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夜勤族の妄想物語 4.異世界ほのぼの日記2~異世界でも夜勤になったので堂々と昼呑みします~

作者:佐行 院
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前書き
 好美が密かな計画を実行する日。 

 

-㊾ いち従業員として-

 「一柱の神」が自らの業務に戻ってから2時間ほどが経ち、時計の針が7:00を指そうとしていた。そう、ニコフと好美の王宮での夜勤が明ける時間が来たのだ。

好美「お先、失礼します。」
ニコフ「お疲れ様でした。」

 将軍長と挨拶を交わした後、王宮の正門をくぐり少し歩いた所から『瞬間移動』でビル1階の「暴徒の鱗」の調理場へと移動した。

イャンダ「本当に良いのかい?」
好美「勿論、私自身が決めた事だから。」

 お客さんからの目線で見ると「オーナー」も一人の「従業員」なのだ。だから好美も立派に働けるように、そして少しでも役に立てる様に午前中の短い時間だけでもと店に出て手伝う事にした。
 これは「コノミーマート」でも同様に行うつもりで、イェットには話を通してある。

イャンダ「じゃあ・・・、夜勤明けだから無理の無い程度にね・・・。」

 しかし数時間後・・・。

好美「いらっしゃいませ、2名様ですね?こちらのお席へどうぞ!!」
イャンダ「経験あるのかい?完璧じゃないか、むしろ俺より仕事出来てるし!!」

 黒いTシャツに赤いバンダナ、そして前掛けと言った「これぞ拉麵屋」と言える制服を身に纏い接客から調理まで易々とこなしていた。
 名札に書かれている「オーナー 倉下」の文字に恥じない仕事っぷりと言える。
 好美は先程の質問に対して軽く。

好美「初めてだけど。」

 と答えていた、特に全く教えていない機械の操作を難無くこなしている事が一番の驚きであった。
 実は秘密があった、迷惑を掛けたくない一心で『完全取得』というスキルを『作成』していた。その場にいるだけでまるで長年の経験者の様に働けるものだ。
 好美は心の中で「セーフ」と呟いていて、お陰で店の評判を落とさずに済んだ。
 この事は「コノミーマート」でも同様だった、イャンダと同様にイェットも驚きの表情を見せていた。
 実はこれは本格的に2店舗が深夜営業を始める時の為の練習としてであった、可能な限り多くのバイトを雇うつもりではあるが、やはりどうしてもナイトマネージャーが出勤できない時に自分も代わりになれる様になりたかったのだ。
 流石に、深夜勤務を希望していない人に自分の様な昼夜逆転生活を勧めるのは酷すぎるのでだったら自分がと・・・。

好美「2人共ごめんなさい、自分勝手な行動に付き合わせちゃって。」
イャンダ「何言ってんだよ、手伝ってくれてありがとうね。」
イェット「本当だよ、あんた無しじゃ店が回らなくなっている位さ。本当、寂しくなるね。」

 そう言うとイェットは一粒の涙を流していた。

好美「大袈裟だなぁ、永遠の別れじゃないから泣かないでよ。」
イェット「そうだね、でも本当に無理はしないでおくれ。」
イャンダ「そうだよ、王宮での仕事に影響が出たらまずいからね。くれぐれも体を大切に。」

 すっかり仲良くなった2人の下を離れた好美は15階の自宅へと『瞬間移動』してお楽しみの「あれ」の準備を始めた。
 今日の肴は焼き鳥、味の好みが2つに別れる料理。好美は必ずと言っても良い位に塩味を選んでいた。
 特にカリカリに焼けた皮が大好物だった、歯応えが最高だ。
 捏ねも大好きだった、軟骨が入っていてコリコリで美味。

好美「よし、缶ビール缶ビール。」

 好美がニコニコしながら冷蔵庫を開けた瞬間、小型エレベーターが何かを運んで来た。好美は不審に思った、何も注文していなかったからだ。
 「送り先間違いかな」と思いながら添付されていた紙を見てみると、「あたし達2人からだよ、多少だけどお礼させとくれ。お金は2人で割り勘で払ったんだよ。」と書かれていた。
 皿には「暴徒の鱗」の唐揚げや豚キムチ、また「コノミーマート」のホットスナックが山盛りになっていて好美は涙を流した。
 
 

 
後書き
 何よりも2人の気持ちが嬉しかった。 
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