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イベリス

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第百八話 残暑が終わりその三

「そもそも人間じゃないし」
「そうなのよね」
「だからね」
 それでというのだ。
「あれだけはね」
「どうしようもないのよね」
「どうにか出来たら」
 災害をというのだ。
「どれだけいいか」
「全くよね」
 こうした話をした、だが災害にこの日夕方に雨は降らず降ったのは夜になってからだった。咲はこの日もアルバイトだったが。
 暗くなった外から聞こえる大雨の音を聞きつつ晩ご飯を食べながら父と母に言った。
「いや、帰った後で降ってね」
「よかったな」
「運がいいわね」
「ええ、雨に遭わないで」
 その大雨にというのだ。
「本当にね」
「そうだな」
「それは何よりね」
「ほっとしてるわ、ただね」
 咲は晩ご飯のキスの天麩羅を食べつつ言った、他には海老や薩摩芋、蓮根や烏賊や茄子のものもある。
「私はそうでも」
「今帰ってる人もいるぞ」
 父はこのことを話した。
「やっぱりな」102
「そうよね」
「もうそれはな」 
 父はさらに言った。
「ある程度以上仕方ないな」
「運よね」
「帰るタイミング次第だからな」
 それでというのだ。
「もうな」
「仕方ないことなのね」
「人間巡り合わせとかタイミングがあるんだ」
 こうしたものがというのだ。
「それ次第でな」
「運があるなしなのね」
「たまたま入店一万人目でな」
 そうなってというのだ、
「お店からサービス受けたりもするだろ」
「よくあるお話ね」
「こうした風にな」
「たまたまなのね」
「タイミングがよくてな」 
 それでというのだ。
「いいことがあったりな」
「悪いことがあったり」
「するものだ」
「それも世の中ね」
「そんなものだ」
「そういえば私も」
 咲は父の話を聞いて思って言った。
「若し店長さんにコンビニで声をかけられないで」
「そのまま入ったらか」
「麻薬の密売人に声をかけられたかもね」
「そうだったな、あの時な」
「私は悪いたまたまに遭うところだったのね」
「そうだな、それをな」
「店長さんに助けてもらったのね」
「そうなるな」
「そうよね」
「咲だってそんなことがあったしな」
 父は娘にあらためて話した。
「世の中どうしてもな」
「そんなタイミングがなのね」
「あるんだ、ただ悪いタイミングでもやるしかな」
「ない時もあるのね」
「ああ、出来るだけいいタイミングでしないといけないけれどな」
 物事はというのだ。 
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