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ウルトラセブン 悪夢の7楽譜

作者:紡ぐ風
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キキとブーバ

 
前書き
 本作品の世界観設定についてですが、1999最終6部章第5話後、キングジョーⅡ撃破後にセブンがM78星雲へ帰還し、『私は地球人』そしてEVOLUTION5の話へ向かわなかった世界線の話と認識してください。 

 
 マユカからの言葉に驚くダンであったが、
 「僕がウルトラセブンだって?」 
 なんとかして話をはぐらかそうとする。しかし、
 「お祖父ちゃんから話してもいい許可が出たんです。だから、モロボシさんに会いに来たんです。」
 マユカは全てを理解している眼差しをダンに向ける。
 「そうか。キリヤマ隊長と話せるのか。」
 ダンは納得し、マユカに連れられてマユカの自宅へと向かっていった。

 「ダン、この前はすまなかった。色々話したいことはあるが、まずは座ってくれ。」
 キリヤマの言葉を聞き、ダンは椅子に座る。
 「キリヤマ隊長、一体何があったんですか?」
 ダンはキリヤマに質問する。
 「話は、24年前に遡る。」
 キリヤマは話を始める。
 「ダンが地球を離れて間もなく、国際平和機構からノンマルト議題という書類が提出されたんだ。」
 「ノンマルト議題?」
 「そうだ。我々地球人は、他の惑星からの侵略者であり、先住人類のノンマルトを滅ぼした存在であることを認め、実働部隊であった我々ウルトラ警備隊は数多の武装を持つ危険思想の集団として扱われ、組織の解体を余儀なくされた。」
 先住人類ノンマルト、我々人類がこの地球で暮らす遥か前から地球で暮らしていた先住民族である。この宇宙では、今生きている地球人は外惑星からの侵略者であり、ノンマルトを海底に追いやり地上を奪ったとされている。しかし、ウルトラ警備隊がノンマルトの存在を初めて認識した1967年の時点ではノンマルトと人類、どちらの意見が正しかったのかは不明であった。ところが、1999年になると事態は一変し、ノンマルトが先住民族である資料が一つ見つかり、それによって人類は侵略者であることが判明したのだ。
 「だからといって、自ら防衛手段を捨てるなんて…」
 「俺達だって、納得はできなかった。だが、国際平和機構の奴らは武装を捨て、対話だけで全て解決することが、ノンマルトへの罪滅ぼしだと言い張り、結果としてウルトラ警備隊は解体され、隊員達は昨日まで見張られながら暮らすことになったんだ。」
 キリヤマの瞳はどこか遠くを眺めていた。
 「ノンマルト議題については、社会の教科書にも載っている、教育内容になっているんだけど、今ではたった一つの映像だけで全面肯定するのは早計だったのではないかという懐疑派が出てきて、国際平和機構と揉めているの。」
 マユカはキリヤマの話に付け足しをする。事実、ノンマルトの主張もまた、一方的なものでありノンマルトも自身が先住部族である証拠を出していないのである。幾万もの時の流れは、ノンマルトと人類の意見、どちらが正しかったのか、どちらも正しかったのか、どちらも間違っていたのか、知るすべを失っていたのだ。
 「それからダン、いやウルトラセブンは我々ウルトラ警備隊に積極的に協力していたとして、地球人の味方だと信じていいのかいう意見が、世界の認識となってしまったんだ。」
 キリヤマの話を聞き、ダンは落胆する。
 「キリヤマ隊長、僕達が守ってきたものって、何だったんですか?」
 「それほどまでに、時代は変わってしまったんだ。だが、それで片付けられない出来事が起きた。例の、ジスタード星人の侵略行為だ。それに伴い、国際平和機構は急に掌を返して我々の監視を解いたんだ。」
 「そんなことがあったんですね。」
 ダンは席を立つ。
 「ダン、他の隊員達に会いたいだろうが、あまり無理はするなよ。」
 キリヤマはダンに一つ助言をする。
