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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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あるがままで

<ポルトガ>

「折角譲って頂いた船ですが我々には不要となり、仲間の水夫等に託しエコナバーグを中心に使用させる事になりました。陛下のお心遣いを蔑ろにしてしまい、申し訳ございません」
アルル達は、一部の例外を除き全員が恭しく頭を下げている。
勿論その一部とは、リュカ・少女ラーミア・ミニモンの事だ。


「よいよい…船はお前達に譲ったのだから、その後どの様に利用するかは、お前達の自由だ」
ポルトガ王はアルル達を咎めることなく、優しく微笑んで許してくれた。
「とは言え…何故に手放す事になったのか…それは聞きたいのぉ…」
「はい、陛下!それは…「それはこの子だ!」
アルルの台詞を遮って、リュカが少女ラーミアを抱き上げ、王様に見せつける!

「オッス!ラーミアだよ」
「…オッス、ポルトガ王だよ!………で、この少女が何だと?」
リュカに両脇を抱かれ、無礼に挨拶をする少女ラーミア…
アルル達も諦めたのか、しゃしゃり出てきたリュカに説明を託す。
「うん。実はね…驚いちゃう事に、この子ね………船酔いが激しいんだ!だから『船、もいらなーい!』という事になった」
「何と、それは驚きだな!」
わざとらしく驚いてみせるポルトガ王。

「何だその理由は!!そんな訳無いじゃないですか!真面目にやって下さいよ父さん!」
「ほぉ~…流石はリュカの息子だ。見事なツッコミ!相変わらずお前の周囲には、良い突っ込み役が居るのぉ…羨ましい」
「当然です!僕の息子ですよ!この子はプロのツッコミニストですからね!」
リュカが満面の笑みで、ティミーの事を褒める (?)のだが、当の息子は頭を抱え脱力する。
「何と、プロだったのか!?道理で………」
心底納得するポルトガ王。

「何で納得してるんですか!?つかツッコミニストって何だよ!」
今度はウルフが我慢出来ずに突っ込んだ。
「うむうむ…リュカの息子程では無いが、これまた良いツッコミだ!」
「良いだろう!コイツも僕の義息子(むすこ)になるんだぜ!僕の娘を喰べちゃったからね(笑)」
「何と…お前の娘と…う~む…リュカの娘とは、そちらのお嬢さんの事だろ?」
「は、はい。娘のマリーです!」
急に話を振られて、慌てて返事をするマリー…それなりに礼儀正しくしている。

「そうか…ウルフと言ったな…お前は幼女趣向者だったのだな!?変態君め!」
マリーの様な幼子との関係を知ったポルトガ王は、少し蔑んだ目でウルフを見据える。
「な…ち、違「違うよ。ウルフは変態じゃないよ!」
慌てて否定しようとしたが、尊敬する義父が力強く否定するので、黙って義父(ちち)に任せる事に…

「コイツはねエロガキだから、バインバインの美女が大好きなんだよ!」
「ほう…その割には、手を出したのが年端もいかぬ幼女というのは、些か説明が必要なのでは?」
「うん。それはね僕の娘…マリーは着痩せをするんだよ!今は服を着ているので、小さく見えるけど、脱いだら絶品だぜ!…見る?」
「見せねーよ、バ~カ!!」
キレたマリーもツッコンだ!

「わっはっはっはっはっ!面白いのぉ…お前等と会話していると、最高に楽しいぞ!何せ相変わらず余の部下は、ツッコミ下手だからなぁ………」
「なるほど…相変わらず使えねーんだ!ったく、何の為に今の地位にいるのやら?」
周囲を見渡すと、側近達全員が拳を握り締め、ワナワナ震えて我慢している。
アルルはつくづく思うのだ…《可哀想に…》と…




<ロマリア>

翌日もラーミアに乗り、ポルトガの隣国であるロマリアへ訪れたアルル一行。
直ぐさま城へと赴き、ロマリア王へと決戦前挨拶をする事に…
「…そうか、遂にバラモスと戦うのだな。我らは何もしてやる事が出来ぬが、皆の無事を祈らせてもらうぞ」
「そのお言葉だけで十分でございます。必ずやバラモスを倒し、世界に平和を取り戻します!」
何時ものメンバーだけが頭を下げ、ロマリア王に挨拶する。

