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真面目な娘の勉強

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第一章

                真面目な娘の勉強
 田中紗友里は至って真面目な性格である、黒髪を左右で三つ編みにし丸眼鏡をかけて制服を校則通りに着こなしている外見からもそれがわかる。
 成績優秀で面倒見もよく公平でクラスでは風紀委員を務めている、そんな彼女が同じ高校の同じクラスの相模美菜子にこんなことを言われた。
「紗友里ちゃんって誰かと付き合ったことある?」
「ないけれど」
 ふわふわとした茶髪を肩の長さで切った切れ長の大きな目と紅の小さな唇で胸が目立つ彼女に応えた、背は二人共一六〇位である。
「これまで」
「じゃあそうした知識もないわね」
「知識ってこの場合は」
「だから恋愛とかね」
「性とか」
「まあ学校の授業で習った位よね」
「そうしたことは知ってるけれど」
「けれどそれ以上のことはでしょ」
「知らないわ」
 紗友里自身そうだと答えた。
「私もね」
「そういうことを知るのもね」
「大事よね」
「真面目なあんたに言うのは何だけれど」 
 美菜子は笑ってこうも言った。
「やっぱりこうしたこともね」
「知らないと駄目なのね」
「それで言うけれど」 
 紗友里にあらためて言った。
「学校の勉強以外によ」
「そうしたことも勉強することね」
「デートとかファッションとかもでね」
「性のことも」
「したら?具体的にはそうした本読んだらいいわ」
「わかったわ」 
 紗友里は美菜子のアドバイスに真面目な顔で答えた。
「それじゃあね」
「そうした本を買って」
「インターネットでも勉強してね」
「頭に入れていくのね」
「そうしていくわ」
 紗友里は口調も真面目だった、この時はこうした話をしただけだった。それは夏休み前のことだったが。
 夏休みが終わってだ、紗友里は自分から美菜子に言った。
「色々勉強してきたわ」
「恋愛とかのことを」
「私なりにね」
 こう言うのだった。
「それでその知識を見せたいけれど」
「そうなの、じゃあね」
「ええ、始業式が終わったら」
 それからというのだ。
「来てくれるかしら」
「それじゃあね」
 美菜子も頷いた、そしてだった。
 実際に始業式の後で紗友里に連れられて学校を出てある場所に向かった。するとそこは繁華街であり。
 とある戦国大名鉄砲をふんだんに使ったことで知られる革命的とも言われる人物の名前が付いた本屋の前に連れて来られた、紗友里はその店の前で美菜子に話した。
「インターネットで調べたらこのお店がいいって言われて」
「ま、まさかあんた」
 美菜子はその店の看板を見つつ引きに引いた顔で問うた。
「このお店に」
「夏休みよく行ったわ」
「それで勉強したの」
「そうした漫画や本を買ってね」
「そ、そうなのね」
「DVDも調べたわ」
 紗友里は淡々と述べた。
「このお店でね」
「そうなの、いやちょっとね」
「ちょっと?」
「このお店は女の子が入るお店じゃないわよ」
 美菜子は引いた顔のまま話した。
「はっきり言って」
「そうなのね。けれどね」
「けれど?」
「このお店のものを買わせてもらって」
 紗友里の声は今も淡々としていた、そのうえで言うのだった。 
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