 「ありがとうございます、キリヤマ隊長。お邪魔しました。」
 ダンは頭を下げ、マユカの自宅から出ていった。時刻はすでに夜になっており、空には綺麗な星が広がっていた。
 「地球から見える星空は、いつの時代になっても美しい…」
 ダンはつぶやき、今日の寝床を探しに出る。その後ろでは、2つの小さな光が、地球に目掛けて降着していようとしていることに気づくことはなかった。

 翌日、ダンは人だかりの中に飛び込む。その中心では、毒々しい体液が流動している様が伺える小柄な宇宙人と、腕や脚に大量の棘を生やした小型の宇宙人が人だかりに怯えていたのだ。
 「みんな、離れるんだ。彼らは怯えている。」
 ダンは必死に人だかりを散らそうとする。しかし、
 「えっ、爺さんもしかしてそいつの仲間?」
 野次馬となって写真撮影を続けている若者達にはダンの言葉は届かなかった。更には、
 「何善人づらしてんだよ爺!」
 ダンに絡んでくる女子高生まで現れる。すると、
 「ちょっとアヤネ、やめなよ!」
 その女子高生、アヤネを止めるためにマユカが現れ、収拾のつかない事態に陥る。しかし、
 『そこを動くな!』
 何者かの声が聞こえると、ダンとマユカとアヤネ、そして2人の宇宙人は影に飲み込まれ、姿を消してしまった。
 「おい、どこいったんだ!」
 「なあ、あの変な影見たか?」
 「見た見た!」
 その光景を見ていた人々は様々なSNSに書き込みをしていた。

 「ここまでくれば、大丈夫だ。」
 ダン達を飲み込んだ影は、とある場所で影から出し、ダン達を解放する。
 「お前は、ペガッサ星人だな。」
 「ああ、そうだ。」
 ダンの言葉を聞き、影の主である宇宙人、ペガッサ星人は姿を見せる。
 「ここはどこだ!」
 ダンが警戒するのも無理はない。目の前には様々な宇宙人達が商売を営んでいる姿が目に映ったからだ。
 「ここは宇宙人村さ。」
 「宇宙人村だと!?」
 「そうだ。ここの連中は円盤を失い、故郷からも見放された奴らが日々食いつなぐ為に過ごしている、運命共同施設だ。」
 ペガッサ星人は説明をする。
 「ところで、この2人は誰なの?」
 マユカは共に連れて来られた宇宙人達について質問する。
 「彼らは、デコラン星人だ。」
 マユカの質問にダンは答える。
 「デコラン星人?」
 「そうだ。デコラン星人は棘の生えたキキ族と、可燃物質が流動しているブーバ族の2種族が存在する宇宙人だ。」
 ダンはマユカの疑問に答える。すると、
 「お前達もそうやって差別するのか!」
 棘の生えているデコラン星人は警戒する。
 「その説明は不十分です。俺達は確かにそう言われています。でも、2%の確率で、キキ族からブーバ族の特徴を持つものが、ブーバ族からキキ族の特徴を持つものがそれぞれ生まれてきます。」
 流動体の流れるデコラン星人は説明する。
 「じゃあ、君達は!」
 説明を聞き、ダンはあることに気づく。
 「そう、俺の方がキキ族で、こっちの方がブーバ族です。」
 キキ族の少年は答える。
 「それで、さっきブーバ族の子の方が差別されているって言っていたけど、教えてくれないかな?」
 マユカはキキ族の少年に尋ねる。
 「俺達デコラン星人はキキ族からキキ族が、ブーバ族からブーバ族が生まれないと、親子揃って差別階級に落とされるんです。」
 キキ族の少年は声のトーンを落として言う。すると、
 「てか、差別差別って、マジどーでもいいじゃん。どうせ大したことされてないんしょ?」
 アヤネはスマホをいじりながら言う。
 「お嬢さん、地球の、特に日本とは違うんだ。確かに、我々は宇宙人村を作って間もない頃は差別という言葉を多用して意見を通してきた。だが、時代が進んだことで差別という言葉の重みが変わってしまった。今では、差別だと騒げば嘲笑の対象になる。昔のことを考えず、今の常識だけで語るのは間違った考えですよ。」
 ペガッサ星人はアヤネに説明する。
 「でもそれって、昔のことっしょ?いつまで過去の自慢話にこだわってんの?」
