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ドリトル先生と桜島

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第五幕その一

                第五幕  鹿児島の言い伝え
 地質調査の間にです、先生はあるお墓の前に来ました。動物の皆はそのお墓を見て首を傾げさせました。
「このお墓は誰のお墓かな」
「先生あえて来た感じだけれど」
「一体誰のお墓かしら」
「これは言い伝えだけれどね」 
 こう前置きしてです、先生は皆にお話しました。
「豊臣秀頼さんのお墓だよ」
「大坂の陣で亡くなった?」
「江戸時代のあの戦いで」
「豊臣秀吉さんのお子さんだった」
「あの人のなの」
「定説では大坂の陣で自害しているけれど」
 それでもというのです。
「一説にはだよ」
「ここまで逃れてなんだ」
「それでここで亡くなったんだ」
「そうなんだ」
「そうも言われていてね」
 それでというのです。
「このお墓がね」
「ううん、まさかね」
「秀頼さんがここで亡くなったのならね」
「凄いね」
「それで鹿児島には秀頼さんかなって人がね」
 まさにその人がというのです。
「いたっていうね」
「言い伝えがあるんだ」
「そうしたお話って結構あるけれどね」
「死んだ人は実はって」
「世界中でね」
「あるけれどね」
「そうだね、それで秀頼さんもね」
 この人もというのです。
「そうしたお話があって」
「この鹿児島に逃れて」
「それで天寿を全うしたんだ」
「本当かな」
「本当かどうかはわからないよ」
 先生はこのことも断りました。
「実はね」
「このお墓も本物か」
「偽物かも知れないんだね」
「実はここに秀頼さんは眠っていない」
「そうかも知れないんだね」
「僕は調べていてね」
 大坂の陣はというのです。
「秀頼さんは大坂の陣で亡くなったと思っているよ」
「先生はそうなんだ」
「お亡くなりになったって」
「大坂の陣の最期で自害したって」
「うん、ただ息子さんはね」
 秀頼さんのというのです。
「生き残っていたとね」
「ああ、息子さんおられたね」
「秀頼さんには」
「それで後で処刑されたっていうけれど」
「その人はなんだ」
「秀吉さんの正室さんのねねさんだけれど」
 秀頼さんのお父さんのお話になりました。
「あの人の実家は木下家っていうけれど」
「先生以前そのお家のお話したね」
「確か岸和田藩だったね」
「あの藩の藩主さんで」
「江戸時代ずっとあったんだね」
「そのお家に一子相伝で伝わってるお話があって」 
 それでというのです。
「秀頼さんは実は落ち延びたってね」
「そんなお話あるんだ」
「じゃあやっぱり秀頼さんは落ち延びたのかな」
「この鹿児島まで」
「そうだったのかな」
「けれど発掘作業で秀頼さんが自害した場所で骨も見付かっているし」
 だからだというのです。 
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