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【魔法少女リリカルなのは】魔導師を辞めた高町家の男

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第八話 あぁ!あの有名な人ですか!!……知りません by隼人

 
前書き
ちょっと!どうして私の事を知らないのよ!! by謎の金髪洋幼女

金髪は、素晴らしい! by隼人

隼人は金髪が好きなだけで、決してロリコンではない……たぶん by作者

もう一度、銀河の果て送りにした方が良さそうね♪ byリンディ


金髪幼女、大好きです。

↑真面目に仕事しろおおおおおおおおおお!! by作者onリンディ 

 
 リンディがミッドに帰ってから一週間も経ち、なのはと俺は何事も変わらぬ毎日を過ごしていた。


「ねぇねぇ、ここはどうするのぉ?」


 現在、俺は店で出すサンドウィッチを作っている最中にも拘らず、なのはが俺の身体を引っ張って自分が作ったサンドウィッチを見て貰おうとしているらしい。

 
「そこはだな、レタスを挟んでからたまごを盛って」

 
 と、いろいろ説明をしながら作業を進めていく。

 これまでのなのはは、只俺が仕事をしているところを遠くから見ているだけか、お話を聞かせてくれるかのどっちかだったが、今では俺にべったりと作業に自分も参加している。

 なのはの真剣さに押されて、火を使ったり危ない物を使わないサンドウィッチのみを作る事を許した。

 なのはが作ったものを店に出すのは難しく、結局、全部俺が食す事になる。

 嬉しいのだが、俺の腹を破裂させようとするのだけは勘弁してほしい。


「むぅ、たまご落ちるぅーー!!にゃあああ!!」


 上手くたまごを乗せるのができなくてイライラが爆発したなのは。

 それを見て、笑う俺に怒るなのは。

 でも、どこか嬉しそうなその瞳はとっても良いものである。
 なのはが嬉しいのであれば、俺も嬉しいのだ。


「よし、出来あがった。なのは、店開くからもうお終いだ」

「ふぇぇ!まだ、やり足りないの!」

「充分だよ。なのはの御蔭で早く終わる事ができたよ」


 そう言って、なのはの頭を撫でる。


「にゃふふぅ。どう致しまして♪えへへ」


 嬉しそうに俺の身体に抱きついてくる。
 俺もなのはを抱き上げて、高い高いをしてやる。

 なのはは笑いながら高い所から見た景色を楽しんでいるようだ。

 店の時計を見ると、8時55分だ。
 ちょっと早いが、店を開いても良い時間だ。

 なのはを下ろし、厨房を出て店をオープンしようとするが。


「にゃあ!肩車ぁ!」


 俺の背中にダイブしてきた猫をそのまま肩車する。


「今のは痛かったから時間制限10秒」

「短すぎるっ!?ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」

「はいはい、許すから本気で泣こうとするな。嘘がバレバレだ」

「ギクッ!?」


 いやいや、普通は『ギクッ!?』なんて口で出して言うもんじゃないよ?

 まぁ、別に構わないのでそのまま店を出て、『準備中』から『営業中だよ♪』という看板を出す。
 
 なのはは、俺の頭でバランスを保ち外の景色を俺の頭より高い所から見下ろしている。


「みんな背が低いねぇー」

「なのはも低いねぇー」

「にゃあ!!女の子の身体の事を本人に直接話すのは酷いのぉ」


 ぷぅ~、と頬を膨らませて怒っているらしいなのはが俺の視界に映る。

 なのははそのまま身体を動かし、バランスを崩させて来る。
 危ないのでなのはの腰を、腰を手で押さえた。

 大事な所は2回も言う主義なんだ。


「ひゃあ!パパのえっちぃ♪」

「あの、なのはさん?キャラ変わってませんか?」


 最近、いやリンディと出会ってからなのはの性格がひっくり返るほど変わっている気がする。

 もしや、別人では!?と思うこともある。


「そろそろ、本気出さないと盗られちゃうからね~♪」

「なるほど、解らん」


 別に俺が何処かに行くわけじゃないんだからそんな事は気にしなくても良いのにな。

 なのはは、俺の頭に抱きつき、おまけに目隠しまでもして店の外から中に入るのは難しかった。

 店に戻り、なのはを肩車したまま注文カウンターで来客を待つ。

 
「いいな、お客さんが来たら「いらっしゃいませ」って笑顔で言うんだぞ」

「おかえりなさいませ♪ご主人様♪」

「……毎度毎度、何処で覚えてるの?」

「リンディさんがくれた絵本」

「そんな絵本あるかっ!んなもん悪影響になるだけだ!」

「えへへ、ミスしちゃった。ごめんね、お・兄・ちゃ・ん♪」

「よし、なのは。お話の時間だO☆HA☆NA☆SHIしよう」


 リンディのやつ、なのはにとんでもない事を吹き込みすぎだ。
 あれで、本当に提督やってるのか?

