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ようこそボンゴレⅩ世。実力至上主義の教室へ

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特別試験、ラスト4日間。

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ようこそボンゴレⅩ世。実力至上主義の教室へ   作:コーラを愛する弁当屋さん

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無人島試験もラストスパートです。
どんどん話が進みますが、次話以降で詳しく説明するのでよろしくお願いします!

特別試験、ラスト4日間。

 

 —— 特別試験3日目、正午。森のどこか ——

 

「……くそ、どこに行きやがった?」

 

 獄寺は森の中を走っていた。

 

 ツナの指示により食糧蝶達に出る綾小路を見張る事になったのだが、すでに綾小路は1人で出発した後だったのだ。

 

 急いで追いかけて森の中に入ったものの、今だに綾小路を発見できていなかった。

 

(もう10分くらい進んでんだぞ……ん?)

 

 その時、獄寺の耳に誰かの話し声が聞こえた気がした。

 声のする方にゆっくりと近寄ってみると、そこには2人の男子がいた。

 

「あれは……綾小路と龍園じゃねぇか。なんでこいつらが会ってんだ?」

 

 そんな疑問を感じつつも、獄寺は綾小路と龍園の会話に耳を傾ける。

 

「……」

「……」

(!)

 

 聞こえてきた会話の内容に、獄寺は歯を食いしばり拳を握り締めた。

 

(……あいつ、何を考えていやがる。とにかく、この事は10代目に報告しねぇとだな)

 

 その後すぐ2人は別行動に移ったので、獄寺も綾小路の見張りを続けるのであった……

 

 

 —— 特別試験3日目、午後2時。Dクラス拠点 ——

 

 佐倉さんと共にDクラスの拠点に戻ってきた俺。

 しばらく休憩してていいとの事なので、男子テントで横になりながら考えを巡らせる。

 

(今日までに集まった情報、CクラスとAクラスの契約、綾小路君の頭脳を総合して考えると……Dクラスが勝つ為にはあれをすればいい)

 

 しかし、それをするには堀北さんにリタイアしてもらう必要がある。

 彼女の性格的にリタイアなんてしたくないだろうから、そこは説得しないといけない。

 

 一応、説得材料はある。堀北さんの体調についてつつけばいいはずだ。

 

 なぜ堀北さんの体調を突くかというと、ほぼ確実に堀北さんはすごく体調が悪いからだ。

 

 普段の堀北さんは運動ができるので体力もある。

 そんな彼女が、この試験に入ってから全然いつもの様に機敏に動けていないように感じていたのだ。

 

 実際食糧調達などにもほとんど参加せず、動かなくていい仕事ばかりを請け負っていた。

 

(……堀北さんの体調不良、綾小路君も気付いているはずだよな。だとしたら、もし俺と同じ作戦に綾小路君が辿り着いているとしたら……)

 

「……よしっ!」

 

 ある事を思いついた俺は、起き上がって男子テントから出る事にした。

 

 そしてテントから出てすぐ、焚き火の近くに座っている堀北さんに近づいた。

 

「……」

(……堀北さん、リーダーとしての責任感で無理してるんだろうなぁ)

 

  堀北さんの心配をしつつ後ろから声を掛けた。

 

「……堀北さん、今いいかな?」

「! 沢田君。……ええ、かまわないわよ」

「ありがとう」

 

 許可が出たので、俺は堀北さんの隣に座った。

 

「……どうかしたの?」

「うん……実はさ」

 

 小声で話す為に堀北さんに少し近づき、そのまま話始める。

 

 

 〜数分後〜

 

「……わかったわ。あなたの考えに乗らせてもらう」

「ありがとう。じゃあカードキーは後でクロームにこっそり渡しておいて」

「ええ」

 

 堀北さんと離れた俺は、池君達と川に魚を獲りにいく事にした。

 その後は特に何事も無く過ごし、やがて夜になった。

 

 —— 特別試験4日目、深夜2時。森のどこか ——

 

 今日も森のとある場所に集まった俺とOtto talenti のメンバー達。

 様式美の挨拶を済ませ、さっそく会合に入る。

 

「……グスン」

「wwww」

 

 今日は噛んでしまったカルメン。はっきり落ち込んでいるのがわかる。

 アルロは声にならない声で爆笑している。

 