 アヤネはスマホをいじりながら言う。
 「君、人と話すならせめて遊びながら話すのはやめるんだ。」
 そんなアヤネの態度に、ダンは苦言を呈する。
 「てかさ、いい加減家に帰してくれない?私さっさと今日のことを書き込みたいの。ここ電波繋がんなくて最悪だし。」
 アヤネはお構いなしと言わんばかりの態度を取る。
 「そうか、それならお嬢さんの願い通り先程の場所に帰してあげよう。だが君1人がそんなことをつぶやいたところで、構ってもらえるとは思わないほうがいい。悪いことで目立てる時代は、直に終わりを迎えるだろうからね。」
 ペガッサ星人はアヤネを影の中に入れ、元いた場所へ帰しに行った。
 「それで、デコラン星ではどんなことが起きていたんだい?」
  ダンはキキ族の少年に尋ねる。
 「差別階級になると、一般的な店舗での購入はできなくて、差別階級の中での取引以外食べ物も手に入らない日々なんです。それだって、一般階級の奴らが無意味に壊さなければの話です。」
 「だから、差別層に優しいと噂されている地球に逃げることにしたんです。」
 キキ族の少年とブーバ族の少年は答える。
 「そういう問題は、どの星でもあるんですね。」
 2人の話を聞き、マユカは言う。
 「この星でも、俺達みたいな問題はあるんですか?」
 ブーバ族の少年は不思議そうな顔をする。
 「今でも、いろんな問題が山積みだよ。」
 マユカは悲しげな表情で答える。
 「じゃあ俺達どうやって生きていこう…」
 キキ族の少年に不安が押し寄せる。
 「モロボシ ダン、この子達は私達の方で一時的に預かることにする。この星で生きるにしろそうでないにしろ、地球での生き方を教える必要がある。」
 そんなとき、1人の女性型宇宙人が現れ、ダンにある提案をする。
 「その声、マヤか?」
 ダンはかつて自身が救えなかったマゼラン星人の少女、マヤの声が聞こえ、振り返る。そこには、ダンの知るマヤと同じ姿の女性がいた。
 「マヤのこと、覚えていてくれたのね。私はマゼラン星人のタクト。この宇宙人村の村長を務めているわ。マヤとの会話は知っているわ。あなたの言った、この星で地球人として生きるという言葉に、私は感銘を受け、私のように故郷から捨てられた宇宙人を集めた宇宙人村をこの山奥に作ったの。」
 タクトは宇宙人村を作った理由を話す。
 「そうだったのか。タクト、2人のことを頼めるか?」
 「あなたならそう言うと思っていたわ。実際に暮らせるかどうかは、2人にかかっているけれど、出来る限りは面倒を見るわ。さあ、今日からよろしくね。」
 ダンからの頼みを受けタクトは了承し、キキ族の少年とブーバ族の少年はタクトの手を握り、タクトは村の奥へ消えていった。
 「マユカちゃん、このくらいの距離ならすぐに戻れるだろう。掴まるんだ。」
 マユカはダンの手を握る。ダンはテレポーテーションを使い、人混みの落ち着いた路地へ出る。
 「マユカ、この爺さんなんなの?宇宙人見てもなんとも思っていないみたいだし。」
 2人の前にアヤネが現れ、マユカに詰め寄る。その時、
 「彼は私の昔の職場の後輩よ。」
 優しさと険しさを併せ持つ表情の老婆が現れ、アヤネの手をピシッとはたく。
 「げっ、なんで婆さんがここにいるんだよ!とっ捕まってたんじゃねえんかよ!」
 アヤネは驚く。
 「ニュースを見ていないのかしら。この間の一件で、拘束は解除されたのよ。ごめんね、ダン。うちの孫娘がおっかない態度を取って。」
 老婆はダンに謝る。
 「もしかして、アンヌなのか?」
 「あら、覚えていてくれたのね。」
 「忘れたことなんてないさ。」
 老婆の正体は、かつてダンと共に地球を守り抜いた友里アンヌであった。ダンとアンヌは数十年ぶりの再会に感動している。しかし、
 「婆さん、このしょぼくれた爺さんの知り合い?」
 そこにアヤネが水を差す。
 「しょぼくれたなんて失礼なことを言わないの。ダンは昔はハンサムだったのよ。」
 「じゃあ写真見せろよ。」
 アンヌはアヤネに言い返すが、アヤネは1歩たりとも引く気を見せない。