 なのはが悪い方に変わらなくてよかったが。
 これはこれで、悪い方に変わっているのでは?と思いがちである。

 だが、客が来たらいつも通りにやってくれないと困る。


「お客さんマダー?」

「……まだ朝早いからな。もう少し待たないと来ないよ」


 なのははずっと俺の肩に乗ったまま欠伸をするなのは。

 流石に肩がだるくなってきたのでなのはを肩から下ろし、関節を鳴らす。

 
「ふにゃ!?」

「ん、外ではそんな事してたら悪いおじちゃんに捕まるぞ?」

「もう私はパパしか見えてないから」


 何気に怖いですよ?なのはさん?

 あれ、なのはさん?

 
「だから、パパもなのはだけ見てくれてたらハッピーなの」

「なのはがよーく見えます!」

 
 どこか目に光がないなのはの言葉を聞いてるとな、5歳児とは思えなくなる。
 なのはは見た目の割に考える事が意味深く、抱え込むと言う癖もある。

 で、今はその抱え込んでいた悩みを全部俺にぶつけてきているみたいだ。

 リンディに奪われたくない一心で。

 俺とリンディの関係は精々恋人関係。
 今は、リンディの仕事で結婚は難しいとのこと。

 まぁ、リンディが言うには「もしもの時は、海賊になってアースラかっぱらって、地球に来るわ♪」ととっても幸せそうな笑顔で言ってた。

 もしや、俺はキャプテン・リンディを生み出してしまったのかもしれない。

 まぁ、提督だしなそんな事はしないだろう…………提督だからこそ、やりそうな気もするがな……。

 
「あ、パパ!見てみて、おっきい車ー」


 なのはが言うように店の前に黒い車が止まった。
 
 リムジンだー、カッケー。

 リムジンからスーツを着た爺さんとなのはと同い年くらいの金髪の女の子が降りてきた。


「なん……だと……!?」

「ど、どうしたの?パパ」


 金髪……ん、可愛いな。


「何か嫌な予感がするの。こう、危ない方面で」


 なのはが何か言っているが気にしない。

 それより、先程車を降りた二人は翠屋の入口から入ってきた。


「いらっしゃいませー!」

「おかえ、いらっしゃいませなの」


 一瞬、おかえりなさいませ♪って言おうとしたな、こいつ。

 なのはは置いといて、客に目を合わせる。


「えっと、お持ち帰りでしょうか?」


 車を前に止めている以上、長居は出来ないだろう。


「えぇ、そうしてください」

 
 と、黒いスーツを着た白髪頭の中年が答える。
 
 その後ろに、隠れるように立っている金髪の女の子は孫かな?


「では、注文をどうぞ」

「お嬢様、どうなさいますか?」


 お嬢様?女の子はそっちの方が嬉しいのか?


「お嬢様、私の店ではチーズケーキに、いちごタルトが大変人気であり、良く売れています。当店では、早いもの勝ちという事で数に限界があり、お早めに買われた方がよろしいかと」


 うん、なんか執事っぽくていいな、これ。

 なのはが、「その発想はなかった」と言っているがスルーしておく。


「ですが、今日の所はお嬢様がお一人目のお客様でございます。今なら出来たての品をご用意できますよ」

「あ、えっと……さ、鮫島?わかんない」

「ふむ、試食は可能ですかな?」


 もちですよ。

 俺は、あらかじめに用意しておいた試食用のタルトやケーキをカウンターの小さな冷蔵庫から取り出す。

 良い感じに冷えており、美味しく食べれそうだ。


「どうぞ、お嬢様」


 と、お嬢様にタルトとチーズケーキを一口サイズにして、爪楊枝で刺したのを皿に置いて渡す。

 金髪お嬢様は悩んだ結果、どちらも食べて試食をした。


「美味しい!」

「ほぉ、これはこれは。お屋敷の者達より美味ですね」

「ありがとうございます」


 ご満足いただけて嬉しゅうございます。

 メニュー表をお二人に見せ、注文を決めていただく。


「鮫島、両方食べたい」

「畏まりました。では、両方をお一つずつ」

「はい、少々お待ちください」


 急いで、厨房へと入り、冷蔵庫からチーズケーキとイチゴタルトを一つずつ取り、お持ち帰り用のケーキを入れる箱に二つを入れて、翠屋のテープを貼ってから注文カウンターまで持っていく。

