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夜勤族の妄想物語 4.異世界ほのぼの日記2~異世界でも夜勤になったので堂々と昼呑みします~

作者:佐行 院
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54

 
前書き
 エボⅢを未だに撮影しまくっている守。 

 

-54 料理どうする?-

 養豚をしていた貝塚財閥筆頭株主の息子が目をキラキラと輝かせ、渚のエボⅢの写真を数十分かけてずっと撮っていた。

渚「あんたも飽きないね、こいつはかなりの年代物なのに何でそいつにこだわるのさ。」
守「そりゃそうさ、ガキん時に目の前を走る姿を見てからずっと追っていた車なんだ。そう飽きる事は無いね。」
渚「うれしいね、今度乗せてやるさね。洗車しておくわ。」
守「おばちゃん待ってよ、俺が洗車するって・・・。」
渚「あなた・・・、さっきもそうだけど「綺麗な渚お姉さん」だろ?」
真希子「あんた、まだそんな事言ってんのかい?もうそこそこいい歳だろ。」

 呆れる母の横で息子は幼少時代を思い出したのか、開いた口が塞がらず、全くもって声が出ない様になってしまっている。何かトラウマを産む出来事があったのだろうか。
渚が「女将」と呼ばれるのを嫌うのは皆知っていたが「おばちゃん」と呼ばれるのも嫌いだったとは、ただ普段から孫のガルナスに「おばあちゃん」と呼ばれているのは許容の範囲内なのだろうか。
一方で、守から各々サンプルを受け取ったナルリスとシューゴ、新たな素材の味を極限まで活かす物を作ろうと意気込んで各々の店へと帰って行った。
生姜焼きでも出されたロースを受け取ったナルリスは柔らかさを活かす料理をと頭を抱える・・・、事は全く無く料理はもう既に決まっていたという。

ナルリス「やっぱりトンカツかなぁ・・・、正直個人的に食べたいし。」

 完全に個人的な欲望が丸出しになってしまっている、考えていたのは新メニューではなく自らの昼ごはんだったのではなかろうかと光に疑われる位だった。

ナルリス「そ・・・、そんな訳ないだろう。」
光「じゃあその涎は何?」

 想像しただけで食欲が爆発してしまっていたオーナーシェフは、欲望が前に出過ぎてしまっていた。それはそうとして問題は商品の構成と味付け。

ナルリス「今回は和定食で行こうと思うんだが、どうだろう。」
ミーレン「でも味付けは今まで通りデミグラスよね?」
光「それだったらどうしても洋風になるんじゃない?ここはやっぱり・・・。」
真希子「胡麻だれだね!!」
光「ひゃぁっ!」

 友人や息子との会話を終え、『瞬間移動』で戻って来た真希子が横から話に割り込んだので光は思わず声を漏らしてしまった。
 ただその横で冷静に対処していたナルリスは、やはり素材の味に拘っている様で。

ナルリス「いや、敢えて塩だけで行こうかと。」

 そこでナルリスは双方から出た味付けの案を試すべく、トンカツを数枚揚げてみた。一先ず何も付けずに試食すると、生姜焼きで食べた時と同様に脂の甘みが全員を感動させていた。
 先程2人から提案された味付けを試してみると・・・。

真希子「こう言っちゃあれだけど、塩はシンプル過ぎて脂の味に負けちゃってるね。」
ナルリス「逆に胡麻だれは強調し過ぎだなぁ、どうしたものか。」

 その瞬間出入口のドアが開き、ベルが鳴った。入って来たのは女子高生らしい。

真希子「すみません、今は準備中でして。あら?貴女高校生ね、学校はどうしたのかしら?」
女子高生「今日は部活が休みで、早く帰って来ただけなんですけど。それより、おばさん誰ですか?」
真希子「「お姉さん」だろ・・・、え?帰って・・・、来た・・・?」

 そう、店に入って来たのはダルラン夫婦の娘であるハーフ・ヴァンパイアのガルナスだ。

ナルリス「ガルナスお帰り、えらく早いと思ったら陸上部が休みか。」
ガルナス「ただいま、それでお父さんこの人は?」
ナルリス「ああ、まだ紹介してなかったな。副店長として働いている宝田真希子さんだ、手料理が美味しいんだよ。」
真希子「ガルナスちゃんだっけ?知らなかったとは言えさっきはごめんね、お詫びに何か作ろうか。」
ガルナス「良いの?丁度お腹ぺこぺこでさ、死にそうだったの。」
光「あんた・・・、お弁当は?まさか・・・、またやったのかい?」
 
 

 
後書き
 異世界でも高校生は変わらない。 
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