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仮面ライダーカブト 明日のその先へ

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第一章

                          仮面ライダーカブト  明日のその先へ
 ワーム、ネイティブとの戦いが終わって一年。ライダー達も他の者達もそれぞれの新たな人生を歩んでいた。しかしそれは運命によって容易に変えられてしまうものであった。
 戦いを終え平凡な交番の駐在になった加賀美新。彼が今いる交番に一人の男がやって来た。
「久し振りだな、加賀美」
「貴方は」
 やって来たのは田所修一であった。実家の蕎麦屋を継いだ筈の彼はどういうわけかかつてゼクトにいた頃のようにスーツに身を包み加賀美の前に姿を現わしたのであった。
「どうしてここに」
「悪いが早速仕事を頼みたい」
「仕事って一体」
 加賀美は目を丸くさせて彼に問う。何か話が読めないでいた。読めずに制服姿のままその目を丸くさせていたのである。
「ゼクトの仕事だ」
「ゼクトって」
 加賀美は今の田所の言葉を聞いて今度は眉を顰めさせた。
「解散したんじゃ」
「状況が変わった」
「変わったってまさか」
「わかったな、わかったら来るんだ」
「そんな・・・・・・根岸も三原も死んだ筈なのに」
 話が見えなくなってきた。呆然としているとそこにまた田所が言うのだった。
「どうして」
「少なくとも異変が起ころうとしている」
 田所は驚いたまま呆然としている加賀美を説得するような強い声をかけていく。
「それだけ言えば。わかると思うがな」
「何てことなんだ」
 あらためて呆然とする。
「また戦いがはじまるなんて」
 彼はこれからのことに対して暗澹たる思いに捉われていた。これまでの自分の戦いが否定されたようにも感じていた。しかしそれは違っていた。彼は運命の戦いの中に戻っただけだったからだ。

 ディスカビル家の墓地。爺やは今日もそこにいた。一つの墓に花を捧げ続けていた。
「坊ちゃま」
 墓を見て今日も悲嘆にくれる。神代剣は彼にとってかけがえのない存在であり続けた。その彼を失ったということは彼にとっては主であり最大の理解者と友人を失ったということだったのだ。彼を想い今も花を捧げていたのだ。
「世界は平和になりました。ですが」
「いえ」
 そこに一人の青年がやって来た。黒衣を身に纏った青年である。
「世界はまだ平和にはならないのです」
「貴方は」
 爺やは彼に顔を向ける。見れば彼は爺やを見てにこりと微笑んできていた。
「私は貴方の、そして神代剣の友人になるべき男なのです」
「友人といいますと」
「神代剣。今はここにいるのですね」
「はい」
 爺やは青年の言葉に頷いた。あの時の悲しみがまた心を包み込む。
「永遠に。安らかに」
「永遠ではありません」
「といいますと」
「仮面ライダーサソード」
 青年はその名を口にした。
「どうしてその名を」
「仮面ライダーは皆運命の中にいるのです。果てしない悪意との戦いの運命の中に」
「それではまさか」
「そうです。貴方は待っているのです」
 にこりと笑って爺やに告げる。
「彼が戻って来る時を。神代剣が」
「坊ちゃまが」
「彼はスコーピオンワームではありません」
 続いてこう言うのだった。
「神代剣として。いいですね」
「わかりました。それでは」
 青年は爺やにその言葉を告げると墓場を後にした。爺やは墓から帰ると一人ディスカバル家の屋敷に帰った。そこでかけがえのない存在の帰還の用意をするのであった。
 
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