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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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家族

<アリアハン>

「う゛~!…会いづらいわ…」
新たにロマリアの近衛騎士副隊長を仲間に加えたアルル達は、闇の世界『アレフガルド』へと赴く前に一時の休みを取るため、アルルの実家へと向かっている。
しかしながらアルルは、世界を平和にする事が出来ていないこの状況で、家族に…いや母に会うのが心苦しいらしく、先程から俯き溜息ばかりを吐いている。

「平気だよアルル…お母さんだって久しぶりにアルルに会えて喜ぶと思うよ」
ティミーが彼氏らしく優しく話しかけると…
「分かった!アルルはママさんにティミーを紹介するのが恥ずかしいんだろ!大丈夫、僕の息子は誰に紹介しても恥ずかしくない!」
「違うわよバ~カ!紹介して恥ずかしいのは、彼氏の父親の方よ!他は胸張って自慢出来るわよ!」
「「「「「あはははははは!」」」」」
リュカとアルルのやり取りを聞き、皆が一斉に笑い出す。

無論アルルの気が重いのは、まだ世界を平和に出来ていない事だけではない。
もしかしたらアレフガルドで、父オルテガが生きているかもしれないからなのだ!
その事を話すべきなのか、秘密のままにするべきなのかを悩んでいるのだ。
「アルル…それ程自慢出来る彼氏と共にアレフガルドに赴くのだから、本当の事を話した方がお母さんの為だし、君の為でもあると思うよ」
リュカはアルルの頭に手を乗せ、優しく撫でて言い説いた。

「そうだぜアルル。俺達の目的は2つ!勇者オルテガ様を見つけ、共に大魔王ゾーマを倒す事だ!その為に俺達はアレフガルドへと旅立つんだから」
「ウルフ…アンタ、頼もしくなったわねぇ」
ウルフと出会いアリアハンを旅立ってから1年と数ヶ月が経過した…
その間に一番成長したのはウルフだろう。
そんなウルフを見据え、アルルは実家へと戻る…
まだ旅の途中ではあるが、強く立派に成長した自分を見てもらう為に。



「お母さん…ただいまぁ…」
「まぁ、アルル!お帰りなさい!!遂にバラモスを倒してきたのね…お母さん、アルルなら大丈夫だと信じていたわ!」
アルルは実家の扉をソッと開け、伺う様に中に入ったが、既に勇者凱旋の報は届いており、待ち構えていたかの様に迎え入れられた。
「うんうん…流石はワシの孫じゃ!」
無事に帰ってきたアルルを前に喜びが溢れ出す2人…
「あ…あの…あ、あのね…ま、まだ…その…」
アルルは家族からの祝福にたじろぎ吃る。
すると………

「初めまして、僕リュカです!貴女はアルルのお姉さんですか?お近付きの印に、今夜ベッドの相席しませんか?」
娘のアルルを押し退けて、彼女の母親『アメリア』の手を取り、瞳を見つめて口説き出すリュカ。
「コ、コラー!!何、人の母親をナンパしてんだ!ぶっ殺すぞテメー!!」
背中の鞘から剣を抜き放ち、リュカの頭上目掛けて振り下ろすアルル!
「え!?お姉さんじゃないの?…はぁ、やっぱりアルルのパパさんは、女の趣味が良いなぁ………な、ウルフ!お前もそう思うだろ!?」
左手の人差し指と中指でアルルの振り下ろした剣を摘み止めながら、リュカはウルフに…弟子のウルフに話を振る。

「えぇ、本当ですね!何処の世界でも、勇者の母親は若くて美しい人なんですね!」
これまでリュカの事を見続け、学んできた集大成だろう…
ウルフはリュカの台詞に乗っかりつつ、このパーティーの陰の権力者ビアンカへも媚びを売る荒技を見せつける!

「ちょ、リュカ…私達の義理の息子は、将来有望よ!…どうしよう、楽しみになってきたわ」
「あ~あ、可哀想に…」
「な、何よリュカ!」
「アイツに将来は無いな…明日にでもマリーのイオナズンでお別れだ…」
「「「「「……………」」」」」
リュカの悲しそうな口調に、一同静まりかえりマリーを見る…

「………」
当のマリーはジト目で青筋を立て、両手に紅蓮の炎を灯し佇んでいた。
「ち、ち、ち、違うんだマリー!!コレはアレでその何だ…えーと…」
自分の彼女の性格を、考慮に入れてなかったウルフは慌てふためく。

「………ぷっ…ふふふ…あははははは!」
しかし、そんな慌てるウルフを見て、堪えられなくなった様に笑い出すマリー。
「あはははは、冗談よウルフ!私はコノ父親を見て育ったのよ…その程度で怒る程、自分に自身が無い訳じゃないわよ!」
マリーはリュカを指差しながら、ケラケラ笑いウルフをからかう。
ウルフとしては、ホッとした様な、この父娘(おやこ)に敵わず悔しい様な…複雑な心境だ。

「アルル…随分と楽しそうなお友達方ね。紹介してくれないの?」
流石は勇者と呼ばれる男の妻…そして勇者の母親である。
リュカ等のやり取りを見ても、怯んだ様子も無く楽しそうに話しかける強い女性だ。
「おっと、申し遅れましたお母さん。僕は此処アリアハンから、娘さんと共に旅を続けてきたリュカと申します。以後お見知りおきを」

そして各々が自己紹介を始めた。



最後の1人、ティミーの番へとやって来る…

「あ、あの…初めまして、僕はリュカの息子のティミーです…む、娘さんと…アルルさんと正式に付き合ってます!よろしくお願いします!!」
緊張のあまり、役目のツッコミすら行えず居たティミーが、吃りながら叫ぶ様に自己紹介を終わらせる。
すると…
「な、何じゃと…ア、アルルと付き合う?」
アルルママ…アメリア程、肝っ玉の据わっていない祖父が、驚いて尋ね返す。

「何だ爺さん…知らんのか?『付き合う』ってのは、男と女がエッチな事をする仲と言う事だよ!」
「エ、エッチな事だとぉ!!!?」
そう言う意味で尋ねた訳では無いのだが、リュカがわざとらしく余計な事を言って、アルルの祖父を困らせる。
「何だ…それも知らないのか…エッチな事とは、男女が裸になってベッドの上…とは限らないが、○○○を○○○に○○○して…「そんな事分かっておるわボケ!」
勿論ワザと事細かに説明するリュカ…それにキレた祖父が大声で激怒する!

未だに緊張しているティミーのツッコミは期待出来ず、マリーを怒らせない様にしたいウルフも下手に口を出せないこの状況…
さてさて、誰が収拾を付けるのやら…



 
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