夜勤族の妄想物語 4.異世界ほのぼの日記2~異世界でも夜勤になったので堂々と昼呑みします~
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㉞
前書き
好美の経営方針とは。
-㉞ どんどん採用!!-
思いも寄らなかった奇跡の再会を果たした吸血鬼の兄弟が互いの心に秘めた互いへの想いを語らいながらゆっくりと酒を酌み交わしていた頃、拉麺屋の店長とオーナーはもう1人のナイトマネージャーとアルバイトの採用面接を行っていた。
好美はとある事を決めていた。アルバイトは結愛の依頼で数階層を寮としている魔学校の学生を中心に雇う事にしていた、コンビニも拉麺屋も共通してである。
日本にいた頃、当時実家に住んでいた好美は小遣い稼ぎの為に空いた時間を利用してアルバイトをしながら大学に通っていた。朝早くから混雑する列車に揺られて大学に一番近い駅へと向かう、列車には終着駅まで乗るのだが席は必ずと言って良いほど満席だった。
車内は会社員や私立学校の生徒達など各々の目的の地へと急ぐ人たちで溢れかえっていた、ほぼ息もできなかった位に。好美は必ず降りる方の出入口辺りに立って時間を潰していた。
駅に着いてから小さな商店街を通り抜け、その先に停車しているスクールバスに乗り込み大学に着くと学内にあったコンビニで軽く朝食を摂る。いつも大きなフランクフルトを3本、店員さんが好美の顔を見るなり何も言われなくても必ず用意してくれる程毎日通っていた。
午前中の授業を受けた後、友人と昼食を摂る時いつも実感していた事があった。実は好美はアルバイトを自ら進んで行っていた訳では無かったのだが、親にしつこい位に迫られ渋々行っていたのである。
しかし今思えば食べ盛りだった当時、好きな物を腹いっぱい食べる事が出来ていたのはアルバイトと親のお陰だったのだ。
現役で食べ盛りであるはずの学生たちにも沢山食べて欲しい、その思いからアルバイトは学生中心としていた。月家賃等の従業員割引きもそこから来ている、そしてコンビニと拉麵屋の双方で希望があればだが賄いも用意する事に決めた。オーナーとして譲れない拘り、苦労を知っているが故の配慮だった。
それにこれにより一緒に呑む仲間が出来るかもしれない、そんな一抹の期待を持ちながら面接を行っていた。
コンビニのナイトマネージャーに応募してきた1014号室入居のエルフ、ニーコル・デンバインは即採用となった。ギルドカードによると、調理師免許を取得していたので好美個人的には拉麵屋の方を任せたかったのだが本人がどうしてもと希望するので折衷案を出す事にした。
好美「では曜日で業務を分けてみるのはどうですか?勿論完全週休2日制はお約束した上でです、ただそれなりに負荷がかかるかも知れませんのでそれなりに月給は上乗せさせて頂きます。月家賃等の従業員割引きはそのままですからどうでしょう?今拉麵屋のナイトマネージャーがピューア・チェルドさんという方だけなんです、なのでチェルドさんが休みの曜日は拉麵屋を、そして他の曜日はコンビニをと言う形でいかがでしょうか?お願いします!!」
ニーコル「うーん・・・、悪くないですね・・・。大変そうですが私で宜しければお願い致します。」
エルフは少し悩んでいたが好美が余りにも深く頭を下げてお願いしてくるので、渋々だが受ける事にした。これでバイトさえ確保できれば拉麵屋は大丈夫そうだ、後はコンビニ。
店長候補にはまさかの人物が来た、雑貨屋を営むリッチであるゲオルの妻でウィッチのイェットだ。念の為に確認をしたのだが、バルファイで経営学を学び商人兼商業者ギルドのギルドカードを持っていた。
イェット「私なんかが来てごめんなさいね、最近は家事に余裕が出て来たから改めて私もちゃんとした職業に就こうと思って来たんだけど。」
好美「それにしてもパートとしてではなく店長ですか?」
イェット「やるなら思い切ってやろうとね、どうせなら旦那と商売敵になっても良い位の勢いで受けたの。」
目の前の魔女の気迫に押され好美は即採用とした、任せても十分大丈夫そうな人材でもあるからだ。
副店長には905号室のバリスを採用した、イェットと同様に十分なスキルを持ったワイズマンだ。バリスは結愛が是非にと推薦してきたので大丈夫だろうと雇う事にした。
ナイトマネージャーには1209号室のサラマンダー・エリューを採用、訳あって週4日の勤務を希望していたのでその通りに。
各店の店長と副店長、そしてナイトマネージャーが決まり一段落した時だ。待ってましたと言わんばかりにイャンダが好美に声を掛けて来た。
イャンダ「好美ちゃん、まだ仕事ある?」
好美「いや、今日はもう終わりにしようかと思って。」
好美は丁度その頃、そろそろ昼呑みして寝ようと思っていた。でないと明日の夜が心配だ。そう、明日から王宮での夜勤が始まるのだ。
イャンダ「今日まで大変だっただろ?適当に何か作るから呑まないか?」
好美「丁度呑みたかったの、お願いしても良い?」
後書き
イャンダが酒に誘った意味とは。
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