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神々の塔

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第二十一話 六歌仙その五

「それでね」
「だからですか」
「私は最後になるよ」
「最初は私だ」
 ぬっと出て来たのは全体に黒い感じの男だった、業平と同じく礼装であるがその服も烏帽子も黒である。
「大伴黒主だ」
「貴方がですね」
「くじを引いてな」
「それで順番を決めて」
「私が最初となった、では術と和歌でだ」 
 その両方でというのだ。
「戦わせてもらう」
「ほな今から」
「戦う、準備はいいな」
「はい、何時でもです」
 綾乃は即座に答えた。
「出来ます」
「気力体力も充分でか」
「身体も清めてきました」
「ならよい、ではな」
「これからですね」
「戦うぞ」 
 こう話してそしてだった。
 一行は六歌仙との戦に入った、まずは大伴黒主だったが。
 黒主は雪の和歌を詠んだ、するとだった。
 吹雪が起こり一行を襲った、リーはその吹雪を咄嗟に術でダメージを最低限に抑えてから仲間達に言った。
「和歌に詠ったもんがそのまま出るな」
「そやね、言霊やね」
 綾乃はリーに応えて言った。
「それでやね」
「攻めて来るな」
「六歌仙の方々は」
「言霊か、日本の考えやな」
「言葉や文字はそれ自体に力があるねん」
「それで和歌もやな」
「力を持っていて」
 そしてというのだ。
「詠うとやねん」
「それがやな」
「こうした力になるねん」
「そういうことやな」
「そやからね」
「六歌仙もまた強いな」
「詠ったもんがそのまま出て来るし」
 そうしてというのだ。
「伊達に歌の仙人さんと言われる訳やないで」
「その和歌もどんどん出て来るな」
「まさに流れる様に」
「左様、我等にとって和歌はごく自然な言葉の様なもの」 
 黒主は右手に筆左手に短冊を持った姿で述べた。
「流れる様にだ」
「出ますね」
「その我等にだ」
「どう戦ってどう勝つか」
「見せてもらおう、尚我々は直接攻撃は行わない」
 黒主はこのことも言った。
「出来ることは出来るが」
「和歌を詠われるので」
「術かだ」
 若しくはというのだ。
「子の和歌でだ」
「戦われますか」
「そうだ、いいな」
「ほな今から」
「そなた達の力を知恵を駆使してな」
「戦うことですね」
「そうすることだ、いいな」
 綾乃に強い声で告げた。
「そして勝ってみせるのだ」
「ほな」 
 綾乃も頷いた、そしてだった。
 綾乃はまずはあらゆる防御や攻撃補助の術を用いた、そのうえで大蛇も出して背に乗ってから仲間達に話した。 
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