 カウンターの上に置き、金髪お嬢様に渡す。


「では、合計で445円です」


 男の人からお金を頂くと、お二人はリムジンへとお戻り、家に帰って行った。

 もしかして、鮫島とか言われてた人って執事とかかもしれないな。
 服装も態度も仕草もそのまんまだったから気付いた。

 ていうか、本物の執事初めて見たな。


「さっきのは何処のお嬢様だろうか?」

「お嬢様なら此処にいるよ?」

「おぉ、なのはいたのか」

「……やっぱり、私は空気だったの!?」

「いや、出来る事ないから仕方ないだろ?」

「ちょっとはやろうとしたもん!」

「何を?」

「そこにあったケーキを気付かれないように食べる事」


 なのはが人差し指で指したところを見ると、試食用のケーキを置いてた皿がカラになってた。

 ……それは、只の迷惑だよね?


「はぁ、予備があるから良いけど。おしおきだ」


 そう言って、なのはの頭を小突く。
 

「ふにゃあ……」


 痛そうに頭を摩るなのは。
 力なんて入れてないから痛い訳ないだろうに。

 あんまり痛そうにするから何か不安になってきたな。


「たくっ……折角、可愛いく産まれてきたのに太ったらどうする」

「っ!?……不意打ちと酷い事言うの。意地悪ぅ」

「ぶくぶくなのはか、想像すると寒気がする」

「ダイエットなの!!これから毎朝走るの!!」

「運動音痴なんだから無理しなくて良いんだぞ?いつも通り、ぐぅたらぐぅたらソファでケーキ食べてたら良いんだぞ?」

「なのは、行ってきまーす!!」


 ビィィィィィン!と店を飛び出して行ったなのは。

 少々、意地悪やりすぎたかな?
 まぁ、10分もしたら帰って来るだろう。

 そもそも、朝昼晩のご飯で栄養を考えてるから、そう簡単に太る事はないのだがな。

 まぁ、いいか。


「あ、いらっしゃいませー」











 ------その頃の、なのはーーーーーー




 ダイエットダイエットダイエットダイエットダイエットアルソック!

 ダイエットダイエットダイエットダイエットダイエットアルソック!


「はぁはぁ、キツイ。もう、無理なの……」

 
 そのまま近くの公園へと入り、水の飲み、ブランコに座る。
 
 疲れた、とにかく疲れた。
 日ごろ、幼稚園でもあまり走らないから、久しぶりに走って苦しい。

 息が落ち着いてきたところで、漸くちゃんとした休憩ができる。

 周りを見渡すと、パパと良く来た公園だ。
 
 一緒にボールを蹴ったり、転がしたり、だるまさんが転んだをやったり、といろんな事をした。

 私が他の家族の母親を見て、落ち込んでいる時もいつもパパが私の目の前に来て。


「もっと、遊ぼうか」


 その一言だけ言って遊ぶ。

 それがどれだけ私にとって嬉しかったか。

 もう、どれだけパパが好きになったか覚えてすらいない。
 
 そして、この前にリンディさんというパパの昔のお友達が家に来た時は仲がよさそうな二人を見て、幸せになった。
 あの中に、私も入れば楽しそうだなぁと思った。

 実際、とっても楽しかった。

 でも、パパがリンディさんに取られるのが嫌で必死にパパがしがみ付いた。

 パパを大嫌いと言ってしまった。
 そんな事一つも思ってないのに、酷い事をした。

 それでも、今まで通りに接してくれるパパの事がまた好きになった。

 誰にも渡さない。
 
 相手がどれだけ綺麗なお姉さんでもお胸が大きくたっても私だっていつかリンディさんみたいになるもん。

 未だに小さいままの自分の胸を抑える。
 まだ大丈夫。

 きっと将来はパパの顔が埋まるほど大きくなるもん。

 それで、この前見た絵本であったパフパフというのをしてあげよう。
 きっと、パパも喜ぶはず!


