| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

巨人は負けないと駄目

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第六章

「調子に乗ってね」
「悪いことするからね」
「実際巨人そうだし」
「球界の盟主とか言って」
「毎年優勝するとか言って」
「あのね、優勝はね」
 千佳は強い声で言った。
「当然じゃないのよ」
「そうよね」
「必死に戦って掴み取る」
「それが優勝よ」
「当然のものじゃないから」
「何勘違いしてるのよ」
「そうよ、そんなチームはね」
 千佳は強い声で言った。
「むしろね」
「どんどん負けて欲しいわね」
「負けて負けて負けまくって」
「最下位になって欲しいわね」
「中日には頑張ってもらって」
 そしてというのだ。
「巨人こそね」
「最下位になって欲しいわね」
「最近ヤクルトも調子悪いけれど」
「巨人こそがよ、本当に」
「最下位になって欲しいわよ」
「というか最下位一回だけでしょ、巨人」
 千佳はこのことも言った。
「これまでで」
「そうそう、長嶋さんの時ね」
「一回なってるのよね」
「昭和五十年ね」
「あの時にね」
「一回だけでごちゃごちゃ言わないの」
 最下位になった回数がというのだ。
「カープなんて何度もあったわ」
「阪神だってね」
「暗黒時代物凄かったから」
「三年連続最下位なんてのもあったし」
「あの時は最下位が定位置だったからね」
「もう三十年連続位でね」
 千佳は強い声で言った。、
「負けて欲しいわね」
「ええ、本当にね」
「私達阪神ファンだけれど同意よ」
「巨人は負けて欲しいわ」
「万年最下位であるべきよ」
「何があってもね」
 千佳は阪神ファンのクラスメイト達と共に話した、巨人がどうあるべきか。そしてその日の夜だった。
 試合を観終わた兄が満面の笑みで言った言葉を聞いた。
「おい、阪神勝ったぞ」
「巨人負けたのね」
「今日もな」
「それはいいことね」
 千佳もそのことを聞いて笑顔になった。
「巨人が負けたことはね」
「それだけでいいことだよな」
「そう思うわ」
「阪神も勝ったしな」
「あっ、それはどうでもいいから」
 阪神ファンの兄にこう返した。
「別に」
「お前はそうだな」
「私カープだから」
「そうだよな、しかしな」
「巨人が負けたことはね」
「嬉しいな、今からカルピスで乾杯だ」
「私も付き合っていい?」
 満面の笑みで言う兄に尋ねた。
「そうしていい?」
「勿論だ、二人で巨人の負けと阪神の勝ちをお祝いするぞ」
「私は最初のことだけをお祝いするわね」 
 鯉女としての誇りは守った、そしてだった。
 千佳は兄と共に巨人の負けを祝った、そのうえで二人で巨人はもっと負けろと言い合った。それが世界の為になるからこそ。


巨人は負けないと駄目   完


                 2023・5・29 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