「じゃあ会合を始めようか」

『はい』

 

 会合が始まると、落ち込むカルメンも爆笑しているアルロも真剣な表情に戻る。

 今日も今日とて切り替えの早い人達である。

 

「ドナートとアルロ。契約書の発見ご苦労様」

「ありがとうございます、ボス」

「えへへ〜、あたし頑張ったよ!」

 

 恐縮するドナートに素直に喜ぶアルロ。

 タイプは全然違うけど、どちらも素晴らしい仕事人である事に間違いない。

 

「ビアンカもご苦労様。ばっちり葛城君を呼び出してくれて助かったよ」

「ふふふ、このくらい簡単ですわ、ボス」

「山本、食糧の運搬は大丈夫だった?」

「おお、食糧調達のついでにちゃちゃっとな」

 

 ビアンカも山本もなんでもない事の様にニコニコしている。

 ……この2人はポテンシャルが高い所とか結構似てるなぁ。

 

「レオナルド、龍園君の潜伏先の発見ご苦労様」

「いやぁ、私の目を持ってすれば造作もない事でしたよ」

「……カルメン。Aクラス拠点に潜入する方法は見つかった?」

「……はい。洞窟の一部に柔らかい土があり、外から地面を掘ってそこまで到達する事に成功しました」

「地面から!? な、なんか無理させちゃってごめんね?」

「いえ、お気になさらないで下さい」

 

 Cクラス配属の2人は個性が特に強いけど、その能力の高さは折り紙付きだな。

 

 にしてもカルメン、まさか地面から潜入するとは……

 アルロにでもやわらかい土の場所を見つけてもらって、そこまで外から掘り進めたのだろうか?

 

「カルメン、その土の場所は隠してある?」

「はい。その場所はAクラスのナップザックを置いている場所なのですが、アルロのナップザックの下に通り道を開通しました。腕が1本通るくらいの穴ですが、おそらくボスが私に命じたいのはドナートとアルロに何かの受け渡しをする事だと思ったのでそうしました」

「おお……その通りだよ。すごいねカルメン、俺の考えを察知して動いてくれるなんて」

「……き、恐縮です///」

 

 カルメンの顔が真っ赤になっている。

 褒められるのは素直に嬉しい様だ。

 その証拠に、アルロがニヤニヤしながらカルメンを見ている。

 

「……」

「?」

 

 照れているカルメンを見ていたら、獄寺君が神妙な顔になっている事に気づいた。

 

「獄寺君、どうかした?」

「……実は、今日の正午に10代目に言われて綾小路を追いかけた時なのですが……」

「うん」

「綾小路に追いついた時、奴は龍園と会話していました」

「え!?」

 

 綾小路君と龍園君が会話? どう言う事だ?

 

「ボス、私も姿を遠くから見ていましたよ」

 

 レオナルド君が挙手して獄寺君の話に賛同する。

 

「……待ち合わせしてた感じだった?」

「いいや、隠れている龍園を偶然に綾小路が発見した感じでしたね」

「そっか……」

 

 龍園君は森の中を動き回っていた。

 綾小路君が偶然見つけてしまってもおかしくはないけど……

 重要なのは、その後の会話内容だよなぁ。

 

「……獄寺君、会話の内容を教えてくれる?」

「はい、俺が聞けたのは会話の終盤だけなのですが……」

 

 そう言って、獄寺君は彼が聞いた会話の内容を語り始めた。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

『……いいだろう、お前の提案に乗ってやるよ』

『……そうか、作戦決行は6日目の午後だ。詳しい場所は……』

『お前達が伊吹を見つけた場所があんだろ。そこの木の根本に無線機が埋まってる。それを使って連絡してこい』

『……わかった。じゃあな』

『……待てよ』

 

 綾小路が龍園から離れようとした時。龍園はさらに続けた。

 

『……お前、意外にえげつねぇ事を考えるんだなぁ?』

『……沢田なら必ず助け出すさ。俺はあいつの事を信用してるんだよ。友達だからな』

『はっ、息を吐く様に嘘を吐くんだな。普通の奴はお友達相手にそんな事しねぇよ』

『……そうかもな』

 

