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何故知ってる

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第二章

「お母さんが言ってたけれど」
「うちも母ちゃんが言ってたよ」
「あんたのお母さんが言ってたって」
「こっちもだよ」
「お母さん何言ってるのよ」
 友利はこのことに気付いて苦い顔になった。
「確かにこいつのお母さんと仲いいけれど」
「母ちゃん俺のこと他の人に言ってたのかよ」
 剣も苦い顔で言った。
「ったくよ、よりによって一番知られたくない相手にな」
「それはこっちの台詞よ」
「俺の台詞だよ」
「人の部屋のこと言うんじゃないわよ」
「洗面所なんてどうでもいいだろ」
「そんなことはいいから早く片付けろ」
 率先して後片付けをしていた男子の部長が言ってきた。
「いいな」
「あっ、すいません」
「なおします」
 二人も部長に言われて頷いた。
「そうします」
「今から」
「喧嘩もいいけれどな」
 部長も二人のことは知っている、それでこう返した。
「やることはやらないとな」
「そうですよね」
「ちゃんとします」
 二人も頷いた、そうしてだった。
 この時は大人しく後片付けをした、だが。
 剣は家に帰るとだ、パーマをかけて自分そっくりの顔だが太った身体をした母の公子に対して言った。
「母ちゃんあいつの母ちゃんに何言ってるんだよ」
「あいつって友利ちゃんよね」
 母もわかっていて応える、夕食前だがぼりぼりと煎餅を食べている。
「また喧嘩したのね」
「したよ、その時あいつ俺の洗面所のこと言ったんだよ」
「それがどうしたのよ」
「そんなことあいつの母ちゃんに言うなよ」
「別にどうってことないでしょ」
 テレビを観つつ平然と返した。
「大したお話じゃないし」
「大したことだよ、あいつに言われるとな」
 そうなると、というのだ。
「本当にな」
「そこまで言うならちゃんとしなさい」
「洗面所使ったらそのままの俺が悪いのかよ」
「そうよ、言われたくなかったらちゃんとしなさい」
「ったく、もう言うなよ」
 口をへの字にさせてだった。
 剣は夕食を食べた、丁度その頃。
 友利も夕食を食べていたが一緒にいる母自分がそのまま歳を取って黒髪を後ろで束ねている幸代に言った。
「あいつのお母さんに私のこと言わないでね」
「別に問題ないでしょ」
 友利の母もこう返した。
「困ること言ってないわよ」
「言ってるわよ、お部屋のことなんてね」
「だってあんた片付けないでしょ」
 母はまた言った。
「だったらね」
「私が悪いっていうの」
「そうよ、言われるのが嫌ならね」
 それならというのだ。
「最初からよ」
「奇麗にしろっていうのね」
「そもそもあんた達子供の頃からね」
 今度は剣とのことを話した。
「ずっと仲悪いわよね」
「それがどうしたのよ」
「その仲の悪さもよ」
 このこともというのだ。 
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