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二次元アイドルに夢中になっても

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第二章

「今日もなの?」
「いいか?」
 隣で寝ている妻に言うのだった。
「今日もな」
「あの娘のことはいいの?」
 妻は自分の上に覆いかぶさってきた夫に問うた。
「霞弥生ちゃんは」
「だってな」
 夫は妻に上から答えた。
「あの娘は二次元でな」
「現実じゃないから」
「こうしたことなんてな」
 それこそというのだ。
「絶対にな」
「出来ないっていうのね」
「大体結婚してるんだぞ」
 修司はこのことも言った。
「それでな」
「こうしたことはなのね」
「誰ともな」 
 それこそというのだ。
「そんなことをしないよ」
「そうなのね」
「だからな」
「今夜もなのね」
「ああ、いいよな」
「私だって好きだし」
 夫を拒まずに言葉を返した。
「悪い筈ないでしょ」
「そうか、じゃあな」
「今夜もね」
「宜しくな」
「こっちこそね」
 二人でだ、こう話してだった。
 夫の身体を抱いた、それからはいつも通りだった。
 そして翌日彼は霞弥生の配信を視聴してから妻に言った。
「いや、今日もな」
「よかったのね」
「最高だったよ」
 うっとりとして言うのだった。
「何もかもがな」
「本当に好きなのねその娘が」
「大好きだよ」
 一も二もない返事だった。
「本当に」
「そうよね」
「毎日観てるし今日もでな」
 それでというのだ。
「明日もな」
「観るのね」
「そうするな」
「変わらないわね」
 そんな妻を見てだ、夫は笑顔で話した。
「本当に」
「好きだからな」
「だからこれからもなのね」
「楽しんでくな」
 こう言ってだった。
 彼女の過去動画も観るのだった、そんな夫を見てやれやれと思いつつもだ。
 もう沙知絵は何も言わなかった、彼を暖かい目で見て一緒にいるのだった。


二次元アイドルに夢中になっても   完


                  2023・6・25 
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