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チートゲーマーへの反抗〜虹と明星〜

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15話 Tiny Stars【駆け抜ける小さき者】

 
前書き




⚪︎仮面ライダーウラノス

変身者 浦野冥斗


パンチ力 430t
キック力 860t

バグルドライバーE(エル)によって変身する仮面ライダークロノスの白化形態。スペックはそれの完全上位互換である。

胸部装甲は時間経過で防御力が上昇し、腕部・脚部には攻撃を与えるごとにパンチ力・キック力を20%上昇させる機能があり、戦いが長引けば長引く程更に強力になる。また400t以下の攻撃を安全に受け止められる。

バグルドライバーE(エル)のAボタン、Bボタンを同時に押す事で発動する時間停止、及び再始動が可能。

止まった時の中で死を迎えた者は、死と言う瞬間のまま永遠に止まり続ける仕様すなわち死の無限ループに陥ってしまう。 

 










かのんと可可はステージの裾から会場の様子を覗き見た。

すると、やはりというべきか人が……いや想像以上に人だかりができていた。


「うわぁ…!すごい人…!!」
「流石スクールアイドル!ユメ見た舞台デス!!」
「どうしよう、緊張しちゃう……」


角張るかのんを可可は気休めのような言葉をかける。


「大丈夫!もし歌えそうだったら始まりの時合図をクダサイ。歌えなかったとしても堂々としていてクダサイ!可可が歌いマス!!」
「ありがとう可可ちゃん…!」


かのんの表情が心なしか緩くなる……が、すぐさま観客の方をチラチラと見る。


「速人くん……どうしちゃったの———?」




—————※—————





「おいカルボナーラ野郎!まだやれるだろうな!?」
「うっせぇな。俺はコルボだ!!そっちこそな狼。」


速人を逃して、エルシャム王 小原魁が変身するダークキバに立ち向かう仮面ライダーバルカンと仮面ライダーエビル。

しかし……一向にダメージは与えられない。


「今のお前たちでは俺を倒すことはできん……潔く敗北を認めろ。」
「うるせぇ!!俺は諦めが悪くてな!!」


【バレット!】

【シューティングブラスト!】


狼の残像を伴った弾丸がダークキバに放たれる。そして、攻撃ほぼ無効のマントで受ける余裕もなく、見事ダークキバの胸部装甲に直撃!

爆煙が上がる。


————しかし。


「諦めが悪いのは嫌いじゃないが……煩わしい。」
「くそっ———この化け物が!!」
「俺の装甲を傷つけたければ核爆弾の数百倍以上の威力を身につけるんだな。もっとも、そんな相手は【神】と呼ぶべきだろうが。」


マントはほとんどの攻撃を無効化、その上で装甲は核爆弾数百発でも傷一つつかない。紋章型の結界でのハメ技、ザンバットソードによる極致に達した剣技………そして相手の動作一つ一つに対応する経験値の高さ。

