仮面ライダーカブト　明日のその先へ

　神代はスコーピオワームとの闘いを繰り広げていた。遠間から攻撃を浴びせるスコーピオワームの攻撃をかわしながら間合いを詰めていく神代だがその剣は巨大な爪により防がれてしまった。凄まじい衝撃音が鳴った。
「流石は俺だったことはある」
　神代は今の剣撃を受けたスコーピオワームに対して言ってきた。
「見事だ。御前はワームの頂点に立つ存在のようだな」
「そうだ」
　スコーピオワームもそれに応えて言う。
「俺は御前。だからこそ」
「頂点に立つというのだな」
「その通りだ」
　そう答える。強さは伯仲していた。
「俺は御前だった。ならば」
「そうだな」
　神代は剣を構えながら述べる。素早く後ろに跳んで間合いを離す。
「そして姉さんと俺を殺した」
「御前になった」
「そのことを忘れたとは言わせない」
　声が鋭くなる。鋭くなった声にはそのまま憎悪が含まれていた。
「いいな、仇を取らせてもらう」
「仇をか」
「そうだ、姉さんの」
　まずは姉の仇を。それを忘れたことは一日たりともない。それが為に仮面ライダーとなった。そうした意味で彼はやはりライダーだったのだ。
「そして俺の」
「では俺はそれを退け」
　スコーピオワームはそれに応えて言葉を返してきた。その顔からは表情を窺えることはできない。しかし敵意ははっきりと感じられるものであった。
「再び御前になる。いいな」
「戯言を」
　神代はスコーピオワームのその言葉をすぐに言い捨てる。
「御前をここで倒す。覚悟をしろ」
「素直に倒されるつもりはないということだな」
「御前を倒すことはあろうともだ」
　二人は睨み合う。その中でスコーピオワームは素早くクロックアップを仕掛けてきた。それを見て神代もクロックアップに入った。瞬速での闘いがはじまりその中で神代は再び剣を振るう。蹴りも入れそれで一旦スコーピオワームを吹き飛ばす。
「ぐうっ！」
「まだだ！」
　すかさず前に出て剣で斬りつけてきた。スコーピオワームはそれで大きくのけぞった。
　しかしそれでも彼は倒れない。のけぞりながらも身体を起こしてきた。
「それ以上はさせん！」
　再び攻撃を浴びせる。神代はその無数の針の前から姿を消した。
「むっ！？」
「俺は今までの戦いで多くのものを掴んできた」
　スコーピオワームの前に現われて言う。
「それを以って今貴様を滅ぼす。いいな」
　剣にクロックを入れる。その後で言う。
「ライダースラッシュ」
「ライダースラッシュ」
　電子音が終わると同時に剣を振るう。それでスコーピオワームを縦横無尽に斬りつける。その攻撃はスコーピオワームに致命傷を与えるのに充分であった。
「ぐう・・・・・・」
「これで仇は取った」
　神代は炎に包まれるスコーピオワームに対して述べた。
「姉さんと。そして俺自身の」
「ぐおおおおおおおおおおお！！」
　後ろでスコーピオワームの爆発が起こる。神代は今完全に神代剣に戻ったと言えた。自身の忌々しい影を断ち切ったことによって。
「爺や、これでいいな」
　神代は立ち上がり剣を収め爺やの名をその口に出した。
「全ての頂点に立つ俺は。仇討ちについても頂点に立つ」
　再びクロックアップを入れて残りのワーム達に向かう。ワーム達との戦いは完全に終わりに近付いていた。

　ネイティブとの戦いは天道と根岸、加賀美と三島の戦いになっていた。二人のライダーはそれぞれの相手と互角、若しくはそれ以上に渡り合っていた。
「思ったより腕をあげているな」
　三島は加賀美の相手をして述べる。かつては天道と二人掛かりであっても圧倒したというのに今では加賀美と互角であった。
「この私と互角とは」
「この程度ではな」
　加賀美は三島に応えてきた。傷を負いながらもまだ立っていた。
「俺も仮面ライダーだ、休んでいるわけじゃないんだ」
「そうか。それでか」
「そうだ。この程度で」
　構えを取りながら三島を見据えていた。静寂でさえもが緊張の中に支配されている、そうした世界の中に彼は自らを置いていたのであった。
　その緊張の中で三島に対して攻撃を仕掛けようと前に動いた。しかしそれより前に加賀美は動いてきた。突進して右の拳を思いきり出す。
「受けろっ！」
「うぐっ！」
　その拳を受けて後ろにのけぞる。その間に加賀美はその手に二本の刃を出してきた。
「そしてこれで！ライダーカッティング！」
　続いてその刃で刺し貫いてきた。加賀美の拳を受けてのけぞっていた三島にこれはかわしきれるものではなかった。胸を深々と貫かれて動きを止めてしまった。
「ぐう・・・・・・」
「どうだ三島！」
　加賀美は動きを止めた三島に対して言う。
「これが俺の・・・・・・仮面ライダーの今の力だ！」
「見事だ」
　断末魔でそれを認める。刃が抜かれた時彼は人間の姿になった。