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ストレスは知らないうちに

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第二章

「疲れとかな」
「ううん、多分ね」 
 妻は夫の話をここまで聞いて話した。
「上司の人もそれがわかって」
「肩凝りとかか」
「腰や膝、多分ストレスがね」
「他の人が見てもわかる位に溜まっていてか」
「それでよ」
「休暇取らせてくれたんだな」
「無理でもね」
 そうしてでもというのだ。
「取ってもらったのよ」
「そうなんだな」
「自分が気付かないうちに」 
 まさにその間にというのだ。
「ストレスってね」
「溜まることがあるんだな」
「特に何かに必死に頑張っていて」
 最近兎に角仕事に家庭にと動き詰めで心を砕いている夫に話した。
「周りが見えていないと」
「自分のことも見えていなくてか」
「それでね」
「ストレスが溜まるか」
「けれどそれに気付いてくれたから」
 三重彼女の夫の上司がというのだ。
「休ませてくれたのよ」
「そうか、そこで休ませてくれるのもな」
「いい上司さんね」
「うちはブラックじゃないからな」 
 ブラック企業ではないのだ、三重はこのことを幸いと思っている。
「そうしたことはちゃんと考えてくれているし」
「それじゃあね」
「ああ、ゆっくり休んでストレスを解消させてな」
 そうしてとだ、三重は妻の知美に話した。
「また頑張るな」
「そうするわね」
「ああ、それでこれからは自分でも気を付けるな」
「ストレスのことを」
「自分が気付かないうちに溜まることもあるってな」
 そうしたものでもあることを知って理解してというのだ。
「やっていくな」
「それがいいわ、じゃあこの休暇の間はね」
「ゆっくりとストレスを解消するか」
 溜まっているそれをとだ、こう言ってだった。
 三重は妻と一緒にまた温泉に入りに出た、そうして身体を癒していった。そして休暇が終わり職場に復帰すると上司に笑顔で言われた。
「元気になったな」
「そうですか」
「前までは疲れていたけれどな」 
 それが顔にも出ていたがというのだ。
「すっかりな」
「ストレスが解消されてですね」
「いい顔になったよ、じゃあな」
「はい、今日からまた頑張ります」
「そうしてくれ」
 三重の肩をぽんぽんと叩いて言った、そうして彼の仕事を見守るのだった。その働きぶりは急か前よりずっといいものだった。


ストレスは知らないうちに   完


                    2023・6・20 
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