 そう言い終えると、2人はバラバラの方向に去って行った……

 

ーーーーーーーーーーーーーー 

 

「……以上が俺の聞いた全てです」

「……6日目の昼に、綾小路君はなんらかの作戦を決行する。その時に邪魔をされないように俺に誰かを助けさせて時間稼ぎするつもりか……」

「ええ。しかし、その作戦内容が分かりません。どうします? 10代目」

「……」

 

 俺は考え込んだ。

 

(綾小路君と龍園君の作戦、それは俺に誰かを助けさせてその間に何か行動を起こす事。作戦内容がこれ以上分からない以上、未然に防ぐのは難しいか? あと、龍園君がレオナルドとカルメンを探しているのも気になるし……)

 

 色々な事が気になってしまうけど、全てに事前に対応するのは難しいかもしれない。 

 

 Dクラスを勝たせる事は、作戦通りに行けばクリアは間違いない。

 龍園君の目的を知るのは……彼女達の力を借りればできるんじゃないだろうか。

 一番難しいのは、綾小路君の作戦への対策かな?

 

 ……やっぱり、綾小路君がどんな事をしてきても俺が勝てる様に準備しておくのが、最大の攻撃で防御になるんじゃないかな。

 

「どんな作戦で来ようと、すでにこっちの勝ちが確定していればいいと思う。そうすれぱ何があっても冷静に対処できるだろうし」

 

 俺がそう言うと、レオナルドがニヤリと笑いながら聞いてきた。

 

「ほほう……その言い方は、すでに勝つ為の作戦は出来上がっていると考えてもいいのかな? ボス」

「うん。できたよ」

 

 作戦ができたと言う俺の発言を聞いて全員がざわつき出す。

 

「さすがボスですね」

「ふふふ……聡明なボスですから当然ですわ」

「さすがはツナだよなぁ」

「ボスすっご〜い♪」

「……お前ら落ち着け」

 

 沸き立つ皆を獄寺君が手で制した。

 

「で、10代目。その作戦とは?」

「うん。あのね? ……」

 

 俺は考えついた作戦の内容を皆に説明した。

 

「なるほど! 素晴らしい作戦ですね!」

「……ボス、さすが」

「ああ。腕が鳴りますよ」

「あたしも頑張るよぉ〜!」

「ククク……私がお仕えするに相応しいその頭脳。惚れ惚れしますねぇ」

「……私はボスの御心のままに」

「俺もツナの作戦を信じるぜ!」

「元より、ボスのお考えを疑うつもりなどありませんわ」

 

 Otto talenti の全員が俺の作戦に同意を示してくれたので、後は作戦通りに事を進めるだけだ。

 

 ドナートにカードキーを渡してから全員に指示を出していく。

 

「じゃあ、ドナートとアルロ。明日の朝にカルメンが掘った穴の中にカードキーを戻しておいてね」

「わかりました」

「うんっ!」

「山本は今日以降もレオナルドとカルメンの食糧運搬をお願い。ビアンカも出番までは山本を手伝ってあげて」

「おう」

「かしこまりましたわ、ボス」

「レオナルドは龍園君の見張りをお願い。見つからないように気をつけてね」

「もちろんですとも、ボス」

「カルメンは明日の朝にカードキーを穴の中から取って。その後は獄寺君と連絡を取って受け渡しをお願い」

「御意です、ボス」

「獄寺君は綾小路君の見張りを続けて。クロームは出番が来るまでは伊吹さんの見張りをお願い」

「わかりました!」

「……了解」

 

 一人一人に指示を出し終えた後、全員を見回しながら笑って見せる。

 

「……大丈夫。俺達9人なら必す課題をクリアできるよ。皆、最終日までよろしくね!」

『はいっ!』

 

 その後、俺達はそれぞれの拠点へと戻って行った……

 

 

 —— 特別試験4日目、午前7時。Dクラス拠点 ——

 

「……ん。もう朝か。ふわぁぁ〜」

 

 テントの中で目覚めた俺は、起き上がって腕時計を確認する。

 時刻は午前7時を示している。

 

(朝の7時か。……もう皆いないし、俺も起きよう……ん? なんか外が騒がしいなぁ)

 

