夢幻水滸伝

「やはり」
「前に防衛ライン攻めたのもな」
「攻めへんとあかんかったからですね」
「攻めた、しかしな」
「この度はですね」
「ああしたらな」
「攻めずに済んだので」
　その為にとだ、フォークナーはメルヴィルの言葉に頷いた。
「そうしましたか」
「そや、攻めんでええ場合はな」
「攻めへんで」
「そしてな」　
　そのうえでというのだ。
「退かせてな」
「その後に入ってですね」
「ことを済ませる」
「そうしたやり方もありますか」
「そや、それでな」
　メルヴィルはさらに話した。
「今回はそうしたが」
「成功しましたね」
「それで何よりや、ほなケンタッキーを掌握するで」
「わかりました」
「そしてな」　
　仲間達に言うのだった。
「ギンズバーグはシンナシチに向かってるが」
「我々はインジアナ州に向かいますね」
「そうなるとな」
「はい、ルイビルを拠点としてですね」
　ヴォネガットはケンタッキー州のインジアナ州との境にあるこの街の名前を出した。この州では大きい方の街である。
「そのうえで、ですね」
「あの州に入るけどな」
「ギンズバーグ君も読んでいますね」
「すぐにシンナシチからインジアナポリスに入るわ」
　この街にというのだ。
「シンナシチは要地やが」
「オハイオ州ですね」
「あそこはルイーザちゃんに任せるわ、しかしこっちの予定では確かにルイビルから攻めたが」
　メルヴィルはヴォネガットに頭の中でこの辺りの数州の地図を出しつつ話した。
「今はな」
「そうやないですね」
「そや」
　まさにというのだ。
「ここはこのままな」
「シンナシチですか」
「あの街に向かってな」
　そうしてというのだ。
「オハイオの北から攻めてるボーム達と動きを合わせてな」
「あの一帯を攻めますか」
「オハイオの南をな」　
　そこをというのだ。
「そうするで」
「何かです」
　ジェーンはその話を聞いて言った。
「ここで、です」
「五大湖との戦は正念場を迎えたな」
「そうですよね」
「そや、こっちは百万でな」
「あの一帯を二方向から攻めますね」
「南そして北東からな」
　その二方向からというのだ。
「攻めるで」
「そうしますね」
「そしてな」
　そのうえでというのだ。
「あの州をや」
「掌握しますか」
「そして敵軍もな」
　彼等もというのだ。
「ここでや」
「叩きますか」
「敵は十九万おる」
　オハイオ州南部にそれだけの敵軍が集結しているというのだ。
「その二十二万に出来るだけ多くや」
「損害を与えますか」
「そしてな」
　そのうえでというのだ。