「十分じゃねーよ…部下の1人くらい、派遣しても良いじゃん!…祈るだけかよ」
「な、何言ってるんですか父さん!僕等の旅は危険極まりないんですよ!下手したら命を落としかねないんですよ!!」
リュカの暴言にロマリア王は笑っているのだが、真面目っ子ティミーは青筋立てて怒鳴り出す。

「んだよ…本当の事だろ。危険極まりないのに、まだまだ若い(アルル)達が挑んで、歴戦のロマリア兵が祈るだけなんだぜ!……それともロマリア兵ってば弱いのかな?まぁ見た目弱そうだもんな!(大笑)」
リュカの安い挑発に、謁見の間に控えている兵士等が一斉に殺気立つ。
すると…

「隊長…あんな事言われてますよ!?良いんですか?ここは歴戦のロマリア兵である近衛騎士隊長が出張ってみては?…近衛騎士隊の事なら大丈夫です!副隊長の私めが、隊長代理を全うして見せますから。何だったらそのまま隊長になっても良いですよ!」
「な…そ、それは…」
リュカの言葉に顔を真っ赤にして憤慨していた兵士等だが、ラングストンの台詞を聞き、真っ青な顔で狼狽える。

そんな近衛兵達の態度を見て、腹を抱えて笑うラングストン…
「おいおい…近衛がそんなんで大丈夫なのか?ロマリアって結構大国だと思ってたんだけどなぁ…」
「いくらリュカ殿でも、今の言葉は許せませんね!今、此処に居る近衛兵達は、我が国でも有数な貴族様達ですぞ!だからこうして陛下のお側で、権力だけを振り回しているんです!貴族の家柄に生まれなければ、兵士にすらなれないヘタレ共です!…ね、隊長!そう言えば隊長は侯爵様でしたね(笑)」
近衛騎士隊長はラングストンの言葉に怒り震えている。

「つまり…アホたれ貴族が実力のある平民達を危険な前戦に追いやり、自分たちは後方で安全に我が儘に威張り散らしているって事?」
「その通りですリュカ殿!…しかし悪い事ばかりではありませんよ…前線に出るという事は、私の様に平民出身でも、功績を立てて出世する事が出来るのですから!」
「その割には、お前は副隊長なんだ…ロマリア王は人を見る目があると思っていたが、存外大したことは無いの?」
いま、この謁見のまで笑顔なのは3人…
リュカとロマリア王とラングストンだ。
アルル達は胃を押さえ…ロマリア兵や大臣等は鬼の形相で体を震わせている。

「私が隊長になれないのは、平民の下には就きたくないと言う、素晴らしい意見をお持ちの貴族様方がいらっしゃるからですよ。陛下は素晴らしいお方です!勘違いなさらずに…」
「ふ~ん…貴族が随分と力を持ってるんだねぇ…そう遠くない未来に、この国は潰れるね!」
リュカの侮辱は止まらない…
グランバニアに居た時と同じように、他国の…それも異世界の貴族共を怒らせる。
元より自制心の無い者が殆どの為、リュカの暴言に我慢出来ず、剣を抜き放ち襲いかかる!

「バギマ」
しかし、リュカへ攻撃が届く直前に、殺傷力を無くしたリュカのバギマが吹き荒れ、虚栄心だけの貴族達を勢い良く壁際へと吹き飛ばす。
「よえ~………どうしようもなく弱いなぁ…」
「あはははは!流石リュカ、誰一人殺さずに戦意を奪うとは…あっぱれだ!」
上機嫌なロマリア王とラングストン…
近衛騎士隊長を始め、近衛騎士達は面目丸潰れ…

その後アルル達はロマリア王に持て成され、城で夕食を共にした。
尚、ラングストンが気を利かせて、リュカにだけ特別料理『シーフードピザ・魚介類抜き』を用意した為、後頭部を思いっきり殴られたのだった。



 
 

 
後書き
ラングストン再び!
負けるなハツキ! 
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