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ようこそボンゴレⅩ世。実力至上主義の教室へ

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表マフィアランドにて①

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ようこそボンゴレⅩ世。実力至上主義の教室へ   作:コーラを愛する弁当屋さん

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表マフィアランドにて①

 

 —— 特別試験終了後の翌日 ——

 

「うおおおおっ!」

「本当にすごい遊園地だよねぇ〜♪」

 

 俺達1年生は客船で島の反対側に回り込み、遊園地……いや表マフィアランドにやってきていた。

 

 遊園地に入場後、Aクラス担任の真嶋先生が全員に向けてメガホンで指示を出した。

 

「今日と明日の2日間、この遊園地で自由行動となる。宿泊は敷地内に複数あるホテルを自由に利用するように。そして、遊園地内のアトラクション及び全施設は無料で使用できる。特別試験を終えたお前達へのご褒美と思って存分に満喫しなさい」

『おおっ!』

 

 各クラスから喜びの声が上がった。1週間の無人島生活の後だから当然かもね。

 

 2日間行動は自由なので、皆仲のいい数人でアトラクションを巡るべく動き始める。

 

「何に乗ろうか?」

「……遊園地自体初めてだからな、よくわからん」

「え、そうなの? 堀北さんは?」

「私は子供の頃に来た事があるわ。……でも今は特に興味はないからどこかのカフェで読書でもしていたいのだけど」

「そ、そっか……じゃあ佐倉さんと桔梗ちゃんは?」

「私は遊園地大好きだよ〜♪」

「わ、私は絶叫マシンは苦手で……」

 

 俺はDクラスの数名と行動を共にしている。

 綾小路君、堀北さん、桔梗ちゃん、佐倉さんだ。

 桔梗ちゃん以外1人で過ごす事が多いから、全然調和が取れてないな……

 

 「ん〜、じゃあどうしようかな……」

 

 

 どう遊園地を回るかで迷っていると、遠くから見慣れた声が聞こえてきた。

 

「10代目ぇ〜!」

「お〜、ツナじゃん」

「ボ、……沢田君だね」

「うふふ、1日振りですわ」

「ボ……沢田君! あたしだよぉ〜!」

「……わ、私もおります」

 

 遠くから声をかけてきたのは6名の男女。獄寺君、山本、クローム、ビアンカ、アルロ、カルメンだった。

 

 無人島の時とは違い、俺達の制服と同じデザインだけど色違いの青のブレザーを着ている。

 

「皆!(そういえば姉妹校はここにいたんだったっけ)」

「あ、姉妹校の獄寺君とクロームちゃんだ♪」

「……」

「わわわ……知らない人が4人も」

 

 そういえば、獄寺君とクローム以外は皆と話した事がないよな。

 まずは皆に何をしているのか聞いてみよう。

 

「獄寺君。姉妹校も自由行動なの?」

「はい! 2日間の自由行動です!」

「ドナートとレオナルドは?」

「ドナートはアトラクションの整備、レオナルドはホテルで仕事してます。あいつら遊園地で遊ぶよりもそっちの方がいいらしくて」

「そっか……あ、皆に紹介するね!」

 

 俺は綾小路君達に山本達の事を紹介する事にした。ビアンカ達とは特別試験中に森の中で出会って仲良くなった事にしておいた。

 

「山本君にビアンカさん。それとアルロさんとカルメンさんね。よし、覚えたよ♪」

「うん! よろしくねっ!」

 

 桔梗ちゃんとアルロが握手をしている。もう仲良くなったとはさすがは桔梗ちゃん。

 後、やっぱりアルロは人懐っこいんだな。

 

「俺達適当に回るつもりなんだけど、獄寺君達は?」

「こっちも適当に回るつもりでした! 宜しければご一緒出来たら嬉しいのですが」

「うん。もちろんいいよ。あ、皆もいいかな?」

 

 俺がそう聞くと、皆無言で頷いてくれた。

 と、いうわけで。俺達は11人で遊園地を回る事になったのだ。

 

 手始めに「まずは絶叫マシンからだろ?」という山本の発案により、絶叫マシンをいくつか回った。堀北さんは興味がなく佐倉さんは絶叫系が苦手なそうだったので、2人には申し訳ないけど残りのメンバーで楽しんだ。

 

 数種類の絶叫マシンに乗った後、途中に設置されたベンチで休む事にした。

 

「久々に絶叫マシン乗ったなぁ〜」

「私も、中学の修学旅行以来かも!」

 

