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仮面ライダーカブト 明日のその先へ

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第二十八章

「どのライダー達の場所もあまりにも危険だ、特に今は」
「それじゃあ何処に」
「俺を信じるな」
 その真剣な目で彼女に問うてきた。
「何があっても」
「ああ、何があっても」
 ひよりも真剣な顔になっていた。その顔で頷いてきた。
「信じる、御前を」
「よし、じゃあ聞くんだ」
 彼はそのひよりに対してまた述べた。
「俺の今から言う場所にすぐ行け。いいな」
 そう言ってその場所を教える。するとひよりはその言葉に黙って頷くのだった。
「そこなんだな」
「そうだ、あそこならワームにもネイティブにも気付かれはしない」
 天道ははっきりと答えた。
「わかったな」
「わかった、御前を信じる」
 ひよりも腹を括って答えた。
「何があっても」
「よし、じゃあ飯だ」
 天道は立ち上がって言った。
「飯だと」
「お婆ちゃんが言っていた。空腹程悲しいことはないとな」
「だからか」
「そういうことだ。樹花」
 もう一人の妹の名を呼んだ。今度は優しい声になっていた。
「晩飯だ、もうできてるぞ」
「えっ、もうなの!?」
 その言葉に笑顔の樹花が出て来た。
「早いのね、今日は」
「もう下ごしらえは済んでいたからな」
「何時の間に」
 これにはひよりも驚きを隠せない。
「そんなことを」
「下ごしらえの時間は何があっても作る」
 天道は毅然として述べた。
「お婆ちゃんは言っていた。下ごしらえの時間は何があっても作れとな」
「そうなのか」
「そうだ。御前にもそれを教えてやる」
「期待している」
 ひよりはそれに応えて言葉を返してきた。
「この戦いの後でな」
「そうだな、この戦いの後だ」
 天道は何でもないように返した。まるで遊びに行くような感じだ。少なくともその態度はいつもと変わらない唯我独尊のものであった。
「いいな」
「わかった」
「お兄ちゃん」
 樹花がここで天道に声をかけてきた。
「蓮華さんもいるのよね」
「ああ」
 にこやかな、親しい声でもう一人の妹に返した。
「そうだ。四人で食べるぞ」
「うん。それじゃあ」
「師匠」
 何処からかその蓮華も姿を現わしてきた。
「待ってました、夕食ですよね」
「そうだ」
 蓮華のその言葉にこくりと頷く。
「それでいいな」
「はい、じゃあこっちも準備してます」
「準備!?」
 蓮華のその言葉には目の動きを少し止めさせた。
「一体何の準備だ」
「だから夕食のですよ」
 何の屈託も心配もなさそうな笑顔で答えてきた。
「夕食のハンバーグステーキです」
「ハンバーグステーキか」
「まともなものかな」
「勿論ですよ」
 その笑顔で天道とひよりに答える。
「さあ、早く」
「わかったわかった」
「それじゃあ」
 二人は半信半疑ながらテーブルに向かった。そこにはハンバーグとステッキが置かれていたのであった。かなり古典的なボケを見たのであった。
 何はともあれ束の間の嵐の前の休息を過ごした。そうしてひよりは何処かへと去り天道は憂いをなくした。彼も安心して戦場に向かったのだった。
 
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