何をどう足掻いても2人に勝ち目などなかった。


しかし……ここでダークキバは少し動きを止める。


「さて———1人、狼藉者が近くにいるみたいだなぁ。」
「「!?!?」」


突如明後日の方向から、二つの紫の光弾がその場にいた3人に襲いくる。

ダークキバは巨大な結界を盾として、その攻撃から未熟者2人の身を守る。


「「……!!」」
「横槍とは卑怯な———なぁ?偽の使徒よ。」


ゾクっとするエビルとバルカン。言うまでもなくこの殺気はダークキバから放たれるモノだ。

だがこの殺気は彼ら向けられているモノではない……


「流石はエルシャム王か……隙もない。」
「誰だお前…!」


現れた目玉の形の頭をしたライダー。当然バルカンは警戒してショットライザーの銃口を向ける。

しかしその青黒い仮面ライダーは余裕の態度を崩さない

ダークキバがそんな奴の正体を暴く。


「仮面ライダーゼニス。それともマクロフォーム創業者のウィル・ゲーテ……と呼んだほうが良さそうか?」


その名が出た時、エビルは驚きを見せる。


「ウィル・ゲーテだと?」
「あ?誰だそれ?」
「んな事もしらねぇのか?あの『Doors』を作った奴だ。」
「……?」
「ダメだこいつ。」


Doorsとは知らない人はほとんどいないほどのOSだ。まぁ実際知らないバカ狼がここにいたわけだが……

ゼニスはコミカルさが漂うエビルとバルカンに視線を向ける。


「君たちが世間にこの事をリークしては不愉快……ついでに消えてもらおうか。」
「「!!」」


ゼニスは肩のルーリングレイを分離させて、2人に攻撃を仕掛けようとした……が。


「絶滅せよ。」
「!!」


突如青いルーリングレイは腐敗し、黒ずんだ球へとその姿を変えてしまう……ダークキバが手を翳した瞬間にだ。

まさに絶滅———その言葉が相応しいか。

ダークキバは威厳ある声でゼニスに牽制する。


「この2人は俺の友人の子どもたちなんだ…… 勝手な事はしないでもらおうか。」
「エルシャム王———貴様…!」
「どうせここに来た理由もだいたい察しがつく……俺の息子を瀕死に追いやってたところで俺が匿っていると読んだのだろう?」
「……!」
「だが残念。アイツはもう俺の友人が連れて行ったそうだ———今頃集中治療を受けているところだろうな。」


ダークキバの余裕綽々な態度とは対照に、ゼニスの態度はどんどんと怒りを帯びたモノへと変わってゆく。


「小原魁……貴様ぁ!!」
「今回は見逃してやろう。俺もこの市街地でこれ以上戦うと……周りへの被害が甚大になるのでな。だが戦うと言うのなら———殺ったっていいんだぜ?」
「……チッ、後日改めて粛清してやろう。」


ゼニスはバルカンとエビルに威圧を与えながら、その場をテレポートする。


「おいクソガキども。」
「「あぁ!?」」


意図的に悪い言葉を使って若輩者2人の気を引いたダークキバ。王は続けて警告するように話す。


「ここからは修羅の道だ———一瞬の気の緩みで大事なモノを全て失うハメになるかもしれん。」
「どういうことだ…?」
「言葉通りの意味さバルカン。お前らが戦うのは悪魔、場合によっては世界……はたまた神かもしれん。たった1つのミスが世界を滅ぼすと覚えておけ———そう言ったんだ。」


世界……そのスケールの大きさ、フィクショナルな話に困惑を隠せない2人。


「さぁ、その神話の1ページ目が開かれるぞ……!」
「「!?!?」」


ダークキバは天に向かって高らかに宣言した。



—————※—————



スポットライトが太陽のように暗闇を照らした。


「クーカー!!!」

「お姉ちゃんがんばれー!!」


千砂都の声援。渋谷家の応援がかのんと可可にかすかに聞こえた。

ステージは薄いピンクのリボンに彩られ、まさに初々しさと可愛さが共存した空間となった。

クーカーの2人もと頭と腰にリボンをつけた可愛いスカートがライブ衣装。今日この日のために可可が準備したのだ。


「そろそろ…はじまりマスよ。」
「うん…!」


ドクンと心臓がおかしくなる感覚に襲われる。

歌えない……そんないつも通りながらも最悪の結果が頭をぐるぐると回る。

手が震えていたかのん———だが。


「ダイジョウブ…ダイジョウブ…ダイジョウブ…!」


可可は呪文のようにその言葉を自分に言い聞かせていた。

しかしそんな最悪を想定すればするほど現実は、みるみる最悪へと近づいていく。

かのんは可可の頑張りに応えなければと思っていた。彼女が歌えるのにどうして自分だけ足を引っ張るのか。自分は何歩も遅れていると。

しかしそうではなかった———可可もまたかのんと同じだった。


「……?」


流石に千砂都をはじめとした観衆はライブ開始の遅さに少し異変を感じていた……その時。


バシュッ!