 「写真はないわ。ダンに関する写真は捨てないといけなかったの。」
 「あれ、もしかしてその爺さんってウルトラ警備隊とかいう極悪人の1人?」
 アヤネの言葉にアンヌは眉をしかめる。
 「君、ウルトラ警備隊を極悪人だなんて言うんじゃない!」
 ダンは怒りを見せる。
 「事実だろ?他所から来た宇宙人を勝手に侵略者って決めつけて殺して回ったんだから。マユカだって習ったっしょ?」
 アヤネは意見を曲げずにいる。
 「でも私はお祖父ちゃん達を信じる。確かに、そういう事件もいくつかはあった。でも殆どが侵略や破壊目的の行動だった。ミュージアムに行けばわかることだよ。」
 マユカは事実を認めながらも、否定するべき部分は否定する。
 「マユカもそいつらの味方するんかよ。萎えたんだけど。」
 アヤネは何処かへ行ってしまった。
 「ごめんなさいね、孫娘1人きちんと叱れなくて。」
 アンヌは頭を下げる。
 「でも、あの気の強い性格は君譲りだよ。」
 ダンは笑顔で返す。
 「あら、私はそんなに常識知らずだったかしら?」
 「自分の信念に真っ直ぐなところなんて、君そっくりじゃないか。」
 ダンとアンヌは笑い合う。
 「2人は、本当に仲が良かったんですね。」
 マユカは2人の会話を聞き、感心を見せる。
 「あら、年寄りの会話なんて若い人が楽しめるのかしら?」
 「はい、お祖父ちゃんもきっと喜ぶと思います。」
 「そうだったわね。マユカちゃんは隊長のお孫さんだったわね。」
 アンヌは笑顔を見せる。
 「ダン、いい店を知っているわ。一緒に飲まない?」
 「昔は飲みニケーションなんて言葉もあったけど、当時は飲めなかったから、新鮮な気持ちだよ。行こうか。」
 「お二人とも、気をつけてくださいね。それでは。」
 マユカは頭を下げ、家路に向かう。それを見てダンとアンヌもバーへ向かった。

 翌朝になり、地球に2つの飛行物体が落下する。煙が晴れると、中からはキキ族とブーバ族、2人のデコラン星人の大人が巨大化して現れる。
 「わかってんだろうなブーバ、人間を根絶やしにしたらお前達が地球に移住するって話。反故にして俺達を追い出そうとするなよ?」
 「それを言うなら、お前達こそ地球の方がいいからって横取りするなよ?」
 キキ族とブーバ族は互いにいがみ合う。
 「それより、先ずはこの星を侵略するところからだ!」
 ブーバ族は血管から爆液を撒き散らし、辺り一帯を火の海にする。
 「逃げられると思うなよ!」
 キキ族は棘をばら撒き、ビルをなぎ倒す。
 「このままでは街が危ない!デュワッ!」
 ダンはセブンに変身する。
 「お前達、どうしてこんな真似をするんだ!」
 セブンはブーバ族を抑えながら言う。
 「俺達はたった2%のハズレくじを引いたせいで、差別階級になったんだ!それで俺達は考えた!別の星を手に入れ、片方がそっちへ移住する!」
 「別々の星でハズレくじを引いたら、その都度処分すればいい!」
 接近戦はキキ族が行い、間合いを取ればブーバ族の爆液攻撃が襲い、セブンは苦戦する。
 「処分だと!?」
 ブーバ族の言葉にセブンは驚く。
 「そうさ!ハズレを処分したって、誰も困らない!」
 「それぞれの部族にとっては邪魔者なんだから、当然のことだ!」
 その隙を狙われ、セブンは更に苦戦を強いられる。その時、
 「お父さん、セブンをいじめないで!」
 「パパ、みんなが迷惑しているんだからやめろ!」
 キキ族の少年とブーバ族の少年が現れ、それぞれの親にやめるように言う。しかし、
 「てめぇ、こんなとこに逃げてたんかよ!」
 「丁度いいし、人間と一緒に殺してやる!」
 キキ族とブーバ族は子供達を襲おうとする。
 「デュワッ!」
 セブンは怪獣カプセルを投げ、中からサイボーグ怪獣であるウィンダムを呼び出し、子供達を守る。
 「行くぞ、ウィンダム!」
 “キュオオ!”
 セブンはブーバ族を、ウィンダムはキキ族を担当し、2対2での戦闘が始まる。
 「デュワッ!」
 セブンは近接格闘でブーバ族を追い詰める。
 “キュオオ!”
