| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

剣の丘に花は咲く 

作者:5朗
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五章 トリスタニアの休日
  エピローグ 夢の中の物語

 
前書き
 馬鹿話はお休みです。
 
 本編も短いですがすみません。


 それではどうぞ。 

 



 ……それは、とても綺麗な夢



 ―――問おう。貴方が私のマスターか



 ……それは、とても優しい夢



 ―――シロウはここで勉学に励んでいるのですね。私はそういう機会はありませんでした……強いて言うならばマーリンがそうだったのでしょう……。え? 勉強会……ですか? しかし私は……マンツーマンは嫌だ? ……そんなに凛の教え方は厳しいのですか……ふふ……わかりました。私も一緒に受けましょう



 ……それは、とても楽しい夢



 ―――ちょっと待っててくれセイバー。もうすぐ出来るからってえあ?! 何て格好してんだ遠坂っ! ま、また寝ぼけてるのか……ほらっ! さっさと顔を洗って目を覚まして来いっ! こんなところ藤ねえに見ら、れ、たら……ふ、藤ねえ……さ、桜……ちょっ! ご、誤解だ! そ、そうだセイバー! い、イリヤも何か言ってくれ! これは誤解だっぎゃあああああああぁぁぁぁぁ……



 ……それは、とても悲しい夢



 ―――石を投げられ、罵声を浴びながらも人を救い……裏切られ、騙され、利用されながらも人を救い……その最後は、恨みや憎しみを押し付けられ断頭台に送られた……死して守護者になってからは、既に終わった悲劇を片付けるだけ……そこには『正義』も『救い』も何もない……だから、お前はここで死ぬべきなのだ……衛宮士郎。 



 ……それは、とても酷い夢



 ―――いや……嫌だよバーサーカー……バーサーカーは無敵でしょ……そ、そんな奴に負けないよね……わたしを一人に……しない……よね……一人に……しないでよ……バーサーカー……



 それは、とても苦しい夢


 
 ―――なかったことになんか……しない……ッ! やりなおしなんか、できない……ッ! 俺は……置き去りにしてきたものの為にも、自分を曲げる事なんて、出来ない……っ!





 怒り、悲しみ、優しさ、憂い、後悔、絶望、恋、慈愛、決意……様々な想いが渦巻くその夢は……ただ見ているだけのわたくしの心を千々に千切り……乱れさせ……

 夢の中のあの人は、わたくしが知っているあの人とは違い。

 未熟で

 甘く

 若く

 力がなかった


 けれど……あの人はそれでも……


 諦めず

 逃げることなく
 
 歩み続け

  
 行き着く先に避けられない別れがあったとしても……


 やり直せると囁かれても……

 
 振り返ることなく、血を流しながらも進み続ける……


 ああ……


 あなたは……


 それだけの傷を負いながらも……


 諦めることなく……


 逃げることなく……


 前へと進んでいくのですね……


 行き着く先に救いがないかもしれないと知りながらも、あなたは先へと……








 強くて


 優しくて


 暖かく



 だけど


 とても脆く


 悲しく


 寂しい人










 ……わたくしは時々、自分は何故女として生まれてきたのか考えることがあります……


 男であれば、ルイズと友達になることや、ウェールズさまと出会うことはなかったかもしれませんが……しかし、逆にルイズと恋人になったり、ウェールズさまと友達になっていたかもしれない。
 そうであったならば、女のわたくしには出来なかったことを、男のわたくしならば出来たかもしれなかった。トリステインの貴族を纏め上げ、友であるウェールズさまを救うため、ウェールズさまと共にレコン・キスタと戦っていたかもしれない……と。
 


 ……そんな、空想に浸ったこともありました……



 だけど……今はそんなことは思いません……



 だって……男に生まれたら……出来なかったから




 あなたを抱きしめ、包んであげることや……



 
 傷ついても、我慢強すぎて、泣くことがない






 そんなあなたを……愛することを……
   
 




 
 

 
後書き
 これにて『トリスタニアの休日』編は終了。

 次は『贖罪の炎赤石編』ですが、どっちかっというと別のもんが重要かと……。


 そんでいよいよ俺の好きな『ゼロの使い魔』の登場人物ベスト3(全員女)の一人が……。


 誰だって?


 それはもちろん……ひ・み・ちゅ……すみませんでした。


 まあ、すぐにわかると思います。

 それでは感想ご指摘お願いします。


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