 外が騒がしいので急いでテントを出てみると、軽井沢さんと伊吹さんが言い合いをしていた。

 

「あんた、何がしたいのよ!」

「……何も。ただ寝ぼけていて間違えただけだ」

「本当に? にしては私を名指ししてたじゃない! 否定したらなんかすごく驚いていたし」

「下着泥棒が出たのかと思ったからだ。何も取られてないならいいじゃないか」

「はぁ!? さっきのあんたの反応を見たら簡単に安心できないから!」

「女子全員が荷物を確認したが、何も消えてなかったじゃないか」

 

 何やら不穏な言い合いをしている2人を、平田君が宥める。

 

「まぁまぁ。結局は何もなかったんだし、それでいいじゃないか」

「平田君、でも……」

「こんな環境なんだ。精神が疲弊して夢を現実と勘違いしてもおかしくないよ」

「……わかった」

 

 平田君に説得されて、渋々納得した様子の軽井沢さん。

 

 何があったのかと思っていると、須藤君が声をかけてくれた。

 

「ツナ、起きたか」

「須藤君、おはよう。……何があったの?」

 

 俺の質問に、須藤君は憎々しげにさっきの出来事を話し始めた。

 

「なんかよ、伊吹が1人で騒ぎ出したんだよ。男子が軽井沢の下着を盗んだとかよ」

「ええ!?」

「まぁ、すぐに軽井沢が確認したら盗まれてなかったんだけどな?」

「あ、そっか。よかった〜」

「でよ。伊吹が『本当に盗まれてないのか』とか『ちゃんと見たのか』とかしつこく喰い下がってきてさ。それで女子達が何でそんなに必死なのかって言い合いになってよ」

「あ、そういう事だったのか」

 

 須藤君から女子の中にいるクロームに視線を向けると、クロームも同時にこっちを見ていた。

 

「……(こくっ)」

「!(こくっ)」

 

 アイコンタクトと頷く動作でクロームと会話をした。

 これはクロームが何かしてくれたんだろう。

 

 きっと伊吹さんが軽井沢さんの下着を隠してたのに、クロームがそれを見つけて軽井沢さんのナップザックに戻しておいたんだろうな。

 

 ひとまず争いは終わったけども、Dクラス内にはその後も不穏な空気が流れ続けていた。

 Dクラスの皆の頭の中に、『伊吹が何か仕掛けてきているんじゃないだろうか』という疑心が生まれているんだろう。

 

 その影響で、特別試験4日目、5日目は特に何もなく日々は過ぎて行った……

 

 

 

 —— 特別試験6日目、朝。 Dクラス拠点 ——

 

 

 6日目の朝。Dクラス内には相変わらず不穏な空気が流れている。

 そんな中、朝食を済ませた俺に獄寺君が話しかけてきた。

 

「……10代目、ビアンカから報告が上がりました」

「! ……そっか。どうだった?」

「……だそうです」

「! ……なるほどねぇ。よくそんな先まで考えられるよ」

「どうしますか?」

「……レオナルドとカルメンに龍園君に偶然を装って遭遇するように伝えて」

「いいんですか?」

「うん。龍園君が何を2人に言うのか気になる」

「分かりました」

 

 そして獄寺君はトイレへと向かって行った。

 レオナルドとカルメンに連絡をしに行ったようだ。

 

 

 その後。6日目ともなると、食糧も貯蓄が出来ているので探索の必要もなくなってくる。

 もう皆がそれぞれのしたい様に過ごしていた。

 俺はというと、午前中は池君達と水遊びを楽しんでいた。

 

 やがて午後になると、突然池君が空を見上げながら険しい顔をし始めた。

 

「……これは雨降りそうだなぁ」

「まじかよ。今日まで雨降らなかったのにな」

 

 池君に習って俺も空を見てみると、確かに雨雲が増えている気がした。

 

(……堀北さんを雨に当てるのはきつい。もう早めに行動を開始した方がいいな)

 

 そう思って、俺は昼食を食べた後に堀北さんに声をかけようとした。

 しかし、その前に綾小路君に話しかけられてしまった……

 

「……おい、沢田」

「! 綾小路君、どうしたの?」

 

 少しの間を置いて、綾小路君は淡々と用件を話し始めた。

 

