのよ あの時のことは忘れたわー 謝ってくれて、ありがとう あなたも、苦しんだんでしょ ウチも悪かったのよ あなたのこと もっと 考えてればよかった ごめんね」

「うぅん そんなふうに言ってくれて ありがとうございます ウチ 一年遅れですけど、京都国際に入って・・・でも、3回戦で負けてしまった 先輩のさっきの試合 見てました 感動しました ウチも もっと練習して、あんなふうになれるようになります」

「そうだったの テニス 続けてくれているんだー 彩ちゃんとは?」

「うーん 合わせる顔がなくて・・・ でも、そのうちに・・」

「そう ・・・ 一緒に練習した仲間だからネ 頑張ってネ」

「ありがとうございます ・・・ あのー あの時に・・ 本当は、あの時のウチ等をけしかけた人が居たんです 音女の制服着てた 多分、テニスの人 でも、ウチもあの時は先輩のこと 恨んでいたから・・」

「えぇーぇ ・・・ でも もう いいのよ 色んなことあったけど・・ ウチもお陰で ここまで これたのよ もう どうでも いいわぁー あの時のことは・・ 忘れるようにしたわ 今は、全国 目指すだけよ」

 矢田花音には、ああ言ったものの やっぱり 張本人は璃々香先輩だったのかなー と、又、疑念がわいてきていた。そういえば、先輩の卒業式の時 一度、意地悪したことがある って 言っていた。でも、もう どうでも いいんだ 私をここまで 引っ張ってきてくれたのは事実だし やっぱり 私は 先輩を追いかけます。

 そして、ダブルスで私とみく美は圧倒的強さで決勝も制して、団体戦のほうは、京都国際と当たっていた。多々良カンナはダブルスに出てきていて、麗香と美湖も惜しくも敗れてしまっていたけど、その後、私とみく美が取り返して2-1で優勝していた。音羽女学院は3種目を制して、学校始まって以来のことだったのだ。

 家でもお祝いをしてくれると思って、帰ったのだけど、お母さんしか居なくて

「山葵ちゃん おめでとう がんばったわネ」

「・・・うん ・・・ お父さんはお客様?」

「そうなのよー 桔梗もあっちの お店 手伝うとと言って 居ないし・・ あのねー ハンバーグでいい?」

「えっ まぁ それは いいんだけど・・ みんな 忙しいんだものねー」

「そんなことないんだけど 今日は、私と二人でお祝いね」

 そして、食べている時に、私は

「ねぇ お母さんは どうして お父さんと結婚したの?」

「どうしてってー そうねぇー 優しかったし それに、山葵ちゃんが 懐いてくれていたし、桔梗のことも仲良くしてくれていたし 家族になれれば 良いなぁーって思ったの」

「うん ウチも こんな お母さんがいたら 良いなぁーって あの時 思った さびしかったから・・」

「ありがとう 私ねっ 山葵ちゃんが 素直で良い子なんで 助けられたのよー だから これからも よろしくネ」

 そして、次の日。校門前はいつもの張り紙にキンキラのモールで縁取りがしてあって、文化祭かというほど、飾り付けが派手で・・。今回は校長室には呼ばれなくて、いきなり、体育館の壇上にテニス部全員が上がらされていた。

 でも、事前に私達は話し合っていて

「あの オッサンにハグされるのって やっぱり 麗香の役目やなー」

「えぇー そんなん 知らんでー そらぁー 山葵の役 やろー 前かってー」

「そんなん 忘れたわー だけど、今回は みく美がええんちゃうー? 3種目制覇やしー」

「なっ なに 言うねん そんなんして お嫁に行かれへんよーなったら どうすんねん!」

「いや やっぱり、一言 言うのは みく美の役目やー その 流れでー」

「あのなー ・・・」

「きまりぃー みく美 まぁ ええやん 彼氏もおらへんみたいやしー」

「山葵 ウチ じつはなぁー 優勝した時 立山さんから 付き合ってくれって 告白されたんやでー」

「えぇーっ うそヤン そんなん・・・ あ りぃー?」


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