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X ーthe another storyー

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第三十話 勇気その八

「きっと」
「これからかなり動くね」
「そうしてくるわ」
「そうだね」
「運命をね」
「僕達の望まない方に向ける為に」
「動くわ」
 こう言うのだった。
「彼が彼でなくなっていたら」
「運命はあの人の望む方に向かう大きな力になっていたからね」
「けれど彼が彼のままだから」
「焦らない筈がないよ」
「だからね」
 その為にというのだ。
「私達もね」
「動かないとね」
「私は誰も死なせたくはないわ」
 庚は強い声で言った。
「皆はね」
「そうだね、だからね」
「動いていきましょう、これからも」
「希望も見えてきたしね」
「そうね、希望がね」
 まさにそれがとだ、庚も応えた。
「本当にね」
「見えてきたね」
「私もね」
「僕もだよ。彼女が生きているから」
「彼が彼のままでいて」
「殺さなかったから」
 だからだというのだ。
「そうなったからね」
「それでよね」
「庚と同じだよ、ではね」
「ええ、希望を持ってね」
「ことを進めていこう」
「私はこれまで地の龍は一人か二人しかね」
「生き残らないと思っていたね」
「そうだったわ、けれどね」
 それがというのだ。
「若しかしたらね」
「もっと多くの皆がね」
「生き残るかも知れないわ」
「そうだね」
「彼は間違いなくね」
「ああ、彼だね」
「この戦いで死にたいとね」
 その様にというのだ。
「思っているけれど」
「それでもだね」
「他の皆はね」
「生き残れるね」
「その筈よ。天の龍も」 
 彼等もというのだ。
「敵だけれど」
「嫌いではないね」
「憎くもね」
 その様にもというのだ。
「思っていないから」
「だからだね」
「殺すことはね」 
 それはというのだ。
「全くね」
「そうだね」
「考えていないし必要ともね」
「思っていないね」
「私の本来の目的はね」
「この戦いのことじゃないから」
「この戦いを通じて」
「あの人をどうするか」
「そのことがだから」
 目的だからだというのだ。
「そうしたことはね」
「行う必要がないね」
「むしろ彼等が協力してくれるなら」
 それならというのだ。 
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