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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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魔王

<バラモス城>

「うぉりゃ!」
魔神の斧とカンダタのハイパワーが合わさると、動く石像をも一撃で粉砕する破壊力を披露する事が出来る。
「流石カンダタ、頼りになるわね!」
バラモス城探索を再開したアルル達は、一層多くなった敵を撃破しつつ、奥へと進んで行く。


進むに連れて数の増える強敵を撃破し、禍々しい邪気を発する部屋の前へと辿り着いたアルル一行。
「ま、間違いなく…この向こうにバラモスが居るわ…」
アルルが緊張しながら呟く…
魔王バラモス…
闇の世界から現れ、モンスターを凶暴化させ、世界を混沌へと誘う者。
アリアハンから旅立った勇者アルルは、バラモスを倒し世界に平和を取り戻す為に此処まで来たのだ。

色々な人と出会い、色々な事を見て、色々な思いを募らせてきた…
魔王が居る部屋を前に、極度の緊張が彼女を襲う。
果たして今の自分で倒せるのか…
みんなと共に生きて帰れるのか…
恐怖で一歩踏み出せずにいる…

しかし彼女は1人ではない!
頼れる仲間が…頼れる友が…頼れる家族が…そして何より、愛する男が共に居るのだ。
気付くと彼が手を握り締めてくれる。
それだけで彼女の心は強くなれる!恐れていた一歩を踏み出す事が出来る!

「魔王バラモス!お前の悪行もこれまでよ!アリアハンの勇者アルル…お前を成敗しに参上!」
勢い良く扉を開けると、目の前には邪悪な妖気を発しているバケモノが1体…
「遂に此処まで来たかアルルよ…この魔王バラモス様に逆らおうなど、身の程をわきまえぬ者達じゃな」
腹の底から響く様な低い声で言葉を発するバラモスに、たじろいでしまうアルル達。
「此処に来た事を悔やむが良い!再び生き返らぬ様に、そなたらのハラワタを喰らい尽くしてくれるわっ!!」

バラモスの怒気が周囲に広がり、アルル等の緊張感がピークに達した瞬間…
「何かアレ可愛いね…アレだアレ、動物の『獏(バク)』みたい!何か凄んでるけど、それがちょ~かわいい!」
「「「……………」」」
先程まで張りつめていた緊張した空気が、急激に可笑しく思える発言…

「な…ば、獏…だと…!?」
流石のバラモスも、言葉に詰まるリュカの発言。
「ちょっとリュカ…もうダメよ!これ以上は飼えないからね!」
「か…飼う…?ワ、ワシを!?」

「お父さん…お母さん…みんな真面目に戦おうとしてるんだから、ダメだよ…邪魔をしちゃ」
あまりの事に、バラモスですら怒りを忘れ何も言えなくなっていた。
そしてマリーが、苦笑しながら両親に注意を促すと…

「お、おのれバカにしおって!!き、キサマら全員、滅ぼしてくれるわ!!」
「それ、さっき聞いた!」
リュカの言葉を聞き終わる前に、バラモスは口から激しい炎を吐き、リュカだけを狙って攻撃をしてきた!
慌ててティミーはフバーハを唱え、火炎の威力を減少させようとしたが、一人離れてバラモスの前にいたリュカには効果が及ばず、炎に包まれる!
しかしリュカは、バギを唱え風で壁を作り炎をあらぬ方向へ流し凌ぐ。
尚もリュカだけに狙いを定め攻撃をするバラモスは、大きな拳を振り下ろしリュカだけを執拗に攻撃する!
しかし、その全てを軽く躱され微々たるダメージも与えられない。

あまりの出来事に、攻撃する事を忘れていたアルルが我に返り、慌ててリュカを救う様にバラモスを攻撃する。
そして、それに促される様にカンダタやウルフも戦闘に参加する。
そのリュカは、バラモスの攻撃をのらりくらりと躱し、アルル達の攻撃の隙を作っている。

「おのれ…チョコマカと動きおって!」
リュカの動きを捕らえる事が出来ず、怒りが頂点に達したバラモスはイオナズンの詠唱にかかる。
それに気付いたビアンカがマホカンタで結界を作ると、マリーも細波の杖でマホカンタを作り出し、ウルフも自らマホカンタを唱えバラモスのイオナズンに備えた。

「イオナズン!」
そしてバラモスの手から放たれたイオナズンは、周囲の物を巻き込み大爆発をする…
その爆発の合間を抜けて、リュカはアルルやハツキ・モニカ・少女ラーミア・ミニモンを爆心地から救い出す!
直後、バラモスに向けてイオナズンが跳ね返り、大きなダメージを与える事となる。
バラモスのイオナズンを避けきれなかったティミーは、やはり避けられなかったカンダタと自分にベホマをかけ傷を癒し、次の攻撃に備える。

自らの魔法にのたうち苦しむバラモスの後ろに、リュカ等と共に回避したアルルは、稲妻の剣を握り締め、力の限りに斬りかかる!
バラモスの背中側から脇腹を通り正面腹部まで、強烈な一撃を食らわせ間合いを取る!
「ぐはぁぁぁ………!!」
バラモスは崩れ落ち、口から大量に血を吐き出す!

「終わりよ、魔王バラモス!」
「ぐぅ………お、おのれ…アルル……ワ、ワシは諦めぬぞ………」
バラモスはそう言い残し力尽きた。


バラモスの死骸は泡と消え、城内を包んでいた邪悪な気配が緩和されていく。
「…や、やったの…?私達…バラモスを倒したの?」
剣を構えたまま、アルルが誰にでも無く尋ねると…
「あぁ…そうだよアルル、君はバラモスを倒したんだ!おめでとう勇者アルル。遂に悲願を達成したんだよ!」
ティミーは優しく抱き締め、熱いキスをプレゼントする。

「いやったー!!!俺達バラモスを倒したんだ!」
カンダタが嬉しさのあまり、あの巨体を振るわせモニカと共に喜びはしゃぐ!
「これで世界に平和が訪れる!モニカー、俺達結婚して子供を作ろうぜ!ティミーやマリー以上の良い子をよー!」
「あいよカンダタ!リュカ達よりも大勢子供を産んでやるよ!へたばんじゃないよ!」

カンダタとモニカだけでなく、ビアンカやウルフ・ハツキも一緒になって喜んでいる!
しかしリュカだけが冷静に周囲を見回し、皆と共に喜ばず警戒をしている。
そしてマリーも、笑顔ではあるが喜びを表してはいない…

不思議に思ったハツキが、心配そうにリュカに尋ねる。
「あ、あの…リュカさんは何故嬉しそうじゃ無いんですか?」



 
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