「にゃふふぅ、早く家に帰ろうっと♪」


 パパの事を考えてたら疲れが吹き飛んじゃったの。

 今なら100年は戦える気さえもするの!




 


 ------隼人とバニングスーーーーーー





「と言う事で、貴方には家のデザート職人として、雇ってあげる」

「と、お嬢様が言っております。ちなみに、給料はこちらです」

「なん……だと!?」

  
 あまりの金額に驚いた。

 いや、子供がこんなにお金持ってるのかって意味で。

 それで、興味ないっすよ。

 あぁ、でも勿体ない。
 毎日、お嬢様の金髪が見れるなんて最高じゃないか。

 お嬢様、アリサ・バニングスは胸を張っている。


「悪いけど、おいらはこの店でやっていきたいのでね。その話はなしって事で」

「どうしてよ?私はお金持なのよ?良いじゃない、こんなちっぽけな店でやるよりもっと」


 俺はアリアちゃんの口にいちごを入れる。

 最初は驚いたみたいだが、歯で噛み砕いてから美味しく頂いたみたいだ。


「美味しい」


 笑顔で言ってくれると、作った側からすれば嬉しいものだ。
 因みに、イチゴだけは近くのいちご畑で農家の人たちと共同で作っている。

 みんなの幸せをたくさん入れて作ったいちごだ。
 美味しくないわけがない。

 そうだ、今度そこになのはを連れていこう。


「美味しいでしょ?俺はその味を此処に来てくれるお客さんみんなに教えないとダメなんだよ」


 これだけ美味しければみんなが笑顔になる。
 農家のみんなも俺と同じ気持ちだ。

 その想いを大切に、一つ一つのケーキに愛情を注ぎこむ。

 それが、楽しいのだ。


「だから、ごめんね。君の気持は嬉しいよ、ありがとう」

 
 アリアちゃんの頭を撫でて、お礼を言う。

 この子の御蔭でまた気付いたこともあるしな。


「わっわ、さ、鮫島!帰る!!」

「畏まりました」


 俺が撫でた所を手で押さえて、慌てた様子でリムジンに戻っていくアリサちゃん。
 どうしたのだろうか?

 何か、悪い事でもしたのか?俺……。

 すると、アリサちゃんだけ車から降りてきて再び店の中に入ってきた。

 
「え、えっと、名前……」

「ん、俺か?俺は、高町 隼人。喫茶翠屋の店主だよ」

「わ、私はアリサ・バニングス。また来ます!!」


 自己紹介するだけでそんなに恥ずかしくなるものなの?

 恥ずかしいのかわからなかったが、顔を真っ赤にさせて自己紹介してたアリサちゃんはさっきとは別人の様に可愛かった。

 ぺこりと頭を下げて「あわわわ」とか言いながらリムジンに戻って、そのまま帰って行ってしまった。


「忙しい子だな。また、うちに来たらサービスしてあげよう」


 カランカランと再び鐘が鳴り、新しい客が入って来る。

 
「おかえりなさいませ♪なのはお嬢様♪」

「ゼェゼェ……た、ただいまなの……」

「随分疲れてるな、水いる?」

「マスター、オレンジジュースを」

「畏まり!」


 やれやれ、手のかかる娘だな……。

 なのはにオレンジジュースを渡し、俺もコーラを飲んで一休み。

 明日も、この様な日常が繰り返される日々を過ごすだけだ。

 今までと何一つ変わらないけどな。


「パパぁ~、死にそう」

「わかった、霊柩車呼んでおくね♪」

「もう、だめ」


 がふ~とテーブルに突っ伏したなのは。
 死んではいない。

 なのはは「もう、何もしたくな~い」と言って今日の活動は終わった。


 いやぁ、毎日楽しいね。

 特になのはが!



 
 

 
後書き
うむ、リンディがいなくなると寂しくなるな……。 by隼人

隼人……。ちょっと待ってて!今すぐアースラかっぱらうから! byリンディ

それはダメだろおおお!? by 作者


たくさんの感想、ありがとうございます。

これからも、よろしくお願いします。 
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