 俺、桔梗ちゃん、獄寺君、山本、アルロは普通な楽しみ方をしたんだけど、綾小路君、山本、ビアンカ、カルメンはまた別の楽しみ方をしていた。

 

 山本とビアンカはずっと笑顔のまま表情が変わらないし、綾小路君とカルメンは無表情のままだった。

 

「カルメン、絶叫マシンに強いんだね。全く表情を変えないし」

 

 特別試験初日の会合で、噛んで真っ赤になっていたカルメンにしては意外だった。

 

「あはは、カルメンは無表情なんじゃないよ。気を失っているんだよ?」

「え? どう言う事?」

「見てて〜?」

 

 カルメンに感心していると、アルロがそんな事を言い出してカルメンの眼前で手を構えた。

 そして、両手を勢いよく合わせて大きな音を鳴らした!

 

「はぁっ! こ、ここは!?」

「あははっ、ほらねぇ♪」

「えっ? どう言う事?」

 

 俺が戸惑っていると、ビアンカが耳打ちしてきた。

 

「ボス。カルメンは気を失っていても、本能のままに無意識に体を動かす事ができるのです」

「ええっ!? 何という能力なんだ……」

「カルメンが優秀なアサシン候補と言われる一因でもありますわ」

(なるほど、気絶しても任務を遂行できるならすごい戦力になるよなぁ。……アサシンにはなって欲しくないけど)

「今回はボスに着いて行くという本能が働いたのでしょうね」

「そ、そっか……」

 

 カルメンも限界みたいだし、そろそろ優し目のアトラクションにでも乗ろうかな……ん?

 

(……だから、出てくんなって言っただろうが!)

(……? 獄寺君、建物と建物の間で何をしてるんだ?)

 

 いつの間にか、獄寺君は隣接している食べ物屋さんの間の小道に立っていた。

 そして、焦ったように誰かと話している。

 

 俺はゆっくりと近づき、獄寺君に話しかけた。

 

「……獄寺君? 誰かと話してるの?」

「! じ、10代目、いやあの、別に……」

「? どうかしたの?」

 

 俺に声をかけられた獄寺君はさらに焦り始めた。

 何かトラブルかと思って、獄寺君を避けて小道の方を見てみると……

 

「! ……な、なんで?」

 

 そこには……俺のよく知る人達が立っていた。

 あの時から……絶対にマフィアには関わらせないと決めた女の子達が……

 

「ツナ君っ!」

「ツナさんっ!」

「じ、10代目、これはですね」

「……京子ちゃんとハルじゃないか」

 

 そう。そこにいたのは京子ちゃんとハルだったのだ。

 しかも、何の冗談なのか姉妹校の制服を着ている。

 ……これではまるで。

 

「……(がしっ)」

「じ、10代目……」

 

 無意識に俺は獄寺君の腕を掴んでいた。

 

「獄寺君。なんで2人がここにいるんだ?」

「……それは」

「しかも2人が着ているのは姉妹校の制服だよね。どういうこと? まさか……京子ちゃんとハルも姉妹校の生徒だなんて言うんじゃないよな」

「……すみません」

「っ! ちょっと来て!」」

「……」

「おいツナ!」

 

 俺は獄寺君の腕を掴んだまま、近くにあったトイレの裏へと駆け込んだ。

 山本も付いて来たらしい。

 

「獄寺君。本当に京子ちゃんとハルも姉妹校の生徒なの?」

「……そうです」

「なんでだよ! 俺は二度と2人を巻き込まないって言ったろ! それなのに、どうして2人がここにいるんだ!」

 

 思わず強い口調でそう問い詰めると、山本に仲裁された。

 

「落ち着けツナ。笹川とハルが姉妹校に入学したのはな……」

「山本もだよ! 知っててなんで2人の入学を止めなかったんだ!」

「……ボス、2人は悪くない。決めたのは京子ちゃんとハルちゃん自身だから」

「!」

 

 山本にも詰め寄ろうとしたその時、後ろから声をかけられる。

 その声の主はクロームだった。後ろには京子ちゃんとハルもいる。

 

「……京子ちゃん、ハル。本当に2人の意思なの?」

「うん。そうだよ」

「そうですっ。誰かに言われたのでなく、私達自身で決めたんですっ!」

 

 俺の質問に2人とも力強く頷いた。

 

「……何でさ、怖い思いを2回もしたってのに……」

「確かに……マフィアの戦いは怖いよ」

「だったら!」

『でもっ!』

「!」

 

