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新オズのリンキティンク

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第七幕その六

「オズの国ではじゃ」
「偉くないからね」
「何といってもな」
 それこそというのです。
「オズの国の主はじゃ」
「オズマ姫だからね」
「言うなら天下人はじゃ」
「オズマ姫でね」
「わしは天か人ではない」
「それじゃあね」
「もう堅苦しいことは抜きでじゃ」
 それでというのです。
「殿や権六達とも楽しく過ごしてな」
「この街でもね」
「そうしてな」
 そうしてというのです。
「楽しむだけじゃ」
「あたしとかい」
「二人でな、そしてな」
「これからもだね」
「ずっといようぞ」 
 こう言うのでした。
「この街でな」
「全く、そう言われるとだよ」
 ねねさんは秀吉さんに笑って応えました。
「あたしも頷くしかないじゃないか」
「ははは、そうか」
「全くお前さんときたら」
 秀吉さんにこうも言うのでした。
「人たらしなんだから」
「女たらしだけではないか」
「誰でもだね」
「それでそう言うか」
「人たらしだよ」 
 こうも言うのでした。
「本当にね」
「昔から言われるのう」
「そうだね、外の世界にいた時から」
「人たらしとな」
「言われてるね」
「うむ、そして今もであるな」
 オズの国に来てもというのです。
「わしは人たらしであるな」
「そうだよ、というかね」
 ねねさんはさらに言いました。
「オズの国に来たらもっとね」
「外の世界にいた時よりもか」
「お前さん人懐っこくて気さくになってね」 
 それでというのです。
「余計にだよ」
「人たらしになっておるか」
「よさがどんどん出てね」 
 秀吉さん本来のというのです。
「あたしも今のお前さんの方が好きだよ」
「それは何よりじゃ、しかしな」
「しかし?」
「それを言うとわしもじゃ」
 秀吉さんはねねさんに笑って応えました。
「今のねねの方がじゃ」
「好きなのかい?」
「うむ、ずっと一緒にいてもな」
「いいんだね」
「そうじゃ」
 こう言うのでした。
「まことにな」
「そこでそう言うのがだよ」
「人たらしでか」
「外の世界にいた時よりもだよ」
「そうなっておるか」
「そうだよ」
「わしはよくなっておるか、やはりな」 
 秀吉さんはあらためて言いました。
「人は努力してな」
「そうしてだね」
「少しずつでもな」 
 それでもというのです。 
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