| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

宇宙人のハリマオ漬け

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

「彼との安心感と遠くへの不安」

「谷岡印刷のタニヲカくんです!」そう言って彼女は胸を張りドヤ顔をしている。そしてタニオ君は「どーも!」と言いながら頭を
「よろしくお願いしまーっス」と言いながら頭を下げている。なかなか礼儀正しい。ただ少し不愛想というべきか人見知りという べきだろうか……いやむしろこの子の方が普通なのかも……そんなことを考えていると彼女が話しかけてきた。
「貴女方、私に会えて嬉しいでしょ?」
と、いきなりそんな質問をしてきた。正直に言うとあまり嬉しくない。そもそもわたしは、なぜここに連れられて来たのだろう?それに、なぜ彼女はこんなにも偉そうなのだろう?わたしには理解できなかった。
だが、ここで下手なことを言うとまずいことになる気がしたので、わたしはとりあえず彼女の問いに答えることにした。
麻衣子も同じことを考えたようで、二人同時に同じ答えを返した。
すると彼女は、ニヤリと笑みを浮かべた。
そして、彼女は言った。
私は宇宙人だ。

宇宙で犯罪を犯したと彼女は自信満々に答えたが、麻衣子は納得していなかった。

「でも、あなたの行動は明らかに法律違反よ」と麻衣子が言った。

「それがどうかしたの?」彼女は反論した。

「あなたは人の心を操るような能力を使って他人に悪事をさせたんでしょう」と麻衣子が言った。

「違うわ」と彼女は答えた。

「じゃあ、どうやって?」麻衣子が尋ねた。

「それは言えないわ」と彼女は言った。

「どうして?」麻衣子が問い詰める。

「だって、まだ証拠がないでしょう」と彼女は言った。

「まあまあ、落ち着いてください」と私が言った。「麻衣子の言いたいこともわかるよ。でも、今は彼女の話を聞こう」

「わかったわ」と麻衣子が言った。

「それじゃあ続きを話すわね」

「一つ聞きたいことがあるんだけど」と私が言った。

「なに?」彼女が尋ねた。

「あなたは宇宙人なんでしょう?」と私が尋ねた。

「だから、何?」彼女は答えた。

「じゃあなんのために地球に来たの?」と私が続けた。

彼女が答えようとした瞬間、麻衣子が割り込んできた。

「まさか、地球人の調査とかじゃないよね?」と麻衣子が言った。

「違うわ」と彼女は答えた。

「ほんとに? 怪しすぎるんですけど」と麻衣子は言った。

「あなたたちには関係ないわ」と彼女は言った。

「えーっと、そのぉ... 実は僕も宇宙人なんですけど...」とタニヲ君がおずおずと手を上げた。「あら! あなたも?」

「はい、そうです」と私は答えた。
「そっかぁ……あなた宇宙人なんだぁ」と宇宙人少女が嬉しそうに言っている。どうやら二人は知り合いのようらしい。
「あ、そういえば自己紹介がまだだったわね。私は星子、よろしくね」
「あ、はい。僕はタニヲっス。よろしくっス!」
「それで、さっきの話の続きだけど……」
「ええ!?無視ッスか!」という声が聞こえたが、あえてスルーしておくことにした。
「それでね、私が地球に来た理由はね、ある調査のためなの」
「調査?」
「そう、あなた達にもあるんじゃない?」
「何が?」
「例えば、夢とか」
「は?」
「あなた達は、何か叶えたい願いがあるからここにいるんでしょう?」
「えっと……何の話をしているのかわからないのですが」
「実は南極大陸のニンゲンを捕獲しに来たんだ」
と、突然、背後から男性の声が響いた。振り返ると、そこには全身黒い服に身を包んだ男性が立っていた。わたし達は驚いて、その男から後ずさった。
その男は、わたし達から数歩離れたところに立ち止まった。
「驚かせてしまったみたいだな。申し訳ない」
彼は、ゆっくりとこちらへ近づいてくる。
わたし達は動けなかった。なぜなら彼がとても恐ろしい目をしていたからだ。彼が近づくにつれて、なぜか身体中に寒気を感じた。まるで氷水に浸かっているかのように冷たい空気を肌で感じた。
わたしは恐怖のあまり身動きが取れなくなっていた。「驚かせてしまってもうしわけない。私は合衆国政府メンインブラック局の者なんだ。この近辺に宇宙人が潜んでいると聞いてね。それでやってきたんだよ」
「あの……」とわたしは震える声で尋ねた。「宇宙人って……」
「君たち二人のことだ」と彼は即答した。
「あ、あの……」とわたしはさらに質問しようとした。しかし、彼の視線に圧倒され言葉が出てこなかった。
「あ、あのぅ……」と麻衣子もなんとか声を出したようだが、すぐに口を閉じてしまった。どうやらわたしと同じように声を出すことができなかったらしい。
彼は、わたし達が怯えていることに気づくと「あー」と少し考えた後に、
「ちょっと待っててくれ」と言い、突然、
「UFO召喚!!」と叫んだ。わたし達の思考は完全に停止した。
**(後編)終わり** **(前書き) 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