世界が再び暗転する。

おそらく何処かの電気コードが人為的なミスで切れたのだろう。流石の観客も動揺を隠せない。


その動揺はさらにクーカーに精神的な負担を強いた。2人は苦しそうに目を瞑った。

もう今にも泣いてしまいたい……ここから逃げ出してしまいたい……2人の心によぎった。


そんな2人を見て心配の感情に支配された千砂都……


その時。


ポンと千砂都の肩を叩いた男が1人。


「待たせたな……かのん、可可。」
「速人…くん?」


速人は———松明のように優しく燃える火炎剣烈火を高く掲げる。光は世界を照らす……ほんの一筋で、小さな存在だが、それでも小さな希望となった。

千砂都は速人の目的を察して……というより彼の強烈な意志が伝わったのかは知らないが、カバンからペンライトを取り出す。

観客たちの続々とペンライトは光り輝き出す。

その暖かな光に可可は目を開き、苦しそうなかのんに知らせる。


「かのん!見テ!!」
「!!」


1つの光。速人の火炎剣烈火が発する優しい光に導かれて、たくさんの人の持つ輝きがかのんたちを揺れ動かす。

「キレイデス〜!!」
「うわぁー!」

観客たちは頑張れ、頑張れと声援をあげる。


その時速人は……目をカッと開く。


「(かのん、可可……聞こえるか?)」
「「(速人くん(サン)!?)」」
「(俺は絶対にお前を見守ってやる。どんなに泥臭くたっていい。お前たちは1人じゃない。俺が必ずそばにいる———だから、歌えクーカー!!)」


かのんは————可可の手を握る。


「かのん…!」
「歌える———速人くんがいるから……1人じゃないから!」


かのんの目が輝く————


カタンッ!!



世界は光を取り戻した。




Tiny_Stars(歌:澁谷かのん・唐可可)







—————FIN—————




「あれが結ヶ丘高校の……」


クーカーのライブを傍で見ていた少女……世界的なスクールアイドルと名高い優木せつ菜。

そのライブは初めてとは思えぬ出来ぶりであった。


「どうだ?キミの弟が関わるスクールアイドルってのは。」
「イフトさん———」

現れたこのイベントの主催者 伊口イフト。

「見事としか言いようがありません。まるで前世からスクールアイドルをやっていたような才能です。」
「前世……ねぇ。」


薄らと笑うイフト。その笑顔をせつ菜は指摘し損ねる。


「さぁ、次はキミの番だろう?」
「ええ!張り切って行きますよ!!」ペカー


せつ菜がステージの方へと向かっていく……それを見届けたイフトはゆっくりと暗がりの方へと向かう。


「さて……今日は修羅場がよく起きる。」



—————※—————



「侑ちゃん!!」


倒れてしまった侑を目撃した歩夢。半狂乱になりながらそばへと駆け寄る。


「どうしちゃったの侑ちゃん!返事してよ!!ねぇねぇ!!」
「毒ですな。」
「毒……?」


変身を解除した浦野冥斗。侑の腹に刺さった小さな針を指差す。歩夢は本能的にその針を抜こうとするが、その手はすぐさま冥斗が止める。


「待て。今救急車を呼んだ。軽々に触れば侑の容体はいざ知らず、小生たちにだって危険が及ぶかもしれない。」
「チッ……クソチビが。」
「え?」
「あっ、いや……なんでもないなんでもない。」


一瞬だけドス黒い歩夢が一応年上の冥斗に毒づく。おそらく侑の容体に対して言及してしまったことに、少なからず嫉妬している。

しかし冥斗が周りをそこまで気にしない迷惑オタクの一面のためにそれは見逃された。


「一応脈はあるが、呼吸が浅い……いつ息が止まってもおかしくない。」
「そんな———」
「こうなれば……!」


冥斗はバグルドライバーE(エル)のAボタンを触れる———


「天の声さん、彼女の容体を回復させてください!」
【……よかろう。しかし命の危機から脱するだけだ。】
「は、はぁ。」
【本来私は人間1人に肩入れはしないからな。】


パッとバグルドライバーEが発光した……











 
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