 京子ちゃんとハルが同じタイミングで大きな声を出した。

 その目には、確かな覚悟が伴っている気がした……

 

「……それでも。私達はツナ君達のそばにいたいの」

「ツナさん達の役に立ちたいんですっ。私達だって、ツナさんの仲間なんですから!」

「……だけどっ……!?」

 

 2人を説得する方法を考えていると……

 

 ——ドカーン。

 

 いきなりどこからか大きな爆発音が聞こえてきた。

 

「! なんだ!?」

「敵襲か!?」

 

 ——ピンポンパンポーン。

 

 何が起こったのか分からないでいると、園内放送が流れ始めた。

 

『園内に不審者及び爆発物を確認。高度育成高等学校、及び姉妹校の生徒達は至急、敷地内中央にあるホテルに集合して下さい。20分以内に集合できなかった者のクラスは50CPを没収となるので必ず集合するように』

 

「! 不審者だって!」

「10代目、とにかく俺達もホテルに急ぎましょう。待たせているあいつらを連れて行かないと!」

「おう、そうだな。行こうぜツナ」

「……うん!」

 

 非常事態なので、とりあえず2人の事は後回しだ。

 京子ちゃんとハル。綾小路君達の安全を確保しないと!

 

 すぐにさっきのベンチの所に戻り、皆で集合場所のホテルへと向かった。

 

 

 —— 敷地内中央のホテルにて ——

 

「……着いたな」

「ええ。ここから先は……あ、あそこに真嶋先生がいるわ」

 

 ホテルに着くと、綾小路君と堀北さんは冷静に状況把握に努めた。

 さすがDクラスの俺的トップ2。

 

 ホテルのエントランスに真嶋先生が待機していたので、俺達はそこに向かう。

 

「……先生、どこに行けばいいんですか?」

「ああ。2階にあるホールに迎え。ホールは2つあるが、右のホールに本校。左のホールに姉妹校が集合する事になっている」

「……わかりました」

 

 先生に言われた通りに2階へ向かう。その途中、獄寺君に小声で話しかけられた。

 

「10代目、俺達はホールには行かずに、3階に向かいましょう。迎撃は俺達10代目ファミリーの任務になります」

「! わかった」

「お腹が痛いフリをしてトイレに駆け込み、その後3階に行きます!」

「わかった!」

 

 2階に着くと、すぐそばにホールの入り口が4カ所設置されていた。

 

「俺達は右だな」

「ええ」

「あ〜、怖かったよ〜」

「はぁ、はぁ……」

 

 綾小路君達がホールへと向かって行く。

 しかし俺はトイレに行くフリをしなければならない。

 

「あ、イタタタタ。お腹イタァ……」

「! 沢田、大丈夫か?」

「だ、大丈夫?」

 

 綾小路君と佐倉さんに心配されたけど、ただの仮病です。すみません。

 

「ちょっとトイレ行ってくるよ。先に行ってて!」

「……わかった」

「つ、辛かったら先生に言うから、メール下さい」

「あ、ありがとう」

 

 俺はトイレに駆け込んだ。そして入り口の影からホールの方を見て、4人とOtto talenti の女子3人がホールに入ったのを確認した。

 

 すぐにトイレから出て獄寺君達と合流する。

 

「よし、行こう!」

『はいっ!』

 

 3階に向かうと、獄寺君達は奥の方へと走って行く。

 なぜか京子ちゃんとハルも着いて来ているようだ。

 

(なんで2人まで……)

 

 気になるが、今はどうしようもない。

 そう思って廊下の一番奥の部屋に入ると……

 

「ちゃおっす」

「待ってたぜ、コラ!」

「! リボーン、コロネロ!」

 

 部屋の中には会議室の様な机と椅子が置かれており、リボーンとコロネロが椅子に座っていた。

 ラル・ミルチはいないらしい。あと、机の上にジュラルミンケースが1つ置かれている。

 

「ラル・ミルチは?」

「あいつは一足先に現場に向かってるぞ」

「! 現場って、何が起きたんだよ」

 

 そう聞くと、リボーンは今の状況を説明してくれた。

 

「敵体マフィアの襲撃だ」

「! 襲撃!?」

「そうだぞ」

 

 中学の時にもあったな。あの時はスカルの部隊が来てたんだっけ。

 

 俺が昔の事を思い出していると、獄寺君が口を開いた。

 