「……1時間くらい前に、櫛田と佐倉の2人が森の中に入っていった」

「うん」

「……で、そのまま森の中で消えた」

「……は?」

 

 意味が分からなかった。いきなり何を言い出すんだと思っていたら、綾小路君は続きを話し始めた。

 

「……森の最深部に向かって行ったんだけどな、そこで急に消えたんだよ。……あ、そういえば森の最深部って、この島の端っこで少し高い崖らしいぞ。その島の端っこで急に消えたなんて……海・に・落・ち・な・い・限・り・有・り・得・な・い・と思わないか?」

「なっ!?」

 

 話を終えた綾小路君は、何一つ表情を変えずに俺の事を見ている……

 

 そんな姿に俺は無意識の内に綾小路君の肩をガシッと掴んでいた。

 

「……したの?」

「……は?」

「……付き落としたの? 綾小路君が?」

「……そんな事はしていない」

「……2人は無事なの?」

「……無事だと思うぞ? 今はな」

「……今はってなんだよ」

「……この時間、島は干潮なんだよ」

「……干潮?」

「……後は行って確かめろ」

 

 一切の罪悪感を感じさせない綾小路君。

 俺は彼の肩からゆっくりと離して森の方へ方向転換する。

 そして、ズボンのポッケからクロームに貰っていた丸い物を口に放り込んだ。

 

 ——走り出す直前、俺は綾小路に一言だけ告げる事にした。

 

「……綾小路」

「! ……なんだ?」

「後できちんと説明してもらうからな」

 

 そう言い残し、俺は全力疾走で森の中を進んで行った……

 

 

 

 

 ——そして時間は過ぎ、最終日の正午。最初の浜辺にて。

 

 Cクラスを除く3クラスが浜辺に集合している。

 先生達が全員の集合を確認していると、森の中から1人の男が出てきた。

 

「よ〜し、全員揃ったな?」

「おいおい、1人忘れてるだろうが」

『!』

 

 森の中から出てきたのは、リタイアしていたと思われていたCクラスの龍園だった。

 ぼろぼろのジャージを着ていて、髭が伸びている。

 

「なんで? リタイアしたんじゃ?」

「え、してなかったって事?」

「あれ、そういえば金田君もいつの間にか居なくなってるよね」

 

 BクラスとDクラスがいるはずのない龍園の登場に驚く中、Aクラスの葛城だけが拍手をして迎え入れようとしていた。

 

「ご苦労だった、龍園。我々Aクラスは500以上のポイントを得る。お前の働きには感謝しているよ」

 

 そう言って片手を龍園に差し出す葛城。

 しかし龍園は、薄笑いを浮かべながら葛城の差し出した手を片手で払いのけた。

 

「!」

「……ククク、葛城。今から面白いものが見られるぜ?」

 

 その龍園の言葉に眉を潜める葛城。

 

「面白いものだと?」

「ああ。俺の完全勝利をな」

「……何?」

 

 2人の間に沈黙が訪れる。

 そのタイミングを待っていたかのように、真嶋先生が口を開いた。

 

「それでは、各クラスの最終的なポイントを発表する。まずは4位だ。4位は……Cクラス! 最終的なポイントは0ポイント。更に、ルール違反により失格となった。違反者は龍園だ。よって龍園は現在所持しているPPを全没収となる」

「……は? 0ポイントの上、失格だと?」

 

 衝撃の結果に、龍園の顔から自信が完全に消え去り、茫然となっている。

 

「そして第3位は……Aクラス! 最終ポイントは120ポイント!」

「! ばかな、120だと!?」

 

 葛城も龍園同様に結果に酷く驚いているようだ。

 Aクラスからも、どよめき声が上がっている。

 そんな生徒達の反応を気にせず、真嶋先生は淡々と結果を発表していく。

 

「第2位は……Bクラス! 最終ポイントは190ポイント。最後に1位。1位は……Dクラス! 最終ポイントは225ポイントだ」

 

 真嶋先生の口から発せられたその言葉に、一番驚きの声を上げたのはDクラスだった。

 

『えええええっ!?』



試験後半に何が起こったのかは、ツナ視点と綾小路視点で2話に分けて描きたいと思います!

読んでいただきありがとうございます♪
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