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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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節操なし

<エコナバーグ>

「そっか…無事ラーミアを復活させたんね!」
色々と混乱冷めやらぬ状態だが、これまでの経緯を説明し終えたアルル達。
「ほな、もう船は要らんやろ?水夫共々この町で雇うてもエエで!」
「本当に!?それは助かるわエコナ!正直、退職金を出す事が出来るわけじゃないし、船を譲った所で、その後の事が心配だったのよ…」
「良かったねアルル…彼等の第2の人生が守られて」
元海賊達の再就職先が見つかり、心から安堵するアルル。
そして、それに対して喜ぶティミーが、アルルの肩を抱き寄せ優しく囁いた。

「あんなバカ共の事など気にする事ないのに…船を与えたってまた海賊に戻るだけかもしんないし、スマキにして海に放り投げればいいんだよ」
「馬鹿な事言わないでよ!彼等にはとても助けられたのよ!今後彼等が正しい人生を進める様にしなければ…」
「そうですよ!いくら父さんが彼等を嫌っているからって、それは酷すぎでしょう!」
仲良く手を繋ぎながら、リュカを責め立てる2人…
「ヘイヘイ…ラブラブ勇者様はお優しい事で…」
無論リュカは冗談で言った事なのだが、息子カップルが仲良くする様を見て、大満足している。

「ほな決まりやね!…んで、今はどの辺を航海してんの?」
「「「……………」」」
船は何処?この質問に皆が固まる…
「……どうしたんや?」

「………に………れた…」
か細い声でアルルが呟く。
「え、何!?」
思わず聞き返すエコナ。

「レ、レイアムランドに忘れてきたの!!」
完全に忘れていた事に自ら驚き、思わずエコナの質問に大声で答えてしまうアルル。
「ぷふー!!何、アルル達はカンダタの事を忘れてたの?あはははは、ちょ~うける~!」
「な、なによ!リュカさんだって忘れてたんじゃないですか!」
「僕は憶えてたよ。でも、もうアイツ等必要ないし、あそこに捨ててきても良くね?って思ったから!」
つい先程まで、双子のこれからの人生と、生まれてくる我が子の人生を心配していた男とは同じと思えない発言。


皆が船を忘れてきた事に混乱していると、
「じゃぁサクッと僕が行って来るよ。ラーミア、行こう!」
と言い、少女ラーミアの手を取り立ち上がるリュカ。
ラーミアに乗ってレイアムランドの船まで一っ飛び…そしてルーラを使い戻って来ようと言うのだ。

誰もが認める、最も妥当な提案なのだが…
「そんなのダメよ!」
何故かビアンカが反対する。
「え、何で?」
間の抜けた口調で尋ねるリュカの手を掴み、ビアンカは真面目な顔で答えた。

「ラーミアと2人きりなんて絶対ダメ!エルフ・ホビット…そして異世界人。この上、鳥との間にも子供を作る気!?」
世間一般の家庭なら、ビアンカの発言は笑い話なのだが、この男の事となると変わってくる。
他の者達からも『あり得る…』とか『節操が無いから…』とか言われ、冷ややかな目で睨まれるリュカ。
だが、そんな事でへこたれないリュカは、憮然とした表情で言い放つ!
「今更…もう1人増えたって問題なくね?」
「「「「……………」」」」




妥協案としてリュカとビアンカが、ラミーアに乗ってレイアムランドへと飛び立った。
そしてエコナの屋敷では、エコナが多数の装備品をアルル達の前に広げ、最終決戦に備えさせようと気を使う。
「アルル、これが今のエコナバーグで用意出来る、最高の装備や。好きな物を持って行ってや」
そこに用意された物は、どれも1点物ばかりで、高価な物だと判る。

「い、良いの?どれも高そうだよ…」
「アルル達には、この世界を平和にしてもらわなあかんねん!出し惜しみなどしてられへんよ!」
そう笑顔で答えるエコナに、アルル達は心から頭を下げるのだ。


「じゃぁ…お言葉に甘えて私はこれを貰うわね」
早速ハツキが手にしたのは『闇の衣』だ。
ハツキのフットワークを阻害せず、防御力は大幅に向上する。

「じゃぁ俺は…この3つを!」
そう言ってウルフが手にしたのは『ゾンビキラー』『ドラゴンローブ』『水鏡の盾』だ。
剣術にも大分自信の出てきたウルフは、動きやすさと攻撃力向上を主とした装備を選んだ。

「私は…コレとコレを」
そしてアルルが選んだのは2つ。
『ドラゴンメイル』と『ドラゴンシールド』だ。
ロマリア大陸辺りから、ずっと使い続けてきた『鋼の鎧』と『鉄の盾』をエコナに渡し、それよりも強力な防具を装備するアルル。
これによりアルル達の装備一式が大幅にグレードアップした!

「エコナさん。私はこれを貰っても良いですか?」
するとマリーが1本の杖をエコナに強請りだした。
「それは『細波の杖』やね…エエよ、マリーちゃんが使ってや」
この『細波の杖』は、杖を握り念じると『マホカンタ』を装備者にかけてくれるマジックアイテムだ。
攻撃魔法しか使えない彼女には、まさにピッタリな杖だろう。



さて…
そうこうしている間に、気が付けば3時間程経過しており、どうやらリュカ等が戻って来た様だ。
「ラーミアもー!!ビアンカばっかりズルイー!!」
リュカの首に垂れ下がる様にしがみつき、少女ラーミアが何やら大声で叫んでいる。
「何があったの?」
思わず、一緒に入ってきたカンダタに聞くアルル…
「さぁ…俺にもよく分からねーんだ…」
良く見ると、リュカは困り顔でビアンカも困り顔&苛つき顔…

一体何があったのか…



 
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