「リボーンさん、その敵体マフィアとはどこのファミリーですか?」

「ジョーコファミリーだぞ」

「! 最近頭角を表しているというあのジョーコですか!?」

「その通りだ」

 

 ジョーコファミリー。聞いた事ないな。

 元々マフィアに詳しい訳じゃないけど……

 

 すると、今度は山本が口を開いた。

 

「んで、現状は?」

「姉妹校の数名が負傷。死人はまだ出てねぇそうだ」

「敵の戦力は?」

「空に飛行船が1機飛んでいるのと……戦闘員が30人くらいだな」

「戦闘機と戦闘員30人か……」

「そうだ。ツナ、獄寺、山本、クロームには敵対マフィアの対処をしてもらうぞ」

「はいっ!」

「わかったぜ!」

「了解」

「わ、わかった」

 

 俺達がそう返事をすると、リボーンがジュラルミンケースを掴んで椅子から飛び降りた。

 

「よし、じゃあ行くぞお前ら」

 

 リボーンが部屋を出て行こうとするのでそれについて行く。

 

 その最中、背中の方からコロネロの声が聞こえて来た。

 

「京子とハルは俺と一緒に怪我をした姉妹校の生徒の所に行くぞ。仕事だぜ、コラ!」

「うんっ」

「頑張りましょう!」

 

(……仕事? コロネロは2人に何をさせる気なんだ?)

 

 気にはなったが、リボーンがもう部屋の外に出てしまっていたので仕方なく後を追いかける。

 

 リボーンが向かったのはホテルの屋上だった。

 

 —— ホテルの屋上 ——

 

 ホテルの屋上から表マフィァランドを見渡すと、黒服を着た怪しげな3つの集団と空に浮かぶ飛行船が見えた。

 

 どうやら、30人の戦闘員を10人ずつに分けて3つの集団で行動させているようだ。

 戦闘機は特に何かするわけでもなく、ただ空中で停滞している。

 

(あの飛行船に乗ってマフィアランドに来たのか?)

 

 俺達が敵体マフィアを観察していると、リボーンはジュラルミンケースを開いた。

 その中には、高校に入ってから目にしていなかった懐かしい物が入っていた。

 

「あ、ボンゴレギア!」

 

 中に入っていたのは……

 

「大空のリング verX」

「嵐のバックル verX」

「雨のネックレス verXと時雨金時」

 

 そして1本の組み立て式の槍だった。

 

「ありがとうございます!」

「サンキュー」

 

 獄寺君と山本が自分のボンゴレギアを受け入れて身に着ける。

 クロームは槍を取って組み立て始めた。

 

(あれ、霧のボンゴレギアは骸がもっているからクロームにはないんだっけ)

 

 俺も自分のボンゴレギアを取り、右手に装着する。

 

(これを付けるのも久々だな)

 

 俺がリングの感触を確かめていると、リボーンが俺にもう一つ何かを手渡して来た。

 

「ツナ。お前にはこれもだ」

「ん? あ、ありがとう」

 

 リボーンから渡されたのは、Xグローブとヘッドホン。そして1錠の死ぬ気丸だ。

 

「……ハイパー死ぬ気モードになってもいいのか?」

「ああ。今回はマフィアが相手だからな。加減する必要はねぇぞ」

「わかった」

 

 両手にXグローブを着け、両耳にヘッドホンを装着する。

 

 ヘッドホンを装着すると、高校に入ってからつけ始めたコンタクトレンズに以前と同じディスプレイが表示された。どうやらコンタクトを変える必要はないらしい。

 

(……さすがスパナ。このコンタクトにも補助システムを付けてくれてる)

 

 コンタクトとヘッドホンの動作を確認し、死ぬ気丸を飲み込む。

 一瞬でハイパー死ぬ気モードに突入し、Xグローブもガントレットに変形する。

 

「……」

「どうだ、久々のハイパーモードは?」

「……やはり激スーパーモードよりも頭が冴えるな」

「そうだろ」

 

 そう言ってニヤリと笑うリボーン。

 そして俺達4人を一度見回してさらに続けた。

 

「よし、じゃあ行ってこい。後の事はツナに任せるぞ」

「……わかった」

 

 どうやら戦闘の仕方は俺に一任されたようだ。

 無人島試験での特別課題の成果を見せろって事だろうな。

 

「……」

『……』

 

 どうしようかと3人の顔を見回すと、3人とも笑って俺の事を見つめている。

 『信じてるから何でも言ってくれ』……そう言っている様に。

 

