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イベリス

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第九十八話 母の法事その一

                第九十八話  母の法事
 母の実家の法事に出た、だがその場にだ。
 愛もいてだ、咲は彼女に驚いて声をかけた。
「お姉ちゃんは父方なのに」
「いや、これがね」
 愛は笑って話した。
「叔父さんに誘われてね」
「それでなの」
「昨日法事が終わる時に」 
 その時にというのだ。
「声かけてもらったの」
「咲と一緒にいてな」  
 父も微笑んで言ってきた。
「こっちの法事も出席させてもらってな」
「それでよね」
 愛は咲の父に応えて述べた。
「勉強しろってことね」
「そうだ、愛ちゃんも最近何かと勉強しないと駄目だろ」
「世の中のことをね」
「そう思ってな」
 それでというのだ。
「愛ちゃんもな」
「一緒なのね」
 咲もそれはと応えた。
「そういうことね」
「そうだ、じゃあ四人でな」
「それでなのね」
「一緒にな」
「出席させてもらうのね」
「そういうことだから」
 母も言ってきた。
「愛ちゃんも一緒よ」
「そうなのね、お姉ちゃんが一緒だと」
 愛と仲のいい咲は笑顔で応えた。
「私も嬉しいわ」
「そういうことでね、しかしね」
 母かここで愛の今の法事に相応しい普通の私服姿を見て言った。
「愛ちゃん今はね」
「派手じゃないでしょ」
「ええ、スラックスにシャツでね」 
 色もどちらも地味である。
「普通のファッションね」
「昨日もそうだったでしょ」
「そうした服も持ってるのね」
「私もね」
 叔母である彼女に笑顔で答えた。
「そうなのよ」
「ちゃんとその場で着る服は選ぶのね」
「そうなのよ」
「しっかりしてるわね」
 咲の母は笑顔で応えた。
「愛ちゃんは」
「だから言ったでしょ」
 咲も笑顔で言ってきた。
「お姉ちゃんはね」
「しっかりしてるのね」
「そうなのよ」
 これがというのだ。
「だから私もよ」
「いつも仲良くして」
「お手本にしてるのよ」
「ああ、私はお手本にしなくていいから」
 愛は自分をそう言った咲に笑って返した。
「他の人をね」
「お手本になの」
「してね」
 こう言うのだった。
「咲ちゃんは」
「そうなのね」
「私はお手本にされる様な立派な人じゃないから」
 だからだというのだ。
「私なんかお手本にしたり尊敬したりね」
「しなくていいの」
「ずっと立派な人なんて幾らでもいるわよ」
 それこそというのだ。 
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