 ウィンダムの金属装甲はキキ族の棘を寄せ付けず、逆にその怪力でキキ族を追い詰める。
 「デュワッ!」
 セブンは構える。しかし、
 「セブン、父さんを倒さないで!」
 「暴れたかもしれないけど、俺達にとっては掛け替えのない親なんだ!」
 少年達がそれを妨害する。すると、
 「こいつは丁度いい。ガキのことを助けたいなら、そこを動くなよ!」
 キキ族は立ち上がり、子供達目掛けて棘を飛ばす。
 「デュワッ!」
 セブンは咄嗟に頭部の宇宙ブーメラン、アイスラッガーを駆使して少年達を棘から守り、
 「デュワッ!」
 額のビームランプから放たれるエメリウム光線を放ち、キキ族とブーバ族を倒す。
 「父さーん!」
 「パパー!」
 子供達は涙を流す。セブンは申し訳無さとやるせなさの中空へ飛ぶ。
 「俺、大きくなったらセブンを倒す。」
 「俺も。パパの仇を討つんだ。」
 子供達は拳を握りしめる。すると、
 「ごめんなさい、君達がそう言うなら、私達で引き取ることはできないわ。」
 タクトは2人に言う。
 「「えっ…」」
 タクトの言葉に2人は驚く。
 「地球は地球人の星なの。セブンは、ウルトラマンの使命である侵略者の撃退を行ったの。あのまま倒さなければ、地球人はあなた達のお父さんに根絶やしにされていたわ。私達にとっても、地球人を守ったセブンの行動は間違っていないと思うわ。地球で暮らすのに、地球人を優先できないなら、2人には適切な施設に行ってもらうわ。」
 タクトは説明する。
 「適切な場所?」
 タクトの言葉にキキ族の少年は疑問をいだく。
 「AIBという、宇宙人犯罪専門の宇宙人連合があるの。そこの少年保護施設へ行ってもらうわ。」
 「それでもいい!パパの仇を討つことを忘れるもんか!」
 説明を聞いてもなお、2人の意志は揺るがなかった。
 「そう、それなら今から連絡するわ。本来ならこういう事件の場合はシャドー星人が対応するんだけど、彼だと怖いだろうからグローザ星系人に頼むことにするわ。」
 タクトは連絡し、数分後にはグローザ星系人の職員が到着し、2人を保護していった。
 「モロボシさん、あの子達はどうなるんでしょうか?」
 マユカはダンに質問する。その時、
 「私はセブンのやり方は間違っていると思う。」
 アヤネが現れ、2人に言う。そして、
 「子供の目の前で親を倒して、子供が憎まないわけがない!でも…それでもセブンがいなかったら死んでいたのは私だった!何がいいことなんだよ!わけわかんないよ!」
 アヤネは悩みとも叫びとも受け取れることを言い、ダストボックスを蹴ってから立ち去った。
 「モロボシさん、AIBってどんな場所ですか?」
 「息子の友人の友人が勤めているらしいが、宇宙人達の更生施設なんかもあるそうだ。きっと、悪い思いはしないだろう。」
 「そう、願いたいですね。」
 ダンとマユカは頷き合い、互いに歩みを進めた。
 (せめてあの子達だけでも、憎しみ合い、奪い合う世界から離れてほしい。それが叶わない限り、宇宙に争いが絶える日は来ないんだ。)
 ダンの心は複雑な思いで一杯であった。 
 

 
後書き
 キキ/ブーバ効果とは
 ギザギザした円形と歪曲した円形を見せ、どちらがキキでどちらがブーバかと質問した際、98%の人が国籍問わず、ギザギザした方をキキ、歪曲した方をブーバと答える現象のこと。理由の一部としては“キキ”という発音に攻撃的なイメージをいだき、ギザギザしている=攻撃的に見える、ギザギザした方をキキと答えるというもの。例外に該当する2%はインターネット上などでは批判されたりする傾向にあったりもするが、自分の場合は某ゲームの影響か、ブーバに炎や爆発のイメージがあり、ギザギザした円形は爆発のイメージで使われることからギザギザした方をブーバと答えていたが、今後は似たような思考で答える比率も増えるのでは、と個人的には考えています。 
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