(……ふふっ。本当、頼もしい仲間達だよ)

 

 3人に向けて微笑み、再度敵体マフィアの方に目を向ける。

 

 30人の戦闘員は3つの集団にばらけている。

 何かの飛行装置で空から遊園地内を監視している者達。

 円形に固まって遊園地内を闊歩する者達。

 1つのアトラクションの周囲を2人ずつの5つのチームに分かれて探索する者達の3つだ。

 

(……よし、ここはそれぞれの得意な戦闘ができる様に配置するか)

 

 作戦を決めた俺は3人のいる方へ振り返り、最初にクロームに話しかけた。

 

「クローム。お前はこのホテルの周囲に『霧のカーテンコルティーナ・ネッビア』を展開させろ。そして、俺達の戦闘中にホテルに接近しようとする者がいたら、そいつの相手を頼む」

「わかった」

 

 クロームは笑顔で頷いてくれた。

 続いて山本に指示を出す。

 

「山本は円形に固まってる集団の相手を頼む。一撃で沈めてやれ」

「おう! 任せとけ!」

 

 山本の笑顔は周りの安心させる力があるよな。

 最後は獄寺への指示だ。

 

「獄寺、細々分かれてる奴らの相手を頼めるか。久々にスモーキン・ボムの勇姿を見せてくれ」

「はいっ! お任せください、10代目!」

 

 嬉しそうに敬礼する獄寺。

 そして、最後に俺の相手だが……

 

「俺は飛行してる奴らと飛行船を相手する。地面に堕とすから、もしまだ動くようであれば対処はお前達にまかせるぞ」

「了解です!」

「まかせろって!」

「了解」

 

 ——キラン。

 

 その時、3人のボンゴレギアが光を放った。

 すると、ボンゴレギアからは俺達の相棒が飛び出して来た。

 

「ガウゥ〜♪」

「ニャァァ!」

「ワンワン!(バサバサッ!)」

 

 天空ライオンのナッツ、嵐猫の瓜、雨犬の次郎と雨燕の小次郎だ。

 

「ナッツ、久しぶりだな」

「ガルル〜♪」

 

 俺の肩に乗ったナッツは嬉しそうに顔をすりすりしてくる。

 

「ニャアアア!」

「痛っ、コラ瓜! 引っ掻くんじゃねぇ!」

 

 瓜はさっそく獄寺を引っ掻いて遊んでいる。

 

「ハッハッハッ」

「ははは、久しぶりだな〜お前ら」

 

 山本達は相変わらずの仲の良さだった。

 

 

 相棒との感動の再会も程々に、戦闘準備に移る。

 

「ナッツ」

「瓜」

「次郎、小次郎」

 

『形態変化カンビオ・フォルマ!』

 

「GAOOOO!」

「ニャアアアア!」

「ワオーン!(ヒュン!)」

 

 形態変化カンビオ・フォルマした事により、俺のガントレットは肘まで覆われる様に形を変える。

 

 獄寺にはサングラス型ディスプレイと全身にダイナマイトを帯びたベルトが巻きつけられ、山本は二刀流の袴姿へと変化する。

 

 これで俺達は完全に戦闘態勢となった。

 

「……よし、じゃあ行動開始だ!」

 

 そう宣言した俺は、ガントレットから炎を噴射して空に浮かび上がる。

 そのまま俺の相手の所まで大空の炎で高速飛行を始めた。

 

「おっしゃあ!」

 

 山本も雨の炎を刀から噴射して空中移動を開始した。

 

「SISTEMA C.A.I. ホバー!」

 

 獄寺はSISTEMA C.A.I.のホバーという道具を使い、炎による浮力と推進力で空中移動を開始する。

 

「……クローム。俺はコロネロの所に行ってくるぞ」

「……わかった」

 

 ——バタン。

 

「……ふぅ、よしっ」

 

 屋上に1人残されたクロームは、目を瞑って集中力を高め始めた。

 数秒後に目を開けると、持っている槍を回転させ始めた。

 

「……私も頑張る」

 

 クロームは槍を何度か回転させ、最後に屋上の床面に槍の後方部分を叩きつける。

 

「霧のカーテンコルティーナ・ネッビア」

 

 クロームの力でホテル全体が霧の結界で覆われた。これで他の生徒達に危険はないだろう。

 

「ふぅ。……さて、後はホテル周辺を警護をしないと」

 

 そして、クロームはホテルの周辺の警戒を始